コンパクトなボディのFRクーペとして希少な存在になっているBMWの2シリーズクーペが年内にフルモデルチェンジする予定だという。
その次期型2シリーズクーペはまだ開発途中だが、プロトタイプにいち早くドイツ在住のモータージャーナリストである木村好宏氏が試乗する機会を得た。
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プロトタイプのため、その姿はカモフラージュによってベールに包まれていたが、次期型2シリーズクーペの「230i」と「M240ixDrive」の2モデルに試乗。FRレイアウトを踏襲するという注目の次期モデルの走りはどうなのか?
文/Y.Kimura 写真/BMW
【画像ギャラリー】発表間近! 開発コード"G42" ベールに包まれた次期2シリーズクーペはこちら!!
■BMWの名車「2002」の直系がフルモデルチェンジ!
BMW2002クーペの伝統を受け継ぐ次期2シリーズは2021年中に登場予定
コンパクトでスポーティなBMWといえば、現在ではFFの1シリーズ(F40)が主流になってきている。しかし2014年から販売されている後輪駆動の2シリーズクーペ(F22)はもっとBMWらしいダイナミックな性格を持っている。
ただ、このクラスで2ドアという稀有なレイアウトゆえに表舞台に立っていたのはM2コンペティション、あるいはM2 CSのような尖がったモデルだといえる。
さらに前輪駆動コンパクト・プラットフォーム(UKL)をベースにした紛らわしいモデル名の2シリーズ グランクーペ(F44)が2020年に登場すると、その存在はさらに薄くなってしまった。
しかし、今でもBMWのアイコンとして記憶に残る1960年~1970年代に生産された2002(マルニ)の直系であるこの2シリーズクーペはフルモデルチェンジを受けて再登場する。
今回紹介する開発コードG42と呼ばれる次期モデルはもちろん後輪駆動が継承され、サイズも現行モデルよりも大きく、たくましくなっている。
■開発が大詰めを迎える新型2シリーズ プロトタイプに試乗!
BMWが公開した次期型2シリーズクーペ。カモフラージュのせいで細部はよく見えないが、M3/M4のような縦長のグリルではなさそうだ
ロングノーズ・ショートデッキという、典型的な後輪駆動のプロポーションも踏襲する
今年の夏までには正式発表されるニュー2シリーズはすでに開発の最終段階を迎えているが、レポーターはこの最終プロトタイプを試乗するチャンスを得た。
完璧なカムフラージュを施されたニュー2シリーズのデザインは推測するしかないが、わずかに垣間見られるヘッドライトは細長くフェンダーまで回り込んでいる。さらにグリルの開口部から見るとはどうやらM3やM4に見られるような縦長のビッグキドニーではなさそうである。
フロントバンパースポイラーの両脇にはエアカーテンを発生させるスリットが設けられスポーティな印象を得ている。さらに観察するとボンネットにはパワードームが筋肉のように盛り上がっている。
またルーフにはパノラマルーフを装備(多分オプション装備)していてキャビンに解放感を与えている。短いトランクリッドの上縁にはリップスポイラー、そして下方には台形の断面を持ったマフラーカッターが左右にならんでいる。
ボディは現行モデルよりもひと回り大きく、公表された数字によればホイールベースは51mm延長され2.74mへ延長された。これは2シリーズグランクーペと3シリーズの中間にあたる。ただしシルエットはロングノーズ・ショートデッキの典型的な後輪駆動のプロポーションを持っている。
一方、インテリアは現行モデルに見られるBMWオペレーティング7.0をOSに持ち、フルデジタルで音声入力も可能である。
■新型230iには最高出力245psの2L 直4ターボを搭載
次期2シリーズはCLAR(クラスター・アーキテクチャー)と呼ばれるプラットフォームを使用するが、これは現在では3シリーズ以上の後輪駆動モデルに広く使用されている。
BMWのマイザッハ・テストコースに用意されたニュー2シリーズは「230i」と「M240ixDrive」の2モデルで、前者は後輪駆動で180kW(245馬力)を発生する2L 4気筒ターボを、4輪駆動の後者には275kw(374馬力)を発生する3L 6気筒ターボを搭載。ともに8速オートマチックトランスミッションと組み合わされる。
テストのブリーフィングでリリースされた0-100km/hの加速所要時間はそれぞれ5.9秒と4.5秒と発表された。
まずは230iで一般道路からテストがスタートする。ピックアップに優れたエンジンはすでに知られた存在なので、この日はおもに新しくなったシャーシ関連のチェックに集中した。
とりわけ、今回の2シリーズの重要な開発目的のひとつは1シリーズとの差別化を図るために、スポーティなキャラクターを強調することであった。
それゆえにまず行ったのはボディ剛性をアップさせることで、同行していただいた開発エンジニア、メッツ氏によれば各部に補強材を加えて(図を参照)特にボディの局所的な剛性をアップ。その結果、静的捻じれ剛性は12%アップしているという。
3シリーズ等に搭載されているCLAR(クラスター・アーキテクチャー)プラットフォームを採用。オレンジ色で示された補強材の追加により、静的捻じれ剛性は現行型から12%向上した
また、前後トレッドの拡大とフロントネガティブキャンバーの0度30分増の結果、コーナーでは安定した挙動を示してくれた。
さらに現行3シリーズで導入されたストローク対応式可変ダンパーを採用、固めのサスペンションセッティングでもプログレシブな動きで前後アクスルに調和を保った接地性を可能にしている。
もちろん前後アクスルの荷重比は限りなく50対50に近い。この新しいシャーシは荒れた路面での乗り心地を悪化させることなく、スポーティでバランスのとれたハンドリングを可能にしている。
さらにプルービンググランド内のハンドリングコースではノーズの軽さと確実にコントロール下に置くことができる4気筒ターボエンジン、そして電子制御のデフロックの助けによって、驚くほど素性のいいライトウェイトなコンパクトスポーツクーペであることを証明してくれた。
ドイツではこの230iにもオプションで4WDシステムを注文することができるが、4気筒モデルは後輪駆動のほうがスロットルワークとステアリング操作による基本的なスポーツドライブを楽しめるはずだ。
■上級モデルM240i xDriveはBMW伝統の3L 直6ターボ!
M240i xDriveに搭載された3L 直6ターボエンジンは最高出力374psを発揮する。0-100km/h加速は4.5秒
さらに続いてM240i xDriveに乗り換えてのテストを実施。このラウンドではインストラクターが現行M2で先行してテストコースと一般道を走った。
3L、374馬力のストレートシックスを搭載したこのモデルは明らかにパワフルでスロットルを踏み込むとトルクステアを感じるほどであった。
シャーシセッティングはアダプティブダンパーを搭載していたが、先行して乗った230iよりも乗り心地は明らかにハードで一般道路の荒れた路面ではゴツゴツと尖ったショックがお尻に伝わってくる。
しかし路面のいい自動車専用道路やアウトバーンでは吸い付くような安定走行でリミッター近くの速度(250km/h)まで一気に快適に到達する。
またハンドリングコースでは前(+52mm)後(+31mm)ともに広がったトレッド、そしてミシュランの19インチタイヤ(フロント245/35ZR19)(リア255/35ZR19)、さらに剛性がアップしたボディのおかげで、コーナリング、そして現行M2にも勝るとも劣らないダイナミックなパフォーマンスを披露した。
この2シリーズ(G42)の生産は今夏の終わり頃からメキシコのサン・ルイス・ポトシー工場で行われ、秋までにはドイツで正式発表される。
まだBMWからの発表はないが、ドイツでの価格は現行2シリーズよりも高めでM240ixDriveのベースモデルは52,000ユーロ(約680万円)と予想されている。なお、日本への発売時期や価格についての情報は現時点ではまだ発表されていない。
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