グローバルなカテゴリーで戦うツーリングカー・ドライバーを数多く輩出する南米アルゼンチン。同国出身で今季もWTCR世界ツーリングカー・カップにレギュラー参戦するエステバン・グエリエリが、隣国ブラジル最大の選手権、SCBストックカー・ブラジルにチャレンジすることが発表された。
ブラジル出身の元F1ドライバー、ルーベンス・バリチェロやリカルド・ゾンタ、ネルソン・ピケJr.やアントニオ・ピッツォニアらに加え、WEC世界耐久選手権ドライバーのダニエル・セラなど有力ドライバーが揃うSCB。
バリチェロら元F1ドライバーが多数参戦のSCB。第7戦でリカルド・ゾンタが2018年初勝利
そのSCBで新興チームとして目覚ましい活躍を演じているHEROモータースポーツは、8月最終週にステートメントを発表し、アルゼンチン出身で33歳のグエリエリを起用し3台目のマシンを託すとアナウンスした。
そのグエリエリはチームの今季3勝目を目指して、9月9日に開催されるSCBストックカー・ブラジルの第8戦カスカバルでルーカス・ディ・グラッシ、ブルーノ・バプティスタのチームメイトとしてシボレー・マリブをドライブすることとなる。
WTCC世界ツーリングカー選手権で大成功を収め、3年連続シリーズチャンピオンに輝いたホセ-マリア・ロペスの後を追うように、近年のアルゼンチンからは有力なハコ車使いが次々とグローバルデビューを果たし、グエリエリも同世代で才能あるドライバーのひとりとして活躍を演じてきた。
またそのキャリアを通じて、母国アルゼンチン国内レースから世界戦まで351戦を戦い、勝率11.7%を記録。表彰台獲得率25%というデータも残している。
そのグエリエリを迎えるHEROモータースポーツは、今季からフォーミュラEチャンピオンのディ・グラッシをエースに据えると、シリーズ初年度の"ルーキー"ながらすでに2勝をマークするなど好成績を収めている。
「ストックカーは昔から本当に好きなカテゴリーで、常にチェックしていた。とてつもなくコンペティティブで、速いドライバーと速いマシン、それを走らせるチームとのバランスが絶妙に整っているカテゴリーだ」と、SCBの印象を語ったグエリエリ。
「SCBはアルゼンチン国内でも人気があり、シリーズ自体にも参戦するドライバーに対しても大いにリスペクトがある。僕の参戦がアルゼンチンでの注目度に貢献できればうれしいし、カスカバルでのデビュー戦をファンのみんなも楽しんでくれたら最高だ」
「とにかく、こんな素晴らしいチャンスをくれたHEROモータースポーツに感謝している。僕にとっても、アルゼンチンのモータースポーツファンにとっても、特別な週末になるだろうね」
ブエノスアイレス出身のグエリエリだが、ブラジル・サンパウロ出身のディ・グラッシについては「昔からよく知る仲だ」とも語っている。
「そう、僕らははるかに以前からサーキットで顔を合わせていたし、彼のことはよく知っている。最初に彼と走ったのは1997年の南アフリカで開催されたカートのレースでだった。もちろん、その頃からとても速いドライバーだったのは言うまでもないね」
「(ルーキーの)ブルーノ(バプティスタ)に関してはこれからお互いを知ることになるけど、一緒に上手くやれると確信している。僕はたくさんのことを学ばなくてはならないし、チームはすでにトラックに関する情報をたくさん送ってくれているんだ」
「もちろんクルマに関しても学ぶことばかりで、週末を前にコクピットに座るのが待ちきれない気分だ。マシンの細部を知るたびに、他のカテゴリーとすごく違っていて興味深いよ。そして誰もが知るとおり、物事のすべてはトラック上で決まる。それについても自信を持っているよ」
これまで国際的なカテゴリーでツーリングカーを走らせてきたグエリエリは、TC1規定時代のWTCCでシボレー・クルーズTC1などをドライブし、3勝と5度のポディウムを獲得。2018年から始まったWTCRでも、すでに勝利と3度の表彰台を経験している。
「エステバンを迎え入れるのに際して、我々チームの目標は当然表彰台の獲得であり、勝利の可能性を高めることにある」と語るのは、HEROモータースポーツのテクニカル・ディレクターを務めるノノ・フィゲレイド。
「第6戦のゴイアニアでアントニオ・フェリックス・ダ・コスタを起用した際も、我々はチームとして非常に強力なパッケージを築けたように、勝つ能力のある3台のマシンとドライバーをトラックに送りこめるのは喜ばしい。彼らを信頼しているし、望むリザルトを手に入れることに自信を深めているよ」
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