車の歴史 [2026.05.30 UP]
日本が誇るプレミアムオフローダー、トヨタ ランドクルーザー【名車の生い立ち】
ここ10年以上、SUVは世界的なブームなのは多くのひとが知るところ。特にオンロードでも使いやすいクロスオーバーSUVは、長らく人気のカテゴリーでした。しかし、ここ最近その風向きが変わりつつあります。それは、オフロード志向のSUVが増えているということ。なかでもいまホットなモデルといえば、ランドクルーザーFJ。リジッドアクスルのリアサスを採用し悪路走破性を確保。タフな見た目とリーズナブルな価格で新たなユーザー層にアピールしています。そこで今回は、ランドクルーザーの75年にも及ぶ歴史を振り返ってみましょう。
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『名車の生い立ち』時代の移り変わりとともに変わりゆく自動車だが、一時代を築いた車は後世まで語り継がれ、やがて「名車」と呼ばれる。ここではそんな、いつの時代も色褪せることなく輝きを放つ名車にスポットライトをあて、歴史を振り返りつつ魅力に迫っていく。www.goo-net.com
ジープの名を冠した初代ランドクルーザー(BJ)
1951年 トヨタ ジープ BJ型
太平洋戦争が終わり、戦後復興が大きく前進した1950年代。ちょうどこの頃、朝鮮戦争が勃発。戦争特需により、ウィリス・オーバーランド社が開発したジープが需要を大きく伸ばした時代です。一方日本では、警察予備隊(現・陸上自衛隊)向けに設計されたトヨタ ジープBJ型が誕生。ほかにもウィリス・ジープのライセンス生産車である三菱 ジープ、日産 4W60(パトロール)が開発され、次々と名だたるオフローダーの祖先が生まれました。
警察予備隊の車両は、最終的に三菱ジープが採用されましたが、トヨタ ジープBJ型は民生用に転換され、1953年に量産化をスタート。なお「ジープ」はウィリス・オーバーランド社の商標であることから、翌年6月に車名を「ランドクルーザー」に変更されています。まだ一般向けのモデルではなかったものの、国家地方警察のパトロールカーとして活躍しました。そしてこのBJ型こそ、令和の時代まで続くランドクルーザーの祖となるのでした。
海外市場にも展開。民間用として販売台数を伸ばした20系/40系
1955年 トヨタ ランドクルーザー 20系
初代のランドクルーザーは軍事色が濃く、その用途は限られたものでした。しかし、1955年11月に発表された2代目ランドクルーザー(20系)は民間用として開発。BJ型からBJ25型となり、パワートレインには3.9L 直6を追加。ボディサイズは全長およそ3.8mと、今の視点でみるとコンパクトですが、トラック、診療用、消防用など多くのバリエーションが用意されました。見た目も、いかにも軍用車といったBJ型とは異なり、親しみやすいデザインに。また、北米をはじめとする海外市場に展開されたこともトピック。これ以降、ランドクルーザーは海外でもシェアを伸ばしていきます。
1960年 トヨタ ランドクルーザー 40系
1960年8月には3代目(40系)がデビュー。ホイールベースは発売当初から2285mm、2430mm、2650mmと3種類で展開され、さらに海外市場にはピックアップ、キャブ&シャシー用に2950mmも追加。大量生産化により、世界中に普及しました。また1974年にはランクルとしては初となるディーゼルエンジンも設定。日本では小型貨物登録(4ナンバー)できたため、より身近な存在となりました。こうして40系は、1984年までの24年間、他の追随を許さぬロングセラーとして歴史に名を刻んだのです。
実用性に富んだステーションワゴンの誕生(55系/60系/80系)
1967年 トヨタ ランドクルーザー 55系
1960年代に入ると、本格的なマイカーブームが到来します。これに合わせて1967年8月、ランドクルーザーに新シリーズ(55系)が投入されました。ホイールベースを2700mmとし、40系とは異なるモダンなステーションワゴン(日本ではバン扱い)としてデビュー。ボディサイズは全長4675mmと大柄で、ランドクルーザーならではの悪路走破性と快適性を両立した55系は、富裕層や北米ユーザーを中心に愛されました。なお、この愛らしいスタイルから、「Moose(ヘラ鹿)」の愛称で呼ばれることもあります。
1980年 トヨタ ランドクルーザー 60系
1980年8月、55系ランドクルーザーはフルモデルチェンジを受けて60系に進化。エクステリアはさらに洗練され、エアコンやパワステなどの快適装備も充実化。日本における法規上は先代と同じく商用バン登録になったものの、その高い実用性から一般家庭の自家用車として高い人気を獲得しました。1984年には国産4WDとして初のAT車を設定したのも話題に。フロントシートはベンチタイプからセパレートタイプに変更され、クルマとしての魅力を大きく高めた世代といえます。
1989年 トヨタ ランドクルーザー 80系
1989年10月、ステーションワゴン系のランドクルーザーとして3世代目の80系にモデルチェンジ。ボディサイズは5mに迫る全長4970mmとなり、ターゲットを北米市場にフォーカス。海外メーカーのプレミアムオフローダーにも劣らぬ快適性、そして贅沢なクルマに仕立てられました。ボディはワゴン、バンが設定され、前者には4.0L 直6ガソリン、後者には新開発の4.1L 直6ディーゼルを搭載。ワゴンは3列シート8人乗りになったほか、4WDには従来のパートタイム式に加えて新開発のフルタイム式も設定され、より使いやすくなったのが特徴です。
幾度も改良を重ねて進化した人気世代70系
1984年 トヨタ ランドクルーザー 70系
少しだけ時間を巻き戻しましょう。ロングセラーとなった名車、40系の後継として、1984年11月に発売されたのが70系ランドクルーザー。エクステリアが一新され、フロントガラスに曲面ガラスを用いることでスタイリッシュに進化したのが見どころ。室内はグッと広くなり、実用性がさらに高まったこともトピックといえましょう。ホイールベースは、2310mmから3180mmまで全5タイプを設定。ボディやソフトトップ、バン、さらにFRPトップも設定することで、多目的に使えるオフローダーとなったのが特徴です。その硬派な悪路走破性、さらに圧倒的な耐久性は国内外から絶大な信頼を獲得しました。
1999年 トヨタ ランドクルーザー 70系
1999年、70系にマイナーチェンジが行われました。フロントサスペンションはリジッドアクスルのまま、リーフスプリングからコイルスプリングに変更することで乗り心地を改善。輸出向けに4.5L V8ディーゼルエンジンも設定するなど、性能アップが図られました。同時にエクステリアも改良され、3本の水平バーで構成されたスリットグリルを採用。日本向けは2004年に販売が終了しましたが、海外市場では2007年にエクステリアを大幅にリニューアルし、引き続き生産・販売されました。
2014年 トヨタ ランドクルーザー 70系
しかし、70系ランドクルーザー再販要望の声は止むことがなく、ファンのラブコールに応えるかたちで2014年に期間限定で再販されました。ラダーフレーム構造による強固なシャシー、パワフルな4.0L V6エンジンを搭載しつつ、内外装を現代風のデザインに改良。バンに加えてダブルキャブのピックアップトラックも追加し、ラインアップを充実させたことも話題となりました。
ライトデューティ系「プラド」の誕生(70系/90系/120系/150系)
1985年 トヨタ ランドクルーザーワゴン 70系
70系ランドクルーザーは、本格的なオフロードカーゆえ、一般ユーザーが乗るにはややハードコアな一面がありました。「もっと気軽にランクルの走りを楽しみたい!」そんな声に応え、1985年10月に追加されたのがランドクルーザーワゴン(70系)。ショートボディのバンをベースに、2.4L 直4ターボディーゼルを搭載。ちょうどこの頃、日本ではクロカンブームが到来し、普段使いもできるランクルワゴンは大ヒット。1990年4月には車名が「ランドクルーザープラド」に変更され、ロングホイールベースの5ドアも追加されました。そして、このカテゴリーの王者だった三菱 パジェロに真っ向勝負を挑んだのです。
1996年 トヨタ ランドクルーザープラド 90系
1996年5月、プラドは2代目(90系)に進化。エクステリアはより乗用車的になり、3ドアのショート(5名乗車)、5ドアのロング(8名乗車)を設定。ボディは大きくなり、ともに3ナンバーサイズとなりました。エンジンは、新たに3.4L V6ガソリンを設定。駆動方式はパートタイム4WDからフルタイム4WDに変更され、サスペンションはハイラックスサーフと同じくフロントがダブルウィッシュボーン、リアが4リンクが与えられました。
2002年 トヨタ ランドクルーザープラド 120系(左)/2009年 トヨタ ランドクルーザープラド 150系(右)
2002年10月、3代目プラド(120系)が登場。新設計の高剛性フレームを採用し、これまで以上に走行安定性や静粛性を高めているのが特徴です。センターデフには新開発のトルセンLSDを採用し、よりスムーズな走りを手に入れました。2009年9月には4代目プラド(150系)に進化。国内向けはロングホイールベース車に集約し、2.7L 直4と4.0L V6のガソリンエンジンを搭載しました。さらに、低速でのオフロード走行をサポートするクロールコントロール、走破性を高めるマルチテレインセレクトなど、オフローダーとしての性能アップを図ったことも見逃せません。内外装は大きく、そしてさらに豪華になり、フラッグシップのステーションワゴン系にも劣らぬ車格を備えていきます。
平成時代、高級化路線を突き進んだステーションワゴン(100系/200系)
1998年 トヨタ ランドクルーザーシグナス 100系
ランドクルーザーは、本流のヘビーデューティ(70系)、そこから派生したステーションワゴン(80系)、よりカジュアルなライトデューティ(プラド)の系譜に分岐していきました。なかでもランクルファミリーのフラッグシップを担っていたのがステーションワゴン系。特に90年代後半、メルセデスやBMWのプレミアムブランドはSUV市場に参入し、世界の富裕層から大きな注目を浴びていました。この市場に早くから根を張っていたランドクルーザーはそれを傍観するわけにもいかず、さらなるテコ入れを図ったのです。1998年1月、80系の後継として100系ランドクルーザーが登場。ボディサイズを大型化し、オフロード性能はもちろんラグジュアリー性もさらにアップ。そして同年12月にはシリーズの頂点に位置するランドクルーザー シグナスを追加。4灯ヘッドライト、16インチクロームメッキホイールなどが採用され、ランドクルーザーのブランド力を底上げしました。
2007年 トヨタ ランドクルーザー 200系
2007年9月、ステーションワゴンはフルモデルチェンジを受けて200系が登場。セパレートフレーム構造のシャシーが一新され、耐久性や衝突安全性が現代基準に押し上げられました。全長は60mm延長され、4950mmに。エンジンは、4.7L V8を搭載し、快適性は高級セダンに匹敵するほど。一方、クロールコントロール、トルセンLSD付きトランスファーを標準装備し、オフロード性能も一級品。まさに道を選ばぬオールラウンダーに相応しい走りを獲得したのです。
たゆまぬ進化を続ける令和のランドクルーザー(250系/300系/FJ)
2021年 トヨタ ランドクルーザー 300系
時代は平成から令和に移り、2021年8月に登場したのがランドクルーザー300。これは200系の後継モデルで、14年ぶりのフルモデルチェンジとなりました。プラットフォームはTNGAに基づく「GA-F」へと刷新。高剛性かつ軽量になったことで、動力性能が飛躍的に向上したのです。パワートレインはV8モデルが廃止され、日本仕様にもディーゼルが復活。3.4L V6ガソリンターボ、3.3L V6ディーゼルターボが与えられました。また、スポーツモデル「GRスポーツ」を追加し、ランクルの新たな価値観を訴求。少し前、新型コロナウィルス感染症が世界的に大流行し、自動車の需要が供給を上まわりました。新世代のランドクルーザーに予約が殺到し、1年以上の納車待ちという事態に。
2024年 トヨタ ランドクルーザー250
2024年4月には、プラドの系譜にあるランドクルーザー250の発売がスタート。高級化路線を突き進んできたプラドのコンセプトを見直し、実用性を重視したよりカジュアルなランドクルーザーへの原点回帰が図られました。プラットフォームは300系と同じくGA-Fを採用し、快適性と悪路走破性を高次元で両立。また、ランドクルーザーとしては初となる電動パワーステアリングを採用し、キックバックを低減させ走りやすさを追求したのもトピックです。ボディサイズは、ランドクルーザープラドから拡大され、全長4925mm、全幅1980mmに。また、発売と同時に設定された特別仕様車「ファーストエディション」には、原点回帰を強調した丸型のLEDヘッドランプやマットブラックのアルミホイールが採用されました。
2026年 トヨタ ランドクルーザーFJ
そして初代ランドクルーザーの発売から75年を迎えた2026年、新たなシリーズが加わりました。ステーションワゴンの300系、ヘビーデューティの70系、ライトデューティの250系に加え、FJシリーズが登場。コンセプトは、「Freedom & Joy」。これまでのランドクルーザーは、もっともカジュアルなプラドや250系でもサイズが大きく、高価なクルマ。だれもが気軽に手に入るモデルとはいえませんでした。多くのひとが気軽に乗れるクルマを目指して開発されたFJは、全長4575mm、全幅1855mmとランドクルーザーとしては非常にコンパクト。それでいながら、伝統のラダーフレームを採用し悪路走破性をしっかり確保しているのが特徴です。
令和が始まってからのランクル攻勢、これはかつてブームだったオフローダーへの回帰を感じずにはいられません。今後も魅力的な特別仕様車や派生モデルが出てくるのは間違いないでしょう。
以前の記事はこちら
https://www.goo-net.com/magazine/contents/history/282623/https://www.goo-net.com/magazine/contents/history/280732/
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