現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > NSX-GTラストレースで表彰台獲得。Astemo松下が見せたギリギリのバトル、塚越のウエット交換後の猛プッシュ

ここから本文です

NSX-GTラストレースで表彰台獲得。Astemo松下が見せたギリギリのバトル、塚越のウエット交換後の猛プッシュ

掲載
NSX-GTラストレースで表彰台獲得。Astemo松下が見せたギリギリのバトル、塚越のウエット交換後の猛プッシュ

 スーパーGT第8戦モビリティリゾートもてぎ、レース前半、そして後半とチャンピオン争いの鍵を握り、レースを沸かせた17号車Astemo NSX-GT。前半戦は松下信治が好バトルを演じ、そしてレース終盤の雨には塚越広大がウエットタイヤに交換する勝負に出て、結果として3位表彰台を獲得。チャンピオンを争う2台とともに、レースを沸かせた一台となった。

 予選2番手の17号車Astemo NSX-GTはポールの3号車Niterra MOTUL Z、3番手36号車au TOM'S GR Supraのチャンピオンを争う2台に挟まり、このレースのキーマシンとなっていた。ランキングトップの36号車にとっては、ポールの3号車が優勝した場合、2位に入らなければチャンピオンを逃してしまう。是が非でも、17号車の前に出なければいけない状況だった。

立川祐路がラストレースを戦い抜く「正直こみ上げてくるものがありました」1996年からのキャリアに幕

⚫︎松下信治と坪井翔、コース半分以上をサイド・バイ・サイドで争った珠玉のバトル
 そのレース前半、17号車松下は迫り来る36号車坪井翔と何度もバトルを繰り返し、坪井を絶妙にブロックし、簡単に前には行かせなかった。松下よりペースが良さそうな坪井は何度もオーバーテイクのチャンスを伺い、ようやく23周目のV字コーナーで松下の前を奪った。松下が坪井とのバトルを振り返る。

「36号車のペースが僕よりすごく速かったので、なんとか抑えたいという思いで、強気でギリギリまで追いやったんですけど(坪井)翔もなかなか手強いドライバーで。でも、楽しかったです」と松下。

「すごくクリアなバトルだったと思いますし、1コーナーからS字、そしてV字まででしたからね。全力で飛ばしていましたけど、ちょっと相手が速かったですね」と、続けた。

 予選で2番手を獲得して、スタートでも2番手をキープしていた17号車だったが、決勝の前半は厳しいペースとなってしまった。

「ロングランのペースが36号車の方が速くて、ウチはそこがちょっと足りなかったですね。ロングのセットアップというか、結構、リヤが滑っていた状態でした」(松下)

 その松下と坪井、レース後の表彰式を待つ間、ふたりでにこやかに話しあう姿が見られた。

「ちょうど、J SPORTSでバトルの動画が抜かれていたので、それを見ながら話していました。お互い、『おおーっ!』みたいな感じでしたね」

⚫︎表彰台を争うなかでのレース終盤の雨、Astemo NSX-GTはウエットタイヤにチャレンジ
 36号車の坪井に2番手のポジションを奪われてしまった17号車は、3番手をキープして後半スティントの塚越広大にステアリングを代わった。その塚越はピットタイミングで前を奪われた23号車と、3番手を争う展開となった。

「23号車をずっと追いかけている中で、FCYが1回出た後に僕の方のペースが良くなったのでオーバーテイクを試みました。うまく雨も降ってきて、その雨を活かしながら前に出ることができたのですけど、そこからさらに雨が強くなって来たときには逆に23号車の方がペースが上がってきた。そのタイミングで、ピットの方でレインタイヤに変えるという判断が来ました」と、レースを振り返る塚越。

 3番手のポジションながら、雨が降り始めてレース残り6周となった58周目に17号車はピットインして、ウエットタイヤに交換して勝負に出た。上位チームでウエットタイヤに交換したのは17号車のみという状況だった。

「僕はもう、あのまま(ドライのスリックタイヤで)最後まで行くと思っていました。チームがいろいろな状況を見て判断してくれたと思うので、勝ちを狙ってああいう判断をしてくれたのだと思いますし、そこでチャンスをもらえた。あのまま行ったとしても、もしかしたら表彰台に上がれなかったかもしれないので、そう考えたら好判断だったと思いますし、チームに助けられたと思います」と塚越。

 ウエットを履いた塚越はスリックタイヤ勢より1周あたり5~7秒早いペースでラップタイムを刻んで行った。

「ピットアウト後からウエットタイヤですぐにプッシュしていけたので、むしろ残り5周しかないから、温まりを待つとか言っている場合ではないですし、雨のなかでレインタイヤを履いているのに、スリックより遅かったらカッコ悪いじゃないですか。だからコースに出た瞬間から、フルプッシュでした」(塚越)

 4番手を走行した17号車の塚越は、3番手の23号車MOTUL Zを懸命に追った。しかし、無情にも雨は弱まっていく。結局、前の23号車を抜くことはできなかったが、トップの3号車Niterra MOTUL Zのコースアウトがあり、3位表彰台を獲得することになった。

 もし、タラレバでレース周回数がもう少し残っていればどうなっていたか。

「逆にあの雨の後、すぐに雨が上がってコンディションが回復して来たので、どちらかというとあれより周回数が多かったら、むしろタイヤはダメになっていました。なんとか3位でという感じでしたね」

 前半、そして後半とレースで見どころを作った17号車Astemo NSX-GT。今シーズンはランキング7位で終えることになったが、シーズンを振り返るとやはり、第6戦SUGOでトップチェッカーを受けながら、スキッドブロックが基準値より削れて車検不合格で失格となった1戦が悔やまれる。そのSUGOでしっかりポイント稼いでいれば、チャンピオン争いの主役の一台になっていたかもしれない。

「SUGOでの優勝が幻になってしまったのは残念ですけど、その後のオートポリス、もてぎのパフォーマンスを見ると、チャンピオン争いはできていたかもしれないけど、チャンピオンを獲れていたかというと正直、厳しかったと思います。ですので、まだ足りない部分もありますし、シーズン中にもっとポイントをアベレージで稼ぐとか、チャンスをきちんとものにしていかないといけないと思います。今回みたいなレースをチームと一緒に毎回、できるようにしたいですね」と、今季を振り返った塚越。

 今季最終戦でチャンピオン争いの主役とはなれなかったホンダNSX陣営だが、 NSX-GTのラストレースでもっとも輝いた一台となったのが、17号車Astemo NSX-GTだった。こっちも激アツ🔥松下信治🆚坪井翔36号車 au TOM'S GR Supra自力チャンピオンの2位奪取!#SUPERGT2023 第8戦#モビリティリゾートもてぎ 決勝 LIVE➡️https://t.co/tQX7EIw2kC#jspoms#SUPERGT#もてぎGT300km pic.twitter.com/aQW7WXCxeJ— J SPORTS❤️モータースポーツ🏁今週はSUPERGT &WEC最終戦 徹底LIVE! (@jsports_motor) November 5, 2023

関連タグ

こんな記事も読まれています

本当の意味での「初代スイフト」が登場したのは2004年だった【懐かしのカーカタログ】
本当の意味での「初代スイフト」が登場したのは2004年だった【懐かしのカーカタログ】
レスポンス
最大出力450PS、最大トルクは559Nm!テスラがアップデートしたEVセダン「Model 3」の納車を開始
最大出力450PS、最大トルクは559Nm!テスラがアップデートしたEVセダン「Model 3」の納車を開始
@DIME
来年はきっとイケるはず? 勝利から遠ざかるハミルトン、2024年マシンを風洞で確認。メルセデスF1には「全幅の信頼」
来年はきっとイケるはず? 勝利から遠ざかるハミルトン、2024年マシンを風洞で確認。メルセデスF1には「全幅の信頼」
motorsport.com 日本版
直進すると「ぶつかる…!」 都内の盛大にズレた「クランク状の交差点」なぜできた? 右折が恐怖
直進すると「ぶつかる…!」 都内の盛大にズレた「クランク状の交差点」なぜできた? 右折が恐怖
乗りものニュース
8年ぶり“全面刷新”! 新型「小さな高級SUV」がスゴい! 斬新内装採用&めちゃスポーティ仕様も設定! 「今年の輸入車」最優秀に輝いた「X1」とは
8年ぶり“全面刷新”! 新型「小さな高級SUV」がスゴい! 斬新内装採用&めちゃスポーティ仕様も設定! 「今年の輸入車」最優秀に輝いた「X1」とは
くるまのニュース
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2023年12月2日~12月9日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2023年12月2日~12月9日)
Webモーターマガジン
レッドブル、2024年マシンのRB20は”あらゆる面”でアップデート目指す「もっとうまくやれることは常にある」
レッドブル、2024年マシンのRB20は”あらゆる面”でアップデート目指す「もっとうまくやれることは常にある」
motorsport.com 日本版
テスラ モデル3/モデルY の純正スピーカー置き換えに対応、FOCAL標準シリーズ「INSIDE」に専用モデル
テスラ モデル3/モデルY の純正スピーカー置き換えに対応、FOCAL標準シリーズ「INSIDE」に専用モデル
レスポンス
スーパーフォーミュラ、トテモハヤカッタデス! 今季SFライツ参戦のヴィダーレス、日本でのキャリア継続を熱望「僕はここに残りたいんだ」
スーパーフォーミュラ、トテモハヤカッタデス! 今季SFライツ参戦のヴィダーレス、日本でのキャリア継続を熱望「僕はここに残りたいんだ」
motorsport.com 日本版
精悍ブラック採用の三菱 新型「3列シートSUV」発表! 漆黒の新「アウトランダー」499万円から
精悍ブラック採用の三菱 新型「3列シートSUV」発表! 漆黒の新「アウトランダー」499万円から
くるまのニュース
過去には全高3.8mの“モンスター”もあった!? フィアット「パンダ4×4」誕生40周年 人気コンパクトSUVの長い歴史とは
過去には全高3.8mの“モンスター”もあった!? フィアット「パンダ4×4」誕生40周年 人気コンパクトSUVの長い歴史とは
VAGUE
ポルシェ純正カラーをまとったトヨタ「86」は有名エアロをブランドミックス! ガルウイング採用で静止状態でも超絶カッコいい!
ポルシェ純正カラーをまとったトヨタ「86」は有名エアロをブランドミックス! ガルウイング採用で静止状態でも超絶カッコいい!
Auto Messe Web
レクサス GSは、意のままの走りと他を圧倒するスタビリティを身につけていた【10年ひと昔の新車】
レクサス GSは、意のままの走りと他を圧倒するスタビリティを身につけていた【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
EVの楽しさはこれだ! アバルト500e…松田秀士【日本カーオブザイヤー2023-2024】
EVの楽しさはこれだ! アバルト500e…松田秀士【日本カーオブザイヤー2023-2024】
レスポンス
水素かBEVかハイブリッドか? 乗用車同様にトラックも「次世代パワートレイン」の議論が活発!
水素かBEVかハイブリッドか? 乗用車同様にトラックも「次世代パワートレイン」の議論が活発!
WEB CARTOP
ポルシェがミニバンを作るとこうなるの!? 真ん中に運転席とかポルシェらしさ全開の「レン・ディエンスト」はガチで欲しくなる!
ポルシェがミニバンを作るとこうなるの!? 真ん中に運転席とかポルシェらしさ全開の「レン・ディエンスト」はガチで欲しくなる!
WEB CARTOP
ニューガーデン、インディカーのハイブリッド導入延期に理解「最もベストなタイミングを探るべき」
ニューガーデン、インディカーのハイブリッド導入延期に理解「最もベストなタイミングを探るべき」
motorsport.com 日本版
ホンダ“水平対向6気筒エンジン”搭載の「新型車」登場に反響も! アンダー400万円で軽量化&オシャグリーン追加! 2人乗りの「ゴールドウィング」米で発売
ホンダ“水平対向6気筒エンジン”搭載の「新型車」登場に反響も! アンダー400万円で軽量化&オシャグリーン追加! 2人乗りの「ゴールドウィング」米で発売
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで! 登録してお得なクーポンを獲得しよう
マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村