あのころが懐かしい!イケイケのバブル期に登場した国産名車5選
2019/08/14 06:10 くるまのニュース
2019/08/14 06:10 くるまのニュース
■その品質や走りは世界中のクルマに影響を与えた
1980年代中ごろまでは、日本は円高不況に見舞われていましたが、その後、日銀が対策として低金利政策をおこなった結果、不動産投資や株式投資などで地価や住宅、株価が急上昇、1989年には日経平均株価は3万8957円を記録しました。
この、1988年ごろから1992年ごろまで続いた好景気を、俗に「バブル景気」といいます。
そんな好景気の時代に企画/開発された日本車があります。国産メーカーは業績の好調を背景に、開発費を惜しみなく投資。これまでの日本車とは違う、高品質なモデルが次々と誕生、結果として世界中のカーメーカーがモデル開発の参考にしたほどです。
今回は、そんなバブル時代に登場した、高級サルーン&スポーツカーの「名車」を紹介します。
●トヨタ「セルシオ」(初代、1989年発売)
当時のプレミアムブランド市場は、メルセデス・ベンツやBMWなど、欧州メーカーの独壇場で、日本車はあくまでも大衆車としての立ち位置に過ぎませんでした。
トヨタは、プレミアムブランド市場に参入するために、アメリカで新たに「レクサス」ブランドを設立します。そのトップモデルとして開発されたのがレクサス「LS400」で、このモデルの日本向け仕様車がトヨタ「セルシオ」となります。
セルシオは、トヨタのフラッグシップとして「ワールドワイドに通用する世界トップレベルのハイパフォーマンス・ラグジュアリーカーの創造」を基本コンセプトとして開発されました。
開発のすべてを原点からスタートさせ、北海道・士別にあるテストコースで徹底的に走り込みを実施。優れた高速直進安定性と操縦性、高い動力性能と静粛さを高い次元で両立しました。
LSは、北米マーケットにおいて大ヒット。北米においてレクサスブランドの礎を築きました。高い品質は、その後の世界中の高級車設計にも影響を与えることになり、高級車の新たな標準をつくったとまでいわれました。
日本においては、最上級グレードの「C Fパッケージ」仕様が620万円と、ドライバーズカーとしては高額なモデルになったのにもかかわらず、こちらもヒットしました。1989-1990年の日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞しています。
●ホンダ「NSX」(初代、1990年発売)
ホンダ「NSX」は、2シーター・ミッドシップレイアウトのスポーツカーです。ドイツの過酷なサーキットである「ニュルブルクリンク」などで走り込みをおこなうなど、開発に6年半の期間を費やして1990年に登場しました。
当時ホンダがエンジンを供給していたF1チームのドライバー、中嶋悟氏やアイルトン・セナ氏もNSXの走行テストに開発ドライバーとして参加していたのも、NSX伝説のひとつになっています。
量産車では世界初となるオールアルミ・モノコックボディを採用、ホワイトボディ重量で210kgと、従来のスチールボディと比較して140kgもの軽量化が図られただけでなく、足まわりなどもアルミ化することで、総重量は約200kgの軽量化を実現していました。
搭載されたエンジンは3リッターV型6気筒自然吸気の「C30A」型で、280馬力/30kgmを発生。これを運転席背後にミッドシップ搭載したMR駆動レイアウトとしていました。
NSXは「ヒューマンオリエンテッドスポーツ」という思想で開発されています。これは不必要な緊張やむずかしい操作などは積極的に減らしていくべきで、同じ能力をもつマシンであるとするならば、遥かに扱いやすく、より快適で安全で、そしてドライバーの意志に素直に応答するという喜びがある方が優れているという考えでした。
この思想は、乗る人を魅了するスパルタンな走り味や操作感など、ある種の緊張を必要とする独特のテイストをもっていた当時のスポーツカーとは対極にあるものでした。このNSX以降、世界のスポーツカーメーカーは開発にその思想を採り入れていきます。
発売当時のNSXの価格は800万円(5速MT)。4速AT仕様も用意され、こちらは860万円と、日本のスポーツカーとして最高額でした。
北米では、高級車チャンネルの「アキュラ」ブランドで販売されました。
●日産「スカイラインGT-R」(BNR32型、1989年発売)
BNR32型「スカイラインGT-R」は、8代目スカイラインに設定されたスポーツモデルで、スカイラインGT-Rとしては3代目となります。1989年に発売されました。
2代目KPGC110型スカイラインGT-Rから16年ぶりとなる「GT-R」名の復活は、当時大きな話題となりました。
搭載エンジンは、280馬力/392Nmを発生する名機「RB26DETT」型2.6リッター直列6気筒ツインターボ。トランスミッションは5速MTでした。これにアテーサE-TSと呼ばれる電子制御トルクスプリット式4輪駆動システム、スーパーHICASと呼ばれる4輪操舵システムが組み合わされます。
BNR32型スカイラインGT-Rは、レースで勝つために生まれたクルマでした。1990年には、グループA参戦のホモロゲーションモデルとして500台限定で「スカイラインGT-R NISMO」が発売されました。
当時の全日本ツーリングカー選手権(JTC)の規定「グループA」で、スカイラインGT-Rは1990年のJTC第1戦に登場、星野一義/鈴木利男選手の「カルソニックスカイライン」が優勝したのが伝説の始まりとなりました。
以降グループAカテゴリーが終了する1993年まで、スカイラインGT-Rは29連勝を果たしました。
■3ローターのロータリーエンジン搭載車と、水平対向6気筒エンジン搭載のグランドツアラー
●「ユーノス・コスモ」(1989年発売)
当時のマツダは、販売チャンネルの多角化をおこなっており、マツダのほかアンフィニ、ユーノス、オートラマ、オートザムを展開していました。そのなかでもユーノスはプレミアムブランドとして位置づけられていました。
販売していた車種は、「ユーノス・ロードスター」や「ユーノス・500」「ユーノス・800」「ユーノス・プレッソ」などです。なぜかシトロエンの「エグザンティア」なども販売されていました。
そんなユーノスで、フラッグシップモデルとして1989年に登場したのが「ユーノス・コスモ」です。初代「コスモ」は、1967年に世界初の量販ロータリーエンジン搭載車として登場しましたが、このユーノス・コスモは「コスモ」名としては4代目となるモデルとなります。
ユーノス・コスモは、2ローターのロータリーエンジン(RE)「13B」のほか、世界初となる3ローターRE「20B」搭載モデルを用意していました。トランスミッションは4速ATのみの設定でした。
ターボで過給された20Bエンジンは、280馬力/41.0kgmを発生。V型12気筒エンジンのようななめらかさを実現したといわれていました。またこのスペックは国内自主規制値に合わせるための数値であり、当時から「カタログ値よりもパワーがある」などと噂されました。
排気量は1ローター654ccで、20Bエンジンの場合3ローターなので、総排気量1962cc。自動車税区分はREは1.5倍の係数がかけられたので2943cc、レシプロエンジンで3リッターと同じ自動車税率となっていました。
燃費が悪いのがネックで、10・15モード燃費は6.4km/L。市街地や渋滞時走行などでは3km/Lを切ることもありました。
●スバル「アルシオーネSVX」(1991年発売)
スバル「アルシオーネSVX」は、1991年に登場したスバルのフラッグシップ・グランドツアラーです。
ジェット戦闘機のキャノピーを連想させる「ラウンドキャノピー」、Cd値0.29を達成した優れたエアロダイナミクスは、世界的に有名な工業デザイナー、イタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロによるものでした。
搭載されたエンジンは、3.3リッターの「EG33」型の水平対向6気筒自然吸気エンジンで、240馬力/31.5kgmを発生、組み合わされるトランスミッションは4速ATでした。
駆動方式はスバルらしく4WDで、新たに開発されたVTD-4WD(不等&可変トルク配分電子制御4WD)システムを採用。さらに後輪操舵の4WSも採用していました。
もともと北米マーケットをターゲットとしたクルマでしたが、発売タイミングとバブル経済の崩壊時期が重なったこともあり、日本での販売は低迷しました。
※ ※ ※
バブル期には、当時の技術の粋を集めたサルーンやスポーツカーが登場しています。いまでは考えられないくらい贅沢な素材やメカニズムを搭載したその国産モデルは、その後の世界のクルマづくりに影響を与えたものも少なくありません。
すでに登場からおよそ30年が経っているため、今回紹介した5台も、中古車市場で程度の良いクルマは多くありません。開発者の熱い魂が詰まったこれらの名車を見ると、イケイケだった当時を思い出す人も多いのではないでしょうか。
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