IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第2戦セブリング12時間レースで、終盤の混乱を乗り越え総合2位の表彰台を獲得したBMW Mチーム RLLの25号車BMW Mハイブリッド V8。そのドライバーであるニック・イェロリーは、このポディウムフィニッシュがチームにとって「大きな一歩」であったと語った。
イェロリー/コナー・デ・フィリッピ/シェルドン・ファン・デル・リンデのトリオは、3月18日にセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われた伝統の一戦で、デビュー2戦目となるMハイブリッド V8をトップのキャデラックから2.9秒差の2位へと導いた。
ポルシェvsアキュラ、残り20分での衝撃的な接触は「見えていなかった」「2度目のヒットは残酷」/セブリング12時間
レースは残り20分のところでマルチクラッシュが発生し、GTPクラスの首位3台が脱落するという波乱の展開となったが、アクション・エクスプレス・レーシングの31号車キャデラックVシリーズ.Rと、25号車BMWはこの混乱をかわし、総合表彰台に登壇した。
BMWは1月のデビュー戦デイトナ24時間では、信頼性とペースの両面で苦戦していたが、2戦目にして好結果を手にしたことになる。
「本当にいい気分だ」とイェロリーはレース後に語った。
「RLLとBMW Mモータースポーツにとって、このステップを踏むことはとても大きなこことだ。ミュンヘンにいる全員のために、僕は明らかに、とてもとてもハッピーだ」
「この6~8カ月は長く厳しいもので、彼らに2位という形で報いることができたのは、とてもうれしい」
「もちろん、僕らもいい方向に進んでいる。もちろん、全般的なパフォーマンスでは、まだそこまでには至っていないが、良いステップを踏めると確信しているし、(第3戦)ロングビーチではまた新たなステップを踏めることを願っているよ」
MハイブリッドV8は、GTPクラスのライバルであるアキュラ、ポルシェ、キャデラックと「実際に戦うことができる」と述べたイェロリーは、デイトナと比較してBMWが改善したことに満足しているようだ。
残り時間90分を切ったところで左リヤブレーキの交換により1周おくれとなった25号車だったが、レース終盤のイエローにより、まもなくリードラップに復帰することができた。
「もちろん、常に願ってはいるけれど、実際に紙の上で(リザルトを)見てみると、一歩踏み出すことができたのは本当に、本当に素晴らしいことだ」とフィニッシュドライバーを務めたイェロリー。
「ひとたび(ニュー)タイヤが装着されれば、僕らは実際に戦うことができる。僕らは現実に戦うことができたし、集団の後方にとどまることができた」
「すごく、すごくうれしいよ。いまは少し元気がないけど、水を飲めば大丈夫だ」
イェロリーの発言にチームメイトのファン・デル・リンデも同調し、特にフレッシュタイヤで走った際には、BMWが予想を上回るパフォーマンスを見せたとコメントしている。
「レースでは僕らが後方に下がると、みんなは予想していたと思う」とファン・デル・リンデ。
「だけど、まったくそうはならなかった。特に序盤は、タイヤをダブルスティントしていたので、その傾向が強かったかもしれない。ニュータイヤを履いたときには、後方にドロップすることはなく僕らは持ちこたえていたし、クルマはいいペースだった」
「ある時点では、31号車に追いつくこともできた。これはいい兆候だ。彼らはいま、このフィールドではひとつの基準になっているからね」
■首位キャデラックは「立ち上がりのトルクが強大」
もし25号車が終盤にブレーキ交換を必要としなかったら、レースで勝つことができたかもしれないとイェロリーは考えている。
「文字通り、ブレーキはまったく問題なかったのに、最後の1時間で、ブレーキを節約するように言われた。僕は本当に知らなかったんだ」とファン・デル・リンデ。
「クルマも完全に正常だと感じた。僕の観点からは、それはぎこちないものではなかったんだ。でも、そのせいでピットでの時間をかなりロスしてしまったのは明らかだ」
「それは左側だけだったんだけど、結局1周分の時間がかかってしまった。そのあとのウェーブ・バイで同一ラップに戻ることができたけどね」
「(31号車のジャック・)エイトケンを抜くことはできなかった。なぜなら彼らはコーナー立ち上がりでのトルクがはるかに大きかった。それが僕らを苦しめた」
「(追い抜くためには)5車身差のところから飛び込まなくてはならない。それは、表彰台を狙うにはリスキーすぎる」
このタイムロスにより25号車は、フィリペ・アルバカーキ、マシュー・ジャミネ、フェリペ・ナスルが巻き込まれたマルチクラッシュが発生した時点で、31号車キャデラックの後塵を拝すことになった。
「残念ながらそうはならなかったけど、(ブレーキ交換がなければ)僕らが勝っていたかもしれない」とイェロリーは言う。
彼は上位3台のアクシデントの後、エイトケンに対してプッシュしたが、最終的に2.9秒足りなかったと付け加えた。
「もちろん、挑戦するつもりだったんだけどね。ジャックのことはよく知っている」とイェロリー。
「彼は僕と同じイギリス人だ。彼は僕よりもリスタートで苦労していたから、僕もチャンスがあると思っていたんだ」
「でも、僕らが何周も遅かったから、彼らは僕らよりも少しうまくタイヤ交換戦略を組み立てることができたんだ」
「だから、それは僕らが取り組まなければならないことであり、そうすることができれば、すぐにでも優勝争いができると信じている」
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