副市長の大胆な提案
2023年10月10日、スウェーデンの首都・ストックホルム市のラース・ストロムグレン交通担当副市長は、2025年から市中心部でのガソリン車とディーゼル車の乗り入れを禁止する計画を発表した。
【画像】まずはチェック! これが電気自動車の「販売台数」です(計10枚)
禁止エリアは金融街で、市内中心部の主要ショッピングスポットの20ブロックも含まれ、電気自動車(EV)、一部のハイブリッドトラック、燃料電池車(FCV)のみの走行が許可される。
大都市としては世界初の大規模なガソリン・ディーゼル車の締め出しで、思い切った政策だが、その実現可能性とEV販売を促進する政策かどうかを検証する。
世界有数のEV先進国
スウェーデン政府は2030年以降、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止すると発表しており、世界有数のEV先進国でもある。
スウェーデンは2021年以降、自動車販売に占めるEVの割合は40%を超え、ノルウェーに次いで世界第2位のEV比率を維持している。
2023年9月の新車販売に占めるEVの割合は、
・1位:ノルウェー(77%)
・2位:スウェーデン(55%)
・3位:フィンランド(44%)
と、北欧3か国がトップ3を独占している。
スウェーデンでの2023年1月から9月までのEV累計販売台数は約13万台で、通年では20万台に届くかどうかという規模である。
スウェーデンの自動車保有台数は約500万台と推定されており、今後EVへの買い替え需要が高まるにつれて、保有比率は右肩上がりになると予想される。
今回発表された計画は、こうした堅調なEV需要の高まりを背景に実現可能な見通しと考えられる。
EV移行を巡るEU加盟国の動向
EV先進国であるスウェーデンの欧州連合(EU)内での位置づけを、EUおよびEU加盟国による規制の観点から検証してみよう。
EUは2035年までにエンジン車の新車販売を禁止する予定だったが、2023年3月、再生可能エネルギーから生産された合成燃料を使用するエンジン車に限り、2035年以降の新車販売を認めると規制緩和に動いた。
一方、欧州各国は自国のEVシフトに合わせた政策・規制を迫られており、各国の動向は次のとおりだ。
●ノルウェー
ノルウェーは世界一のEV販売比率を背景に、2025年までにガソリン車販売を全廃する目標を掲げており、毎月の新車販売台数に占めるEV比率は70%超を維持する勢いだ。首都オスロの環境局は、2025年までに大型輸送車とトラックを対象としたゼロエミッションゾーンの導入を提案しており、2027年までにこれを自動車にも拡大する計画だ。
●英国
最近、ガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止時期が5年延期され、2035年となった。英国の新車販売に占めるEVの比率は20%前後で推移しており、EV販売が思うように伸びていないことが一因と見られている。さらに、自動車メーカーにとって厳しい「ZEVマンデート」と呼ばれる規制の導入がすでに発表されている。自動車メーカーは、EVやFCVなどの排ガスゼロ車(ZEV)を一定割合販売することを義務付けられ、目標を達成できなかった場合は、罰金を支払うか、他社から排出枠を購入することになる。この規制の下、英国政府は新車販売に占めるZEVの割合を2024年の22%から段階的に引き上げ、2035年までに100%にすることを義務付ける。事実上、ハイブリッド車(HV)の新車販売は不可能となる見込みで、EV先進国を目指す英国の姿勢が明確に打ち出されている。
●フランス
首首都パリは2024年のオリンピック・パラリンピック開催に向けてディーゼル車の乗り入れを禁止しており、ガソリン車も2030年までに段階的に禁止される見通しだ。
こうした規制で先行するスウェーデンは、環境大国を目指す同国のビジョンに沿ったEV政策を打ち出す一方、EU加盟国をけん制し、EV先進国としての
「主導的地位」
を維持する姿勢を強調している。
スウェーデンのEV政策の成否
スウェーデンがEV先進国の「お手本」になれるかどうかは、
・今後にどのような政策を打ち出すか
・各種政策が、EV販売にどのような効果をもたらすか
という観点から、さまざまな政策が成功するかどうかが重要な要素となるだろう。
ノルウェーに次ぐEV販売比率を維持するスウェーデンにとって、自動車保有台数に占めるEVの比率を高め続けるためには、今後もEV購入補助金を拠出し続ける必要がある。2023年7月、補助金は5万クローナ(約67万円)に引き下げられたが、スウェーデン政府の財政負担増が懸念される。
また、英国のように厳しい規制を設けたとしても、自動車メーカーがそれに従わなければ、文字通り「笛吹けど踊らず」に陥りがちであり、厳しい規制の導入には慎重にならざるを得ない。
非EVを締め出す規制を厳格に適用すれば、自然にEVが増えるかといえば、そう簡単ではないことは自明である。EVシフトの流れをうまくつかみ、その上でガソリン車を締め出す規制をかけることで、EV需要を引き出す巧みな政策プランが求められる。
今回、ストックホルム副市長が発表した計画は、首都圏に限定されたもので、今後のスウェーデンにおけるEVの普及状況によっては、対象地域が徐々に拡大されることが予想される。
この試みがベストプラクティスとなり、ほかの都市部でも同じようにEVが普及すれば、そこに住む人たちにとって「今よりもおいしい空気」を吸えるクリーンな環境が生まれる。これは究極のミッションが果たされることになるだろう。
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