日本が世界に誇るマイクロ・ミッドシップスポーツ、S660。限られたスペースでいかに本格スポーツを成立させるか? S660のサスペンションを見る。
「痛快ハンドリングマシン」というコンセプトを実現するためにS660が選んだのはリヤ・ミッドシップ。ボディサイズは当然、軽自動車枠いっぱいの全長×全幅「3395mm×1475mm」だ。ボディもオープンカーの形状で高い剛性を確保するために各部の形状を徹底的にシンプルにした「一線入魂ボディ」とした。補強を最低限に抑えることで軽量化を実現した。
Suspension Watch:マツダ・ロードスター(ND)のサスペンションを解説する
FRONT:マクファーソン・ストラット
FF軽乗用車用のパーツを多く流用した非常に簡便な作りの前輪足回り。ドライブシャフトを取り付けるためのハブ孔がそのままなのが一例。ロワーアームはプレス鋼板のL字型。アーム長はスペース制約の多いFFベースにしては長めに採られている。ナックルとタイロッドは当然後ろ引き配置。サスペンションのストラット上部をタワーバーで左右連結することで車体剛性を向上させている。イニシャルでキャンバー角を0.5度として、ロールするにつれてタイヤのトレッドを幅広く接地させる設定。ボディへの取り付け方法を工夫してフード高を低く抑え、スラビライザーも備えている。
ステアリングギヤボックス、タイロッドをフロントアクスルより前に置く「前引き」レイアウトをとる。コラムアシストの電動パワーステアリングは、フィット用を流用している。
REAR:マクファーソン・ストラット
リヤは、軽自動車では珍しい独立懸架式。イニシャルでキャンバー角をマイナス1.5度とネガティブキャンバーとしている。サスペンションはアルミ合金のダイキャスト。ベース車両のTBAからストラットに変更されたリヤは、一見フロントと同じ形式に見えない。フロントのロワーアームがL字型のボディ側2点支持なのに対し、リヤはロワーアームと前後力を受けるトレーリングアーム、トーコントロールアームが独立している。ポルシェのボクスター系も同様な構造を採っている。
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