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F1分析|角田裕毅、活かし切れなかった新品持ちタイヤ……1回目のピットストップは中途半端だったのでは?

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F1分析|角田裕毅、活かし切れなかった新品持ちタイヤ……1回目のピットストップは中途半端だったのでは?

 F1カタールGPで、アルファタウリの角田裕毅は11番グリッドからスタートしながらも、15位フィニッシュ。またも入賞に届かなかった。

 角田はレース後のコメントで「速さが足りなかった」と語っているが、それだけではなく戦略面に関しても、もう少し違った組み立て方ができたのではないかとも思えてくる。

■F1分析|カタールGPの決勝最速ラップは1分24秒3! スプリント予選よりも速い異常事態……全周全開アタックの超過酷レースのラップタイムを検証

 前戦日本GPでは、フリー走行でタイヤを多く使ってしまったことで決勝の戦略の選択肢が絞られてしまい、入賞を逃すことになった角田。今回のカタールGPでは、フリー走行や予選でタイヤを節約し、さらにF1スプリントでも新品タイヤを使わず、決勝に新品タイヤを残した……明言はされていないものの、F1スプリントを捨ててまで、決勝に全てをかけた、そんな風にも見えた。

 その甲斐もあって角田は、ハードタイヤの新品2セット、ミディアムタイヤの新品2セット、そしてソフトタイヤの新品1セット……合計5セットもの新品タイヤを残して決勝に挑むことになった。しかも11番グリッドとまずまずのポジションからスタートであり、入賞の期待が高まった。

 スタートで8番手にポジションを上げた角田だったが、その後は徐々にポジションを落としてしまう格好となり、結局は15位でのフィニッシュ。入賞には大きく届かなかった。

 このレース中のペースを見ると、いくつか他のチームとは異なる戦略をとっていることが分かる。そしてそれが、最終的にまたも戦略の選択肢を狭めてしまったように感じられる。

■早めのピットストップで、戦略の幅を狭めた?

 上のグラフは、F1カタールGP決勝レースの中団グループのレースペース推移をグラフ化したものである。このうち、紺の折れ線グラフが角田だ。



 これを見ると、11~21周目の角田のペースは、他に比べて悪くないように見える。ここのペースだけを見ると、なぜ入賞を逃してしまったのか、理解に苦しむところだ。

 しかし実はこの角田のペースは、2セット目のタイヤを履いてのスティントであった。角田は新品のミディアムタイヤを履いてスタートに臨んだが、9周目にこのタイヤを諦めてピットイン。2セット目のタイヤに履き替えた。まずこの判断は理解が難しいところだ。

 今回のレースでは、1セットのタイヤを18周を超えて使ってはいけないことになっていた。しかし角田は、その半分の距離でタイヤを交換することになったのだ。しかも4周目まではセーフティカーが出動していたため、実質的にレーシングスピードで走ったのは5周のみだった。

 確かにこの時の角田は、ハースのニコ・ヒュルケンベルグに抜かれ、その後は引き離される展開だった。また後方からはウイリアムズのアレクサンダー・アルボンにプレッシャーをかけられていた。そのため戦略を変更したのではないかと思われる。

 角田は2スティント目にもミディアムタイヤを選び、まずまずのペースで走ったが、13周を走ったのみで2回目のピットに入った。

 この時点で残りは35周。つまりこの時点で、ハードタイヤ2セットをほぼ制限最大まで使わなければならないということが確定した。つまり、土曜日までタイヤを節約し、広げていたはずの戦略の幅が、ここでなくなってしまったわけだ。

 そしてその後、ハードタイヤを履くと角田のペースは上がらず、ポジションを下げることになった。

 こうなってしまった原因は、やはり最初のピットストップのタイミングにあったと言えないだろうか?

 レース序盤、3周目を終えたところでは、4台のマシンがピットに入った。これらのマシンは、残りの周回数を18周×3スティントでギリギリ走り切れるというタイミングでピットに入った。彼らはこの時点で、戦略の選択肢がなくなってしまったわけだが、その3周目はセーフティカー先導中であり、ピットストップでのロスタイムがごく僅かで済むばかりか、タイヤ交換を済ませていない隊列に追いつくこともできた。まさに絶好のタイミングであった。

 しかし角田がピットストップした9周目は、前述の通り前後にマシンがいたということはあるが、先にピットストップを行なったマシン全てにも当然先行されてしまうこととなり、旨味はなかった。

 2回目のピットストップも、ペースが上がらない状況を考え、ハードタイヤでのパフォーマンスに賭けることを選択し、タイミングを早めたのだろうが、結局はこれは功を奏さなかった。

 なおレース序盤の各車の戦略を見ると、ミディアムタイヤでスタートしたドライバーたちは、許されている制限のギリギリまでタイヤ交換を遅らせている。制限の周回数を大きく残してピットストップしたのは、3周目にピットストップした4台を除けば、角田と13周目にピットストップしたローガン・サージェントのみだった。

 そういう意味では、3周目にピットストップしないのならば、他と同じように、上限である18周に近い周回まで引っ張るべきだったように思える。そしてハードを履き、ミディアムとのパフォーマンス差をチェックしたのち、その結果次第で第3スティントをミディアムにするかハードにするか選択するのだ。そうすれば、最終スティントで新品ソフトタイヤを履き、ポジションを上げることもできたかもしれない。

 それはまさに、アルファロメオの周冠宇が採った戦略だ。周はミディアムタイヤでスタートし、最大限の18周を走行。その後ハードタイヤで17周×2スティント走って、残りの5周を新品のソフトで走った。彼はこの戦略を活かし、19番グリッドからのスタートながら9位入賞してみせたのだ。

 ただ、ハードタイヤを履いた時の角田のペースを考えると、周のペースからは大きく劣っていたため、入賞は難しかったかもしれない。それほどまでにアルファロメオのペースは優れていた。

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みんなのコメント

1件
  • 後半は燃料が不足していて、ストレートでアクセルを緩める低燃費走行を強いられていました
    戦略やマシンの性能以前に、燃料の搭載量を間違っていたのでスタートする前に負けていました
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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