この記事をまとめると
■シビックタイプRは3モデル前からターボエンジンを搭載している
サーキットベストの「固すぎる足」は語り草! やりすぎタイプRこと「FD2型」シビックを振り返る
■最後にNAエンジンを搭載していたのは2007年誕生のFD2だ
■EK9オーナーがFD2に乗ってみてよさを探してみた
最後のNAエンジン搭載のタイプRに乗ってみた
筆者井上は、入社当時からシビックタイプR(EK9)を所有していたことから、どうしてもそのイメージが先行して、社内外でたまに「タイプRオタク」みたいな扱いを受ける。
愛車なのでもちろん好きなクルマであるのは間違いないのだが、それほどタイプRに詳しくないと思っているので(上には上がいる)、この扱いはいささか疑問が残るが、1度そうなってしまった以上、たとえ乗り換えてもこのイメージはしばらく続くだろう。
さて、そんな自分語りはほどほどに本題に入ろう。
前述のとおり、筆者の愛車は初代のシビックタイプR(以下:EK9)だ。1997年に誕生した、NSX-R、インテグラタイプR(以下:DC2)に続くタイプR兄弟の末っ子で、当時は「ついに誰でも買えるタイプRがやってきた!」なんて感じで大盛り上がりだったそう。筆者は当時3歳。そんな世間の動向なぞ知る由もないが……。ちなみに当時の新車価格は199万8000円(標準車)と、200万円以下の衝撃プライス。インテグラタイプRも239万8000円(標準車)ということだったので、これも今思えばバーゲンプライスどころの騒ぎではない。人気なスーパーハイト系の軽自動車と大差ないのだから……。
このEK9のエンジンはB16Bという、兄貴分のDC2が搭載するB18Cのブロックを使い、コンロッドやクランクシャフト、ピストンのサイズを変更してショートストローク化した専用のNAエンジンだ。排気量は1600ccで最高出力は185馬力、計算上、リッターあたり116馬力を叩き出していたという。さらにエンジンのフィーリングはまさにエンジン屋のホンダ、量産車のエンジンとは思えない極上なものだったという。
と、こんなクルマであるが故、当時のビデオマガジンや雑誌ではベタ褒め。NSX-R、インテグラタイプRときてこのシビックタイプRで、ホンダの今に続くタイプR伝説を確実なものにした……(と思っている)。
しかし、8000回転以上余裕でブンまわるタイプRにおけるNAエンジン時代は、EK9誕生から13年で幕を閉じることになった。その最後のモデルが、今回紹介する3代目のシビックタイプR(以下:FD2)である。
今回、このFD2をホンダアクセス広報部からお借りすることができたので、最初のタイプRをもつ筆者が、最後のNAエンジン搭載のタイプRに乗って、今更ながら、FD2の”よさ”を勝手に語ってみたいと思う。
2015年に750台限定で導入されたシビックタイプR(FK2)からは現在までK20Cというターボエンジンを搭載しているシビックタイプR。これから先、NAエンジンを搭載する可能性は極めて低いと思うので、ホンダの名NAエンジンを探している人は必見だ。
※シビックタイプRユーロ(FN2)は生産年が被ってるが海外生産モデルなので今回はカウントしない。
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さて。今回お借りしたこのFD2は、K20Aという2リッターのNAエンジンを搭載する。K20Aという型式のエンジン自体は当時のホンダの量産エンジンで、ノーマルのシビックやアコードなどにも積まれていた。しかし、FD2のK20Aは伝統の赤ヘッドを搭載し、タイプR専用に内部をチューニング。225馬力を8000回転で発生させるハイパフォーマンスっぷりだ。
エクステリアは、当時販売されていたモデューロのエアロを装着。「どれかひとつだけ」みたいな付け方をしている人はたまに見るが、全部が綺麗に揃っているのはかなりレア。筆者自身もとくにこのフロントエアロは初めて見たに等しい(担当者は相当粘って探し出したそう)。
早速乗ってみると、「なにを馬鹿なこといってるんだ」といわれるかもしれないが、まず車内はかなり広く感じる。余計なものがないので、スッキリしているのもそう感じさせる理由かもしれない。EK9と比較するとダッシュボードがかなり大きく、メーターが特徴的な2段階構造なので高さもあることから、前方の視界はぼちぼちだが、慣れれば問題ないだろう。
そもそもこのFD2はEK9とは違って4ドアセダン。なので、後部座席などもかなり余裕があり、日常使いもバッチリ。ここは歴代シビックタイプRすべてにいえるが、量産車のシビックをベースにしたことによるメリットだろう。
「いやいや。お前は何もわかってない。FD2は足が硬すぎてだな……」という意見もあるだろうが安心してほしい。このホンダアクセスから借りた車両にはモデューロのサスペンションが入っており、サーキットよりも日常使いにスポットを当てた仕様に変更されている。よって、街乗りはそれほど厳しくない。むしろスムースに走れる。足もよく動くので、ドライバー目線で語るのであれば間違いなく楽しい。
ただ、残念なことにこの足は絶版品。しかし、再販の要望が今でもかなり多いそう。まとまった意見がさらに集まれば、S2000の20周年記念パーツのように復活する可能性が今後あるかもしれない。とりあえず、純正の足が硬すぎると感じたら、社外のサスペンションに変えればある程度乗り心地の面はどうにかなるだろう。
で、乗ってみたフィーリングだが正直にいうとズバリ、「これはいい」。
なにがいいかだが、まず街乗りにおけるラクさがEK9と比較して全然違う。信号待ちからの発進もトルクがあるので走りやすいし、中間域のトルクも必要十分。で、踏むとそこはタイプR。NAエンジンという特性もあって、ずーっと加速が伸びるような不思議な加速をする。とても200馬力そこそこエンジンとは思えなかった。ノーマルマフラーであったが、音もなかなかに勇ましい。
ハイカムとの切り替わりはB16Bほど露骨ではないが、ここは本来、露骨でないほうがトルクの谷がなくなるので、むしろこれでいい。「i-VTEC」と書かれたインジケーターでハイカムの切り替わりが見えるのも憎い演出だ(ぶんまわすと観察できないほど一瞬で点灯するが)。
まとめると、とにかく乗りやすい。さらに4ドアセダンなので、前述のように車内も広いのだが、車体のサイズはそれほど大きくないので、取りまわしもいい。なお、このクルマはオルガン式のアクセルペダルを採用しているのだが、それも妙に足にあう。これは好みがあるので万人にはおすすめ出来ないが、個人的にはアリだ。
EK9からFD2まで10年の期間が空いているのだが、「10年でこうも変わるのか」と思わにはいられない。で、ここからさらに16年ほど経つと現在のシビックタイプR(FL5)になるのだが、その進化の差はもう語るまでもない。浦島太郎もびっくりだ。
EK9をはじめとする3ドアハッチバックは個人的にクルマのなかで1番好きな形状なのだが、所有してみてわかったが、使い勝手は想像以上にイマイチ……。これは所有してみてわかったことだが。
今、こうしてEK9、FD2を乗り比べてみると、「ホンダの高回転型NAエンジンを搭載」、「日常使いに向いている4ドアセダン」、「そこそこ新しい部類のクルマ(とはいえ約20年選手だが)」、「中古価格も”まだ”安い」と、わりとメリットが多い。関係者曰く、余裕ではないにしろ、パーツ問題もまだなんとかなるそう。カスタム系パーツも多く、大迫力の太めのホイールを飲み込む懐の深さもFD2の魅力だ。
ちなみに中古車相場は、なんと200万円以下から400万円ほどの間でさまざまな状態のモデルが探せる。ただし、エンジンを酷使している車体も多いので、状態の見極めには気をつけたいところ。そして価格は下がることはなくても上がることはいくらでもあるので、気になっている人は早めに動くのが吉。中古車は欲しいときが底値であることが多いからだ。
このFD2に搭載されるK20Aはスロットル・バイ・ワイヤということで、7年前の筆者は「どうせ乗るならワイヤー式のスロットルがいい!」と意味不明なこだわりがあって敬遠した過去もあるのだが、乗ってみてなんら不満はなかった。むしろ個人的にはロングドライブを多くするので、「車内が広くてパワーに余裕があるこっちのほうがよかったんじゃないか?」と、乗らなければわからなかったよさに、このタイミングで気づかされてしまった。おのれ、なんだか悔しいぞ。
「3ドアじゃなきゃシビックじゃない!」なんて声もまだまだ多いが、1度乗ればそんな考えもきっと吹き飛ぶはず。とくに「1台でなんでもしたい」という人には、筆者的に2026年激推しの1台かもしれない。
……もう1台増やすか? 試乗後、ソっと中古車サイトを見ていたのは内緒だ。
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EK9がええわ