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車内80℃の「猛暑地獄」を変える! いま「巻く」サンシェードが大注目なワケ、旧タイプとの決定的な差とは?

掲載 更新 15
車内80℃の「猛暑地獄」を変える! いま「巻く」サンシェードが大注目なワケ、旧タイプとの決定的な差とは?

深刻化する車内温度問題

 地球温暖化の影響で、夏の猛暑は年々厳しくなっている。気象庁のデータによると、日本の年平均気温は上昇傾向にあり、それに伴って真夏日の日数も増加している。このようななかで、自動車の車内温度上昇はより深刻な問題となっている。

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 日本自動車連盟(JAF)のテストでは、気温35度の炎天下で駐車した車内のエアコンを止めると、1時間以内に車内温度が50度を超え、ダッシュボード付近では最高で79度に達した。15分で熱中症指数は危険レベルに達し、40分でさらに危険な水準になる。このような状況では、特に子ども、高齢者、ペットなどを車内に残すことが命に関わる事故を引き起こしかねない。

 高温は人体だけでなく、車両にも悪影響を及ぼす。ダッシュボードやシートなどの内装材は、紫外線と熱によって変色やひび割れを引き起こしやすくなる。さらに、カーナビやドライブレコーダーなどの電子機器は熱に弱く、高温下では誤作動や故障のリスクが増加する。スマートフォンを車内に置き忘れると、バッテリーの劣化や発火の危険性もともなう。

 こうした問題に対処するため、従来から様々なタイプのサンシェードが販売されてきた。吸盤でフロントガラスに取り付けるタイプは、安価で手軽に購入できるが、吸盤が劣化して外れやすくなる、ガラスに跡が残るといったデメリットがある。また、ワイヤーフレームで自立し、折りたたんで収納するタイプは、設置や収納に手間がかかり、車種によってはサイズが合わなかったり、隙間ができやすいという問題があった。

 ユーザーの間では、より手軽で効果的なサンシェードを求める声が高まっており、こうしたニーズに応える形で新たに登場したのが「ロール式」サンシェードである。

 近年、設置が簡単で機能的な「ロール式」サンシェードが市場で注目を集めている。本記事では、ロール式サンシェードの登場背景やユーザーに支持される理由、今後の可能性について、具体的なデータを交えて深掘りしていく。

利便性と機能性を両立

 ロール式サンシェードが多くのユーザーに支持される主な理由は、その圧倒的な利便性にある。ほとんどのロール式サンシェードは、運転席または助手席側のサンバイザー付近に取り付け、使用時にスクリーンを引き出して反対側のピラーなどに固定する仕組みを採用している。

 このため、従来のように広げて位置を調整したり、吸盤で固定する手間が省け、数秒で設置・収納が可能になる。クラウドファンディングなどで紹介されている製品の中には、ワンタッチで自動巻き取りできる機能を備えたものもあり、その手軽さは特筆すべき点だ。

 機能面でもロール式サンシェードは優れた性能を持つ。多くの製品では、遮光性や断熱性に優れた素材が使用されており、遮熱効果は22%程度から、UVカット99%を謳うものまで様々だ。

 さらに、ロール式サンシェードはドライバーの視界を妨げない設計がなされている。収納時はコンパクトに収まり、運転中の前方視界やサイドミラーの確認を遮ることがない。

 車種や取り付け方法によってはサイズ調整や固定方法に注意が必要だが、安全性と快適性を両立している点が、ロール式サンシェードが選ばれる理由のひとつである。

アウトドアブームが後押し

 ロール式サンシェードの普及を後押しする要因のひとつが、近年のアウトドア需要の高まりである。

 日本オートキャンプ協会が発行する「オートキャンプ白書2024」によると、2023年のオートキャンプ参加推計人数は280万人となり、コロナ禍前の水準には戻っていないが、アウトドアレジャーへの関心は依然として高い水準を保っている。特に、手軽に始められる車中泊への関心が増している。

 このような背景のなかで、自動車用サンシェードの役割も変化している。単なる日除けや断熱にとどまらず、プライバシー保護や防犯対策が重要視されるようになった。ロール式サンシェードは車外からの視線を効果的に遮るため、車中泊や休憩時のプライバシー確保に役立つ。また、車内の様子が見えにくくなることで、車上荒らしなどの犯罪抑止にも寄与する。

 キャンプや車中泊だけでなく、日常の買い物や送迎、長距離ドライブなど、さまざまなカーライフシーンで、その利便性と多機能性がユーザーに受け入れられている。

自動車用サンシェードの未来

 2022年、世界の自動車用サンシェード市場規模は約15億米ドルとされ、2030年には28億米ドル(約4120億円)に達する予測が立てられている。2024年から2030年までの年平均成長率は

「8.5%」

と予想されている。サンシェード業界では、ロール式だけでなく、素材技術や機能性の向上が進んでいる。新素材の開発による遮光性や断熱性の向上、軽量化、耐久性の強化など、基本性能は着実に進化している。

 そのなかでも注目される技術革新が「電動サンシェード」だ。スイッチやボタンで開閉できる電動サンシェードは、手動式に比べて利便性と耐久性が高い。紫外線遮断やプライバシー保護、車内温度調整など、快適性向上にも寄与する。

 2023年の時点で、自動車用電動サンシェード市場は成長を続けており、今後も高い成長率が予測されている。特に高級車や電気自動車(EV)において需要が高まっており、タッチレス操作やアプリ連携などのスマート機能を備えた電動サンシェードの開発も進んでいる。

 また、サイドウインドウ用サンシェードの電動化も進展している。世界の自動車サイドウィンドウサンシェード市場は、2023年の約32億9,000万ドルから2033年には53億1,000万ドルへ拡大する見込みだ。特にアジア太平洋地域が最大の市場シェアを占め、日本を含むこの地域での自動車保有台数の増加と環境意識の高まりが市場成長を支えている。

 今後、自動車用サンシェードは遮熱や断熱機能に加えて、プライバシー保護、防犯、エネルギー効率向上などの多機能化が進むと考えられる。自動車メーカーとサンシェードメーカーの連携による車両設計段階からの統合、環境配慮素材の採用、IoTやAI技術を活用した自動開閉や最適制御など、技術革新の可能性は大きい。

 実際、主要メーカーは持続可能性やコスト効率の向上にも注力しており、今後はより多くの車種やユーザー層に普及することが期待される。

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みんなのコメント

15件
  • はま
    楽になってくれるのなら良いけど、実際格納してる状態でも窓に設置してたら道路交通法違反だし、毎回毎回設置するならパッと広がる方が収納も手間も楽なんだよねー。いっそオプションでシェードが出てくる方がニーズあり
  • Pipin
    風に飛ばされるリスクを無視すれば、車の外側にサンシェードを張り付けるのが一番効果がある。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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