圧倒的な主役だった『ES』のプレゼンスに翳り
クルマの販売現場がSUVで占められる、そんなご時世になって久しい一方、その票田を崩され続けてきたのがセダンやワゴンだ。たとえばレクサスの主戦場である北米市場をみれば、ご当地ブランドでのラインナップはもはや片手で足りるほどだろうか。
【画像】8代目へフルモデルチェンジ!新型『レクサスES』で日本導入される3バリエーション 全169枚
ご多分に漏れず、レクサスも販売の主力がRXやNXに移る中、数的に圧倒的な主役だった『ES』のプレゼンスにも翳りがみられるのは確かだ。が、元来エンジニアの中には、セダンこそ動的質感においてはSUVにはない骨格的な利が備わるクルマの基本だという想いを抱く方も多い。
新しいESの開発に携わったエンジニアも然りで、マイカーとしてずっとセダンを愛用してきた方もいるという。8代目となる新しいESの背景にあるのは、受難の時代でも進化を留めない、作り手たちのそういうセダン愛だ。
新型における最大の特徴は、全量全グレードでパワートレインの電動化を果たしたことにある。2Lベースと2.5Lベースとなる2種類のHEVと、1モーターFFと2モーター4WDとなる2種類のBEV、計4つのバリエーションが用意される。
80ヵ国を超える仕向地の中には、日本とは比べ物にならないほど使用環境が厳しいところもあるわけで、そういう地域でも性能や品質を維持できるという自負はやっぱりすごい。
日本市場向けに導入される3バリエーション
このうち、日本市場向けに導入されるのは2.5LベースのHEVとなる『350h』、ふたつのBEVとなる『350e』と『500e』、計3つのバリエーションとなる。
このうち、BEVの2モデルについては、標準仕様に加えて内装のより豪華な『バージョンL』、更に1モーターの350eには後席の居住性と寛ぎに焦点を当てた『リアコンフォートパッケージ』という3つの仕様が設定されるのが特徴だ。
一方の350hの内装は標準仕様のみの設定となるが、駆動方式に4WDが選べるようになったことで、日本でも東北以北に向けて商圏の拡大が予想される。
その350hは、搭載エンジンの形式自体は前型と同様の『A25A-FXS』型だが、パワーユニット全体の剛性強化やeアクスル部の一体構造化による音振要素の低減、駆動バッテリーのリチウムイオン化による電気の出し入れ性能向上など、動力性能と燃費性能を同時に高めている。ちなみにWLTCモードでの燃費は25.4km/Lで、これは先代よりも1割以上の改善となっている。
一方のBEVは先のマイナーチェンジで航続距離を大幅に伸ばした、RZのeアクスルや駆動バッテリーといったシステムを活用しながら、独自のチューニングでESらしさを追求している。
数値的にはLセグメントサルーンに肩を並べる
500eはリアアクスル側にモーターを配するDIRECT4を採用。駆動はフロントアクスル側を主とするが、リアは加速や操安性にも積極的に関与し、0-100km/h加速は5.5秒と充分な動力性能を発揮する。1モーターFFの350eは8.2秒と平準的だが、それとて動力性能に不満を抱くようなことはないだろう。
ちなみに航続距離はWLTCモードで350eが670km、500eが636km(共に19インチタイヤ装着時)というから、実距離や大型サルーンの用途を鑑みても、必要十分の行動範囲は確保されているといえそうだ。
プラットフォームは現在トヨタのDセグメント以上をカバーするTNGAのGA-Kをベースに、駆動バッテリーの搭載性にも配慮された専用設計の骨格を採用。並行して、レクサスがここ数年力を入れている、走りの味わいを深めるための補剛要素が全面的に採り入れられている。
更にバージョンLとリアコンフォートパッケージは電子制御可変ダンパーとアクティブリアステアも標準装備となり、快適性やハンドリング面で異なる個性をみせてくれるようだ。
新しいESはその駆動バッテリーを搭載する前提もあって、全高が1560mmとセダンとしては高めの設定となっている。この高さを視覚的に落ち着ける狙いに加えて、フラッグシップサルーンに迫る居住性を確保したいという思いもあったのだろう、全長は前型に対して165mm増しの5140mm、全幅は55mm増しの1920mmと、数値的にはLセグメントサルーンに肩を並べている。ホイールベースはFF系車台にして2950mmと、相当なビッグサイズだ。
室内高に余裕があるぶんLSよりも安楽
日本の場合、使用環境によっては車格的に厳しいという場面も出てくるかもしれないが、そのぶん居住性はロングボディのLセグメントにも匹敵するほど余裕があり、リアコンフォートパッケージの機能も充分に活かすことが出来る。乗せられる側にしてみれば、室内高にも余裕があるぶん、LSよりも安楽かという気もしなくもない。
試乗ルートは舗装の荒れや雑な補修痕、穴ボコなどが随所にあるいかにもアメリカ的な路面環境だったが、バネ下の応答感はおおらかで、揺すりや突き上げなどを巧くいなしていた。ちなみに北米仕様は可変ダンパーやリアステアの設定自体がないということで、試乗車両のスペックはいずれもベーシックなものだ。
乗せられて嬉しいクルマと乗って楽しいクルマというのは得てして成り立ちが相対するものだが、新しいESはその辺りもうまく纏めている。やはり特筆すべきはBEVならではの低重心に加えて、巡航時のフラットライドや減速時のピッチ&バウンド抑制、後輪側の駆動を積極的に用いての旋回など、あらゆる動的質感に関与するDIRECT4を備えた500eだ。
例えば停止寸前に姿勢を調整する際のブレーキの抜き差しのやりやすさや、そこからの急加速など、敢えてセッティングのアラをほじくり出すような入力を加えてみても、クルマは徹底して細やかな応答を心掛ける。
500eのキャラクターに歩を合わせる350h
普通に速度を加減する際のゲインもペダルの操作に綺麗に同調するなど、そのリニアさはBEVならではの素養がしっかり反映されたものといえるだろう。でも、新しいESでより感心させられたのは、そんな500eのキャラクターにしっかり歩を合わせる350hの側だ。
日常的な加減速のタスクをモーターにしっかり担わせ、エンジンに必要以上の稼働を要しない。そしてエンジンが主役となるような場面でも稼働音は徹底して抑えられるなど、その作動の質感はESのスタンスを更に一段引き上げるものとなっている。
補助金ありきの話であれば、HEVとBEVの価格差が逆転化する状況も考えられる。それでもHEVの商品価値が失われたとは考えられない。
ともあれ新しいESの美点は、動的な質感面において、その個性をやたらスポーティネスを強調するようなところに費やしてはいないことにある。普通の人が普通に実感できるゾーンに美味しい実がきっちり詰まった、そんなクルマづくりが出来ている。
かといって、走らせて運動性能に失望するような素振りはない。クルマに乗って感じる上質な日常を目指していく過程で、力みや山っ気がいい調子で抜けた、そんな達観したまとまり感こそセダンには大事だったりするわけだ。
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みんなのコメント
走る時は良くても停める時が問題
日本のほとんど全てのコインパーキングは全幅1900ミリ制限だから、律儀に規約を守ると都市部には停められる場所はほぼ無くなる
ベンツGとかランドクルーザー250がお目溢しされているうちは大丈夫だろうけど
この記事も「ES」どころか「レクサス」でさえ検索できねぇぞ。
仕事しろ~