現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 大陸を横断したくなる400万円超の最新バイクで日本を走る!

ここから本文です

大陸を横断したくなる400万円超の最新バイクで日本を走る!

掲載 12
大陸を横断したくなる400万円超の最新バイクで日本を走る!

BMWの大型バイク「R 18」に設定された「Transcontinental(トランスコンチネンタル)」に田中誠司が試乗した。標準モデルとの違いとは?

専用装備の数々

“いい買い物”になるであろう1台──新型アウディA4 35 TDI advanced試乗記

Transcontinentalとは、日本語に直せば“大陸横断”である。陸路の続く限りは走って目的地へ到達するのだ、という強い意思が、その車名にはある。

「R 18 Transcontinental First Edition」は、公道も走れるBMW製モーターサイクルの中でもっとも高額で、車両本体価格は403万2000円に設定された。大陸横断というテーマに、一切の妥協なく挑んだというのが、そこからうかがえるメッセージだ。

ベースとなるのは2020年10月に発売された「R 18」。長距離をリラックスしてこなせるライディング・ポジションを備えるクルーザーというカテゴリーを、BMWが久々に復活させ、これとあわせて1801ccというBMWモトラッド史上最大排気量の水平対向2気筒エンジンを、空冷OHV(オーバー ヘッド バルブ)という古典的な構造を用いて、新たにつくりあげた。

低回転から太いトルクを生む巨大なエンジンを搭載し、安定して走らせるため、長いホイールベースをもつスチール製ダブルクレードル・フレームが新設計された。これをベースに、考えうるあらゆる装備を追加したのが「R 18 Transcontinental」で、「First Edition」はホワイトのラインやクロームの装飾に彩られた特別バージョンである。

Transcontinentalには大型のフェアリング(風防)がフロントフォークにマウントされ、その上に大型のウィンドスクリーンが装着される。ライダーの膝の前にレッグシールドが、さらにそれらの隙間をふさぐディフレクターが備わり、ウィンドプロテクションは万全だ。

フェアリングの内部には、単眼式であったベースモデルのR 18とはことなり、4眼式アナログメーターと10.25インチの大型液晶スクリーンが加えられる。これとハンドル上のスウィッチを通じて、前走者との距離をレーダーで調整しながら速度をコントロールできる“アクティブ・クルーズ・コントロール”や、Marshall製のオーディオシステムを操作できる。

ベースモデルでは16リッターの燃料タンクは、24リッターへと拡大されたため、巡航可能距離は大幅に伸びた。拡幅されたタンクカバーの中央には、スマートフォンを収納し、充電も可能な小型ストレージが新たに設けられた。

ラゲッジスペースは、リヤシート背後に容量45リッターのトップケースが、シートの左右に各27リッターのパニアケースが用意される。これだけ容量があると、旅先に限らず普段の生活でも、自分の両手にぶらさげられる限界くらいの荷物は余裕で持ち運べるのがありがたい。重量と積載容量の増加にともない、リアサスペンションには自動車高調整機能が追加された。

このほか、前後輪連動式のABS、エンジンガード、シートヒーター、グリップヒーター、スターターモーターを利用して後進できる“リバース・アシスト”などが標準装備される。

なお、同時に発売された「R 18 B First Edition」(車両本体価格341万8500円)では、トップケースと後席バックレストを廃したシンプルなスタイルとなるほか、ウィンドスクリーンを小型化、ウィンドディフレクター、レッグシールド、エンジンガードなどを省き、シンプルな構成とされている。

巧妙にブレンドされた世界

カタログに記された「R 18 Transcontinental First Edition」の車両重量は427kg。燃料満タン状態で計測するという国交省への届け出値は、440kgである。ハーレーダビッドソンの同クラス「ロード グライド リミテッド」もほぼ同じ値(423kg)だが、ひと昔前の軽乗用車に匹敵する車重は、サイドスタンドを払って直立させる瞬間から強く意識せざるをえない。

R 18シリーズが搭載する新しいビッグツインの美点として、極低速におけるトルクの出方がとても滑らかであるため、発進と停止を繰り返すようなシーンでも扱いやすいことがあげられる。

なにしろ、走り出してしまえばこっちのものだ。ゆとりのある自然なライディング・ポジションにいざなわれ、エンジンの振動が高まるのを契機にシフトアップを繰り返し、やがて高速道路における巡航速度に達する。車重増がポジティブな方向で働いているようで、車体の挙動はR 18 Classicと比べてもさらにどっしりと安定し、ウィンド・プロテクションも完璧である。

モーターサイクルならではの解放感と、まるで高級セダンを走らせているような外界との断絶が、巧妙にブレンドされた世界がそこにはある。

さらに、「R 18 Transcontinental」と「R 18 B」には車間距離維持機能付きのクルーズ・コントロール・システムも搭載されている。燃料のある限り、いつまでも、どこまででも走り続けられそうだ。

時間の制約から、Marshall製のオーディオシステムを存分というほど楽しむことはできなかったが、左右チャンネルのセパレーションに優れ、低音もウィンド・ノイズにかき消されずにヘルメット越しの耳へ届くのが心地よかった。

今回、R 18 Bも同時に試すことができたのだが、ウィンドプロテクションに関しては、Transcontinentalとの差が小さくないことが確認できた。とくに、高速道路ではヘルメットで受け止める風圧に大きな違いがある。ただしBMW Japanによれば、ウィンドスクリーンだけTranscontinentalの部品を発注して交換することも可能とのこと。いっぽう、ヘッドライト脇のディフレクターとレッグシールドの後付けはできないようだ。

大型フェアリングの装着にともない、シャシーはベースモデルにくらべてフロントフォークを立てた設定とし、フレーム構造にも手を入れている。それが奏功してか、重量バランスの変化にともなう乗り心地やハンドリングへの影響は、市街地や都市高速でのライディングにおいて、特段意識しなかった。

BMWには「K 1600 GTL」や「R 1250 RT」という、ウィンドプロテクションを含む高速巡航性能にすぐれたグランドトゥアラーがすでに存在する。価格やパワーの点ではそちらにアドバンテージを認めつつも、R 18 Transcontinentalは、BMWとしてはとても新しく挑戦的なスタイルと、シートの低さを含めた特徴的な乗車姿勢が魅力的な存在である。

とはいえ依然、R 18シリーズの中での個人的な推奨モデルは、メーターパネルまわりがシンプルで車重が比較的軽く、ウィンドシールドとサイドバッグも備える「R 18 Classic First Edition」である。

文・田中誠司 写真・安井宏充(Weekend.)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
AUTOSPORT web
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
motorsport.com 日本版
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
motorsport.com 日本版
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
AUTOSPORT web
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
Auto Messe Web
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
AUTOSPORT web

みんなのコメント

12件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

113.4150.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

17.029.9万円

中古車を検索
クルーズの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

113.4150.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

17.029.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村