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トヨタが目指すのは数字か政治か。2021年3月期決算説明で「電動化戦略」が明らかに

トヨタが目指すのは数字か政治か。2021年3月期決算説明で「電動化戦略」が明らかに

カーボンニュートラル=EVではない

5月12日に行われたトヨタ自動車の2021年3月期 決算説明会は、豊田章男社長こそ登壇しなかったものの、トヨタのビジネスの底堅さで唸らせるだけでなく、とても興味深い内容だった。

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特に印象的だったのは、何かと注目のカーボンニュートラルについての話。折に触れて豊田章男社長は、カーボンニュートラルはイコールEV化ではなく、ユーザーの動向や地域特性などを鑑みた様々な選択肢があるべきだと話しているが、今回は商品を軸にとても突っ込んだ話となった。

まず注目は「電動化比率」についての話。1997年に世界初の量産ハイブリッド車(HEV)となるプリウスを発売したトヨタは、現在HEVを45車種、プラグインハイブリッド(PHEV)を4車種、バッテリーEV(BEV)を4車種、燃料電池自動車(FCV)を2車種の計55車種にものぼる電動化車両をラインナップしており、2020年には合計200万台を販売した。

さらに2025年までには、先日発表されたbZシリーズの7車種を含むBEV15車種の投入を宣言している。それだけ電動化が進んでいるトヨタなのに、BEVこそ電動化だという誤った認識を持つメディアやアナリストを中心に、トヨタは電動化に消極的だと評しているのが現状なのだが、異例のかたちで明らかにされた2030年の電動車販売比率・台数見通しは、そうした声を勢いづかせるものかもしれない。

地域      電動車        うちBEV+FCEV
日本       95%          10%
北米       70%          15%
欧州        100%          40%
中国(2035年) 100%(NEV+省エネ車) 50% (NEV)

結果としてトヨタは2030年のグローバルな電動化比率目標を800万台と見積もる。ちなみに従来は、2025年に550万台以上という数字を掲げていた。これはBEVにFCEV、そしてHEV、PHEVまで含んだ数字だ。


「消極的」と思われる数字には意味と責任がある    

「○○年には100%BEV化」と謳うメーカーばかりの中で出されたこの数字だけでは一見、トヨタはBEVに対して消極的と見えるかもしれない。しかし、これはグローバルにビジネスを進めるトヨタならではの現実的な数字だ。

前提として、トヨタは先に記したようにすでに多くの電動車ラインナップ、多くの販売台数によりCO2低減という結果を出している。実際、この電動化戦略によって削減したCO2排出量は累計1億4千万トンに及ぶ。これは毎年、150万台分のCO2排出をゼロにしていることに相当するという。

そして改めて言うまでもなくBEVの普及にはまだ大きなハードルがある。すぐに思い浮かぶ充電インフラの不足、充電時間の長さもそうだし、そもそも電力自体をサステナブルなものにする必要もある。また、生産するにあたってのバッテリー供給も問題だ。

今回、これも数字で示されたのだが、さきほどの表の割合を実現するだけでも、バッテリー生産量は現在のトヨタ年間6GWhに対して180GWh分が必要だという。つまり30倍だ。それだけのバッテリーを産業や雇用の流出につながる海外からの輸入に頼らず、国内生産で賄っていくには相当な投資、準備が必要になるのは明白である。それを考えればトヨタが敢えて明らかにした数字は、十分現実味があり、責任の伴ったものだと言えるだろう。

開発のリードタイムを短縮

一方、だからと言ってEVを軽視しているわけではない。やるとなれば徹底的にやるのがトヨタである。

先日、投入が発表されたbZシリーズについては、開発のデジタル化を推進していくことで従来より約30%、続くモデルではさらに10%、投入までのリードタイムを短くしたいという。世間のニーズに速やかに応えるためだ。

またPHEV、HEVと共通のプラットフォームでのBEVも検討するというのだが、正直なところコレは意外だった。内燃エンジン車と共通プラットフォームのEVは生産性や搭載可能なバッテリー容量の点で不利というのが定説で、故にトヨタを含む各社、専用プラットフォームを開発しているのだから。

この話とは別に話されたトヨタの電池開発コンセプトでは「安心・安全を一番に考える」、「その上で、エネルギー密度向上など高性能化と低コスト化を進める(コスト・性能は電池単独ではなく、クルマの総合力で)」と述べられている。その流れで言うならば、トヨタとしてはクルマの総合力、すなわち制御であったり空力など車体側の改善によって、これを補うことができると考えているようである。これについては会見でぜひ質問したかったのだが指名されず…。

そして個人的には、いつまでもEVのニーズは大容量・長距離だけに限定されないだろうとも見ている。目下、特にプレミアムカー周辺はそこでの競争になっているわけだが、今後、EVが普及フェイズに入っていくに従って、そこまでの航続距離は要らない、価格をより下げたいという方向に、求められるかたちは変わってくる可能性は十分ある。

HEV、PHEVでも80%はエンジンが停止している

個人的にもっとも興味深く聞いたのが、HEV、PHEVへの言及だ。コネクティッド機能のデータで見ると、現状でも都市部では使用中の最大80%ほどの時間、エンジンは停止しているという。それを今後はナビのデータなどを元に、街中に居ると判断するとエンジン停止時間を伸ばすなどの制御を入れ込むことを検討しているというのだ。さらに、残り20%のエンジン稼働時間中のCO2排出量を減らすために、エンジン開発にもデジタル化をさらに取り入れていくという話だった。

あえて誤解を招きそうな言い方をするならば、トヨタが目指しているのは電動化ではない。電動化比率が大切なわけでもない。そうではなく、ここでは詳細には触れなかったが、生産段階から廃棄に至るまでのカーボンニュートラルこそが目指す道であり、そのために色々な選択肢を持って臨んでいるのが現状だ。

HEVやPHEVは、すでに結果を出している現実的な解答であり、今後もそれは磨き続ける。一方、BEVのニーズも高まってきているのは間違いないから、しっかりやっていく。決して軽視などはしていない。トヨタのこれまで示してきたスタンスが、明確な数字に裏付けされるかたちで、よりクリアに示された。数字でも政治でもなく、見ているのは世界中のユーザー。決して派手な発表があったわけではないが、そのことがじわり伝わる説明会だったのである。

〈文=島下泰久〉

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