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愛車を「かっこいいね」と褒められてオーナーが笑顔になるようサポートします【株式会社マルゼンホールディングス代表取締役社長 米岡功二氏:TOP interview】

掲載 更新 5
愛車を「かっこいいね」と褒められてオーナーが笑顔になるようサポートします【株式会社マルゼンホールディングス代表取締役社長 米岡功二氏:TOP interview】

クルマの走る歓びや楽しさを足元から伝えるマルゼン

印象的なテレビCMでお馴染みの株式会社マルゼンホールディングス(以下、マルゼン)。このCMに登場しているのが、代表取締役の米岡功二氏である。マルゼンは米岡氏のご尊父が経営していた会社。それだけにクルマやホイール、チューニングパーツはごく身近に、あたり前にあるものだったそうだが、しかしご本人は免許を取るまで、ほとんどそういったものに興味がなかったそうだ。ではなぜクルマに興味がわき、カスタムの楽しさを知るようになって会社を継ぎ、ここまで会社を成長させることができたのか。インタビューを通じてマルゼンが考えるカスタムの楽しさ、企業としての理念、そしてマルゼンの未来について迫っていこう。

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米岡功二氏のクルマ遍歴

マルゼンはタイヤやホイールを販売する小売店というだけではなく、たとえばオリジナルホイールの開発もおこなういわばプロショップとしても知られている。CMで米岡氏が歌っている「ロク・ロク・ロク・ロク・ロクサーニ」というのは、同社のオリジナルホイールブランド「LOXARNY」のことだ。

1981年にホイール&タイヤの専門店として創業したマルゼン、現在では関西に4店舗、関東に1店舗を構える他、大規模な通信販売を展開するようになったのだが、その成長を幼いころから目の当たりにしてきた米岡氏は、当然クルマやパーツが身近にある生活を送ってきた。

「ところがですね、子供のころはあまりクルマに対する興味がなかったんです。家業ですから、ほかのかたよりも多くクルマに触れたりする機会はありました。しかしそれがあたり前になっていたんだと思います。

ただ、大学生のときに自動車免許を取得し、はじめてのクルマとして無限のエアロパーツやホイールが装備されている、ホンダのフィットRSを買ったんです。はじめてのクルマということでほかのフィットと見比べたりしたときに、カスタムしているとかっこいい、ということを、はじめて感じたのです。

その後、家業を継ぐことになり、最初は現場で仕事をすることで勉強をはじめたのですが、そこでいろいろなお客様に出会い、個人個人で違うクルマの楽しみかたやパーツの選びかたを勉強させていただくうちに、カスタムして楽しむということに興味がわきました」

愛車選びはマルゼンの経営に直結している

一社員としてマルゼンに入社した米岡氏が、次に自身の愛車として購入したのはマツダ「アクセラ」だった。

「スポーツイメージの強いハッチバック、というのがアクセラを気に入っていたポイントでした。当然、車高調整式のサスペンションやホイール交換など、カスタムもいろいろ楽しみました。やはり自分のクルマを自分が気に入るようにカスタムしていく、というのは楽しかったですね。ここでカスタムの楽しさを知ったと思います」

その後、マルゼンでは輸入車用ホイールやパーツも扱っているということから、メルセデス・ベンツのW204「Cクラス」を親族に譲ってもらったそうだ。

「輸入車はサスペンション交換やホイール交換などをするとき、きちんと考えたパーツ選択をしないとエラーが出てしまうことがあります。こういうことも知識としては知っていましたが、自身で経験したというのは勉強になりましたね。次に同じメルセデス・ベンツのGLK、いまでいうGLCに乗り換えたのですが、これはSUVカスタムを楽しまれるかたも多い、ということから選んだもので、大径ホイールやLEDルーフライトの装備など、アウトドアスポーツユーザー目線でのカスタムを楽しんでいました」

そしてその次に乗ったのは、トヨタ「ランドクルーザー・プラド」だった。

「やはり、といってはなんですが、同じSUVでも国産車は安心感が違います。エラーという点もそうですが、パーツが豊富で選びやすい、というのも大きいですね。実際自分でもアウトドアスポーツを楽しむようになっていたので、プラドはいいと自信を持って言えますね」

その後社用車を数台乗り継ぎ、現在の愛車は毛色がまったく違うスポーツカー、レクサス「RC」である。

「代表取締役となり、その立場で乗るクルマを考えたとき、自社製ホイールをアピールするためのアイテムでなければならない、ということもあって、レクサスRCを選びました。ですので愛車というよりは、展示車という立ち位置のほうが強い感じですね。本当はLCでもいいのでは、とも思ったのですが、さすがにこれは背伸びしすぎかと思って自重しました(笑)。

しかしこのRCは、乗りやすいですね。日本の駐車場のほとんどは1850mm幅となっていて、マンションとか立体駐車場の多くは、この幅となっています。その点も含めて、いざというとき4人乗れるスポーツタイプのクルマは、RCかGR86/BRZとなってしまいます。そのためRCを選びました」

このレクサスRCも含めて、これまでに乗ってきたクルマと、それをカスタムしてきた経験は、マルゼンの経営方針策定にも活かされている。

「マルゼンはクルマに乗っているお客様に、走る歓びや楽しさといったものを伝えていきたいと考えて仕事をしています。それをまずは自分のクルマで味わってみる、というのは大事なことだと思っています。その上で、カスタムをすることでご自身が満足できるということ、ほかの人から注目してもらえるということ、それによってお客様自身が感じられる優越感。これも大事なものだと思っています。

ご自身が満足するだけではなく、見た人に凄いね、かっこいいね、と言ってもらえることが、長く乗り続けるときの大きなポイントとなってくると考えているのです」

クルマが好きだからこそユーザーと同じ目線に

この考えかたの根底にあるのは、米岡氏が本筋としている、仕事に対する想いである。

「カスタマイズをご要望されているお客様をお迎えするからこそ、自分自身も色々なカスタムを経験して楽しむ。これが様々なご用件に対応ができることに繋がっていく。それこそが、よりお客様に近い本音のお付き合いができるのではと思っています。

私の場合は最初からクルマ好きというわけではなく、仕事を始めてからどんどん興味がわいていき、どんどんクルマとクルマのカスタムが好きになってきた人間ですので、余計にそう感じるのかもしれません」

その想いが現れているのが、マルゼンの走る歓びや楽しさを伝えていきたいという経営方針だ。さらにいえば、1台でも多く、世の中のクルマのホイールを換えたい、そのことによって世の中のクルマをもっとオシャレにしたい、と米岡氏は考えている。

「クルマというのはタイヤやホイールを換えるだけでも大きく印象が変わります。クルマを買ってまずホイールを換えたら、他人とは違うオンリーワンのおしゃれさが演出できます。そのお手伝いをすることで、もっとクルマに乗りたくなるという気持ちを広げていきたいのです。

そのためまずは地域密着、人と人との繋がりが感じられる店舗販売を中心として仕事をしていました。しかしこれだけでは店舗のないエリアのお客様への対応が出来ません。そこで店舗販売と並行して通信販売にも早い段階から力を入れています。

通信販売は、人気商品については事前に在庫を確保しておかなければレスポンスが悪くなり、お客様にお待ちいただくこととなってしまいます。そのため物流倉庫を用意する必要がありますし、いち早く新製品情報を仕入れてどのホイールが人気になりそうかなど予測を立てた、的確な仕入れをおこなう必要もあります。その上で、なるべく安くお客様にご提供するためのコストダウンもおこなわなければなりません。

このように通信販売は店舗販売とは違う工夫が必要なのですが、当社は足まわり商品にターゲットを絞っていることで多品種のお店よりもリスクが小さいということから、ここに注力できたという側面もあります」

タイヤ、ホイールに特化している点は、作業時間の短縮という部分にもつながっている。

「店舗を見にこられた同業他社のかたにも驚かれるのですが、当社のピット作業はおそらくは日本一といっていいくらいの短時間となっています。これは社員のみなさんの工夫のおかげでもありますが、タイヤ、ホイールの交換のみを行っているということもあるでしょう。

ただ、短時間であるということは、お客様をお待たせしないという点では大事なのですが、それが最重要というわけではありません。もっとも大事なのは、安心・安全、確実な作業です。タイヤやホイールはドライバーや同乗者のかたの命を背負っている部品です。安心・安全がなければ、楽しむどころか危険でさえあります。そのため当社ではダブルチェックは当然とした作業をおこなう上で、技術の向上を図っています」

ユーザーの生の声を取り入れたホイール

さて、ここでどうしてマルゼンがオリジナルブランドのホイールを開発することになったのか、伺ってみよう。

「当社はホイールとタイヤに特化して店舗販売や通信販売をしていることで、この分野ではお客様にもっとも近いところにいると自負しています。お客様からのリクエストを直接うかがうことができるのは、当社のスタッフです。その目線でホイールメーカーの商品を見たとき、ここがもうちょっとこうだったら、といったようなもどかしさを感じることが多々ありました。

当然、そういった要望はメーカー側に上げていくのですが、そのリクエストがカタチとなって現れるのには時間が掛かります。そこで、だったら自分たちで企画をした商品開発をしてみたらどうだろうということから、オリジナル商品をつくるようになりました。

また、当社が直接工場に依頼をして製作してもらったほうが、販売価格を下げやすいというのもオリジナル商品開発のメリットのひとつとなっています。ただ、ホイールメーカーの商品のほうがそのお客様のニーズにマッチしていると考えた場合には、その商品をお勧めしています。自社製ホイールがあるからといってそれが一番というのではなく、選択肢のひとつとしてラインアップしたということです。

とはいえ、自社製ホイールがヒット商品となると、これはやはりうれしいです。ロクサーニ・テンペストから進化したテンペストタービンというヒネリ系ホイールは、大ヒットしました。指名買いしていただけたのは本当にうれしかったですね」

こうやって業績を伸ばし続けてきたマルゼンだったが、その信頼性を大きく高めたプロジェクトがあった。それは取り付けサービスの拡充である。

「店舗販売だったらその場で取り付けをおこなわせていただくことができます。しかし通信販売の場合、従来は取り付けに関してはお客様のほうで考えてください、という方法しかありませんでした。

そこで当社では、全国にタイヤ、ホイール取り付けの提携工場網を構築し、通信販売でご購入いただいたお客様にも、プロによる取り付けをご提供できるようにしました。現在この提携工場は3500店にまで広がっています。このシステムは、WEB購入されるとき、ご住所を入力していただければ、そこから半径8km以内にある工場をすぐにご案内できるようになっています。取り付け日時に関しても同じ画面から予約できるようになっていますし、商品もその工場に直送。工賃も当社から工場に直接支払っていますので、お客様はホイールやタイヤをご購入いただいたあとは、予約した日にその工場に行くだけで取り付けが可能です。

じつはこれ、エアコンの取り付けサービスから思いついたものなのです。プロがおこなうべき作業をプロにおこなってもらうためにはどうしたらいいのか。そこを考えました」

オリジナルのCMはどうしてできた?

ところで、マルゼンといえばあの印象的なCMである。これはどうやってうまれたものだったのだろうか。

「当社がまだ地域密着店舗だったころから、広告宣伝には力を入れていました。基本的な考えかたとしてCMは宣伝というよりも、営業活動費である、と思っていたのです。とはいっても、自分も含めた家族の手書きチラシをワイパーに挟んだりするところが最初です。

その後は新聞チラシやラジオCMへと進んでいき、テレビCMにたどり着きました。しかしこのテレビCMというのは、コストがケタ違いに掛かるんです。そのため最初は、間違いがないようにスマートなCMをつくったのですが、これは正直、失敗でした。まったく話題にならなかったのです。

そこで次に芸能人のかたを起用したのですが、スキャンダルリスクという面やコストを考えると、効果が小さかったのです。そこで、だったら自分たちが出てしまおうとなりました。自分たち現場の人間が出ていれば、それをネタにお客様とお話もできます。そこであの、CMソングも生まれました。すでにタイヤを転がすCMができてから16年になりますが、いまでも顔が変わらないね、といわれます(笑)。

現在ではその上で、YoutubeやTikTokなど、SNSにも力を入れています。これは10年後にお客様となるであろう若い世代のかたとお話させていただいていく中で、テレビよりもSNSのほうが影響力が大きいと気付いたことがきっかけとなっています。これからはお金での差別化ではなく、時間での差別化が大事になるのではないか。だからこそはじめるなら早いほうがいいということから、SNS活動をはじめています。毎週動画をアップしていくのは正直いって大変ではあるのですが、はじめて約半年たったいま、テレビ見てるよ、という人に加えて、Youtube見てるよ、と言ってくださるかたがあきらかに増えてきています」

最後に、マルゼンにとってのNAPACはどのような存在なのだろうか。

「ロクサーニをつくって販売しはじめたとき、NAPACにメーカーとして加入しました。安心・安全というNAPACの思想は、当社も同じくしているところです。ユーザーのかたに信頼していただくことは、クルマ好き、カスタム好きのかたを増やしていくときの絶対だと思っています。ですのでホイールをつくったときにはすぐに加入を決めました。

今後のことも含めていうならば、現在NAPACは安心・安全のために基準を策定してそれを守るという部分を大事にしていますが、できればNAPAC走行会に加えて、ユーザーのかたに夢を見てもらえるような、わくわく感を味わっていただけるような参加型企画を増やしていってもらいたいと思っています。そうすることでもっとカスタム好きの人を増やしていくことができるのではないでしょうか」

* * *

米岡功二氏が社長職を引き継いだとき「人の喜ぶところに、繁栄あり」と経営理念を定めた。これには、お客様はもちろん社員、取引先、地域社会に貢献するのがマルゼンであり、お客様に対してもただ受け身になるだけではなく提案をし、よりいい結果を生み出して喜んでいただく、そしてその結果として会社の繁栄、地域の繁栄を図っていく、という意味が込められている。

扱っている商品は足まわり系をメインに幅広く展開して、クルマが唯一地面に接しているのがタイヤで、それを支えているのはホイール。またここはカスタムの第一歩という基本中の基本であるからこそ、この理念は重い意味を持っている。

「笑顔をカスタムする会社」。それがマルゼンホールディングスである。

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みんなのコメント

5件
  • tiks******
    昔は純正でアルミ履いてても小さくてしょぼいデザインだったから車買ってすぐにタイヤホイール交換が常識だった
    ホイール選びは結構楽しいイベントでショップの店員とあれこれ話しながら現物を愛車に当てがったりしてたなー
    今ではほぼ社外アルミ買うのはスタッドレス買う時ぐらいだわ
  • ハンセン
    ロク・ロク・ロク、ダミアンだ!!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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