いつの日かやってくると言われる自動運転の時代。近い将来、自動運転バス・タクシーなどの自動走行ソリューションが手軽に利用できるようになった場合、カーユーザーたちの意識はどのように変化するのだろうか?
アクセンチュアの最新調査によると、多くのドライバーが将来的に自動車の所有をやめる代わりに、自動運転バス・タクシーなどの自動走行ソリューションの利用を検討していることが明らかになった。
今年の新成人の運転免許保有率は56.4%、マイカー所有率は14.8%、車の購入予算は平均184万円
高級車のオーナーの方が自動運転ソリューションへの切り替えに積極的?
アクセンチュアの最新調査「Mobility Services: The Customer Perspective(モビリティ・サービス:顧客の視点)」では、モビリティ・サービスの普及に伴い、自動車メーカーが現在および将来直面する主要課題について考察している。
米国、欧州、中国の3地域(日本は除く)における7,000人の消費者(そのうち約85%が自動車を所有)を対象に実施した本調査により、自律走行技術の絶え間ない進歩によってMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)市場が急激に拡大し、モビリティ・サービス関連の収益が2030年までに約1兆2,000億ユーロ(約147兆円) に達する見込みであることが判明した。
中でも注目される回答として、自動車オーナーの96%が今後も自動車を所有するだろうと回答したにもかかわらず、仮に自動走行ソリューションが利用可能になった場合、約半数の48%が自動車を手放すことを検討すると回答している点が挙げられる。
また、やや意外な結果なのが、高級車のオーナーの方が大衆車のオーナーよりも、自家用車を手放し、自動運転ソリューションに切り替えると回答した割合が高かった点。本調査では高級車のオーナーのうち、中国で78%、欧州で55%、米国で39%がそれぞれ「自動車を手放すことを検討する」と回答しており、中国と米国の差は約2倍、欧州はその中間に位置する結果となった。
アクセンチュアでグローバルのモビリティ業界を統括するシニア マネジング・ディレクターのアクセル・シュミット氏(Axel Schmidt)は次のように述べている。
「自動車の所有からMaaSへの移行は、もはや避けては通れません。これにより従来型の自動車メーカーは、成熟したサービスを確立する新興のモビリティ・サービス事業者に顧客を奪われる多大なリスクにさらされることになるでしょう。
それを防ぐには、所有モデルからの脱却を図り、単なる自動車メーカーではなくモビリティ・ソリューションの仲介者となる必要があります。また、地域別では中国が自動運転ソリューションへの移行意欲が最も高いことから、各メーカーは欧州や米国でのサービス展開の前に中国をこうした取り組みの推進拠点として位置づけることもできるでしょう。」
危機に瀕するブランド価値
このほか、本調査では自動車ブランドの重要度が低下していることが明らかになった。
自動車の購入やカーシェアリング利用において消費者が重視する要素について、「価格」、「スピード」、「柔軟性」、「快適性」、「環境への影響」、「ブランド」、「プライバシー」などの12以上の項目で優先順位付けが行われたところ、「ブランド」は自動車購入においては6番目、カーシェアリング利用においては10番目に重要な要素に過ぎないことが分かった。
アクセンチュアでモビリティX.0部門を統括するマネジング・ディレクターのユルゲン・リアーズ(Juergen Reers)氏は次のように述べている。
「ブランド力によって自社製品にプレミアムを付加できる自動車メーカーも確かに存在します。しかし今後、カーシェアリングサービスや自動運転が普及するにつれて、製品ブランドの重要性は低下し、代わりにサービスの重要性が高まっていくでしょう。」
付加価値サービスへの高い関心
また、本調査では音楽や動画のストリーミング再生、車載用マッサージシートといった健康増進機能、食品、ホテルサービスなどに対し、回答者全体の89%、このうち18~37歳に限れば全体の97%が関心を示すなど、自律型モビリティ・サービスにおいてこうした付加価値サービスに大きな需要が存在することが分かった。
一方で、中国の回答者がこれらのサービスに対価を払う傾向が最も高いなど、こうした需要には地域差が存在することも指摘されている。
前述のリアーズ氏は次のように述べている。
「将来の自動運転が提供する付加価値サービスに対して消費者の関心は非常に高く、多大な収益機会が存在することは明らかです。自動車メーカーが競争から一歩先んじるためには、こうしたサービスの試験導入や改善に着手し、自動運転の実用化に備えておく必要があるでしょう。」
郊外における自動運転車の未知なる可能性
本調査では、回答者の約半数に当たる45%が「自動運転によって毎日の通勤がより手軽になるのであれば、転居もいとわない」と回答していることも明らかになった。
こうした回答者の割合が最も高かったのは中国(回答者の55%)で、欧州(同42%)、米国(同37%)がそれに続いた。
さらに、全回答者の3分の1(34%)が「自動運転が実現した場合、郊外や地方への転居を検討する」と回答。
大半の自動車メーカーは都市部を中心に自動運転の取り組みを進めているものの、本調査は、そうした取り組みを郊外や地方にも拡大すべきことを示している。
都市部に住む高級車オーナーのうち3分の1以上(37%)が「日々の通勤が自動運転によって手軽になるのであれば、郊外への転居を検討する」と回答している。
レポートの詳細はこちらから確認できる。
https://www.accenture.com/jp-ja/insights/automotive/mobility-services-customer-perspective
調査方法
自動運転などのモビリティ・サービスの普及に伴う自動車メーカーの主要課題を調査するため、アクセンチュアは2018年12月から2019年1月にかけて中国、欧州、米国の18歳以上の消費者7,000人(このうち中国が2,000人、フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国が各1,000人)を対象にオンライン調査を実施した。回答者のうち約85%が自動車を所有していた。
出典元:アクセンチュア株式会社
構成/こじへい
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