レクサスのラインナップでもっともコンパクトなモデルである「LBX」。自販連によると、2025年の年間登録台数は2万826台を記録し、普通車全体では31位。2026年も1〜7月で1万579台を記録し、月販1,500台を超える月もあるなど、好調なペースを維持しています。
かつて自動車業界では「小さな高級車は売れない」といわれましたが、LBXの販売実績をみる限り、そのジンクスは過去のものとなった印象を受けます。なぜLBXはこれほど安定して支持されているのか。その理由を探ります。
【画像ギャラリー】小さくても妥協なし!! レクサス最小SUV「LBX」(14枚)
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:LEXUS
小さくても妥協しない!! 「サイズのヒエラルキー」を超えたLBX
「Lexus Breakthrough X(cross)-over」の頭文字をとってその名がつけられた、レクサス「LBX」。コンパクトなサイズであっても走りやデザインの上質さを譲らず、「サイズのヒエラルキー」を超えるという考え方で開発されたモデルです。
その考え方を、実際のクルマのあり方として表したのが、「気負わず自然体で乗れるクルマ」という開発目標です。単に大きなレクサスを小さくするのではなく、コンパクトだからこその扱いやすさや身近さを生かしながら、レクサスらしい上質さも追求しています。
プラットフォームには、トヨタのコンパクトカー向けTNGA「GA-B」をベースに、レクサス専用の改良を施したものを採用。ボディサイズは全長4,190mm、全幅1,825mm、全高1,545mm、ホイールベース2,580mmです。同じく「GA-B」を採用するヤリスクロスの全長4,180~4,200mm×全幅1,765mm×全高1,580~1,590mmと比べると、全長こそほぼ同じですが、LBXは全幅が60mm広く、全高は低く抑えられています。
ただ、小回り性能ではヤリスクロスをわずかに上回り、最小回転半径はヤリスクロスの5.3mに対し、LBXは5.2m。コンパクトなボディサイズと相まって、都市部や狭い路地でも扱いやすいパッケージとなっており、まさにLBXが目指した「気負わず自然体で乗れるクルマ」という考え方が具現化されているといえます。
エクステリアは、滑らかな曲面とエッジの効いたシルバーラインを組み合わせた、レクサスらしい上質なデザインです。レクサスの新世代フロントマスク「ユニファイドスピンドル」やワイドフェンダーなどによって、スポーティな雰囲気も加えています。足元には、17インチ(225/60R17)または18インチ(225/55R18)のタイヤを設定し、ワイドなスタンスを強調。ハイパフォーマンス版の「MORIZO RR」では、19インチ(235/45R19)タイヤを採用しています。
インテリアは、ドライバーを包み込むようなラウンド形状のコックピットデザインを採用。インパネやドアトリムには上質な素材や加飾があしらわれ、ラグジュアリーでありながら適度にスポーティな空間に仕立てられています。運転席からの視界も良好で、車両感覚を掴みやすい点もLBXの特徴です。
扱いやすいだけじゃない!! 「走りの質」にもこだわったLBX
パワートレインは、1.5L直列3気筒エンジン(最高出力67kW/91PS、最大トルク120Nm)にフロントモーター(69kW)を組み合わせたハイブリッドです。電気式4WDの「E-Four」には、最高出力4.7kWの後輪用モーターが備わります。車重1,300~1,390kg(標準モデル)のボディに対し、日常域での扱いやすさを重視した構成です。
もちろん、扱いやすさだけを求めたわけではありません。コンパクトなボディであっても、静粛性や乗り心地といった「走りの質」までしっかり作り込んでいるところは、レクサス車ならでは。2025年5月の一部改良でも、リヤショックアブソーバーのシリンダサイズを拡大するなど、足まわりに手が加えられました。減衰特性や電動パワーステアリングの制御も再適合され、段差を通過した際の振動の収まりや乗り心地を一段と向上させています。
ハイパフォーマンスモデルの「MORIZO RR」では、パワートレインも通常モデルから大きく変わります。GRヤリスやGRカローラ譲りの1.6L直列3気筒インタークーラーターボエンジンを搭載し、最高出力224kW(304PS)、最大トルク400Nmを発生。トランスミッションにはダイレクトシフト8速AT(Direct Shift-8AT)に加え、レクサス国内初となる6速マニュアル(iMT)を設定しました。コンパクトSUVの枠組みを大きく超えた、本格スポーツモデルに仕上がっています。
ボディも通常モデルから手が加えられており、全幅は15mmワイド化され、全高は10mmローダウン。19インチタイヤなども組み合わせ、コンパクトなボディを生かした俊敏な走りを追求しています。まさにクルマ好きを唸らせる、贅沢なハイパフォーマンスモデルです。
420万円からのLBXは高い!? それでも選ばれる理由
2026年8月時点のLBXの車両価格は、「Elegant」が420万円から、「Active」が440万円から、「Cool」と「Relax」が460万円から、「Bespoke Build」が550万円から。ハイパフォーマンスモデルの「MORIZO RR」は680万円、「MORIZO RR “Bespoke Build”」は756万円です(いずれも税込み価格)。
レクサスラインアップのなかでは手ごろな価格帯ではありますが、全長4.2mに満たないコンパクトSUVとしてみれば、相応に高額なモデル。
それでもLBXが一定規模の販売を維持していることは、「大きなクルマほど偉く、高級である」という従来のヒエラルキーにとらわれず、コンパクトなプレミアムカーを選ぶ価値観が受け入れられていることの表れとも考えられます。自分にとって扱いやすいサイズを選び、それでも上質さや所有する満足感は妥協したくない。そんなユーザーにとって、LBXは魅力のある選択肢となっているのです。
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ダウンサイジングを妥協ではなく積極的な選択肢へと変え、「大きくなくてもプレミアムカーを所有する満足感は得られる」という新たなスタンダードを提示した、レクサスLBX。
扱いやすいサイズ、クラスを超えた内外装の質感、そして走りの質感に価値を見出せるユーザーにとって、LBXは唯一無二の魅力を持っています。LBXはレクサスのラインナップにしっかりと居場所を築いたといえそうです。
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