アストンDB4とイメージが重なる後ろ姿
ACカーズ MA-200のボディは、低く滑らか。ソリッドな雰囲気を漂わせる。全長は4318mmで、ホイールベースは2438mmとコンパクトだが、車内は想像より広い。同社のエースより、遥かに。
【画像】水平対向が前提の低ノーズにV8 AC MA-200 今へ続くコブラの伝説 Eタイプも 全125枚
リアのデザインは、アストン マーティンDB4 コンバーチブルとイメージが重なる。片手で動かせるソフトトップを閉めても開いても、かっこいい。ウエストが絞られたエースと異なり、堂々とした風格がある。
ツインハンドルの付いたトランクリッドを持ち上げると、給油口が姿を表す。荷室は、スペアタイヤがほぼ専有している。
フロントマスクは、質素で素朴。細いバンパーが真一文字に伸び、ワイド感が強調されている。グリル部分のフォグランプはポルシェ356用で、かなりレアなアイテムだとか。フロントガラスは、ジャガーEタイプの流用だと想像される。
長いボンネットが覆うフォードのV8エンジン
前ヒンジの長いボンネットを開くと、クロームメッキ仕上げのエアフィルター・カバーを載せた、フォード由来の4736cc V8エンジンが登場。フロントフェンダー後方には、熱を逃がすエアアウトレットが開いている。
発電機は、Eタイプのように旧式のダイナモ。ラジエーターも、Eタイプ譲り。クーラント・タンクの下に、ラック&ピニオン式のステアリングラックがチラ見えする。エアコンは良く効くが、オーバーヒートの心配はないそうだ。
2代目オーナーの、ロジャー・フィールド氏の手元にあった時期には、フォードGT40用の試作、302cu.in(4.9L)V8エンジンへ置換されていた。だが、3代目オーナーとなったアメリカ人のマーク・ゴールド氏が購入後、オリジナルへ戻されている。
レストアの過程で、オリジナルと同日に鋳造されたと考えられるブロック番号が振られた、ハイプロ289ユニットが発見されたという。完成後の2010年には、アメリカ・フロリダ州のコンクール・デレガンスで優勝。2021年に英国へ戻ってきた。
自然な姿勢 運転しやすく、興奮を引き出しやすい
サイドシルは分厚く、ドアは長い。シートはエースの進化版、コブラのようなバケット。センタートンネルは分厚いが、足もとの空間にはゆとりがある。3枚のアルミ製ペダルは、ACカーズのオリジナル。漂うビンテージ感がうれしい。
ステアリングホイールは、コブラMkII用。シフトレバーは少し遠くに伸びるが、運転姿勢は自然だ。ブラックの合皮が貼られたダッシュボードは左右対称のデザインで、左ハンドルも想定されたことがわかる。
運転席の正面には、時速160マイル(約257km/h)と1万rpmまで振られた、速度計と回転計。アクセルペダルを軽く踏み、小さなキーを押し回すと、4.7L V8エンジンは即座に始動した。クラッチペダルは適度な重さで、ミートポイントを把握しやすい。
4速MTは、1962年式フォード・フェアレーンへ登用されたユニット。シフトレバーのストロークは長いものの、滑らかにゲートを選べる。静かにギアは回り、変速が心地良い。運転しやすく、興奮を引き出しやすい。
4速で20km/hから180km/h近くまでカバー
淀みなく回るエンジンの、最大トルクは43.0kg-m。ギアを問わず、1211kgあるボディを軽々と突き動かす。1速でアクセルペダルを踏み込むと、加速力は圧倒されるほど。2速へ上げて6000rpmまで引っ張ると、100km/hを簡単に突破する。
少し力を抜いて3速へ。ツインテールパイプから、脈打つ排気音が奏でられる。4速でも充分以上に鋭い。30km/h以下から180km/h近くまでカバーする粘り強さがあり、シフトダウンなしでロータリー交差点を余裕でこなす。
フロントサスペンションは、稀に路面の不整を受け止めきれない。それでも、乾いた路面では感心の旋回性能を披露する。ボディロールはミニマムで、ニュートラルなステアリングは、重み付けが丁度いい。
ブレーキも強力。ノーズを深く沈めることなく、まっすぐ速度が殺される。フロントタイヤの動きを確かめながら、自信を持ってカーブを急げる。
1970年代までブランド存続も可能だった?
毎週12台のコブラを提供する契約を、キャロル・シェルビー氏と結ぶ以前に誕生したのが、フォード製V8エンジンのMA-200だ。自社での生産を前提として。
1965年にはイタリアのカロッツェリア、ピエトロ・フルア社にスタイリングを任せた高価なACフルア、別名AC 428も作られた。だがそれより先に、エースの後継モデルへ真摯に向き合い、魅力的なロードスターが生み出されていた。
スタイリングは現代的で、キャビンには余裕があり、有能な走りも叶えていた。仮に量産へ結びついていたら。ブランドを1970年代まで存続させることも、可能だったかもしれない。
協力:ACヘリテージ
AC MA-200(1963年/ワンオフモデル)のスペック
英国価格:−ポンド(新車時)/60万ポンド(約1億1700万円/現在)以下
生産数:1台
全長:4318mm
全幅:1727mm
全高:−mm
最高速度:−km/h
0-97km/h加速:−秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1211kg
パワートレイン:V型8気筒4736cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:274ps/6000rpm
最大トルク:43.0kg-m/3400rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)
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