グレード問わず普段使いで高い満足感
ポルシェ・マカン・エレクトリックは、グレード問わず普段使いで満足感の高い走りを享受できる。ステアリングホイールの重さや反応、アクセルペダルの踏み心地とパワー感、引き締まった姿勢制御で、ブランドらしい一体感が醸し出されている。
【画像】やっぱりシンプルがベスト ポルシェ・マカン・エレクトリック 競合する電動SUVたち 全147枚
電動パワートレインの進化で、ランボルギーニ・ウルス級の動力性能を与えることが大変ではなくなった。ツインモーターのマカン・ターボ・エレクトリックは585psを発揮し、0-100km/h加速を3.5秒で処理するが、一般的には過剰な速さといっていい。
むしろ、シングルモーターでも不満はないはず。ローンチコントロール時は360psまで上昇し、0-100km/h加速は5.2秒。50km/hから110km/hまでの中間加速も、4.2秒ほどで処理する。V6エンジンのような、味わいの濃さはないとしても。
アクセルの反応は自然で精緻。スポーツ・モードを選んでも、意図せず急加速を誘うことはないだろう。
乗り心地は硬め 乗り心地と操縦性がバランス
回生ブレーキは、パドルなどで調整できない。デフォルトは惰性走行を許し、回生を有効にしても減速感はエンジンブレーキ程度。240kWで電気へ変換するには、ブレーキペダルを踏む必要がある。そのかわり反応は漸進的で、ペダルの感触は好ましい。
乗り心地は、20インチ・ホイールでも、BMWのMスポーツ並みに硬めだった。荒れた路面では、2.2tに迫る車重も僅かに実感させる。
それでも、乗り心地と操縦性のバランスは素晴らしい。ステアリングの反応はスムーズで、反応も軽快。挙動は予想通りといえ、ある程度のボディロールを許し、シャシーとの意思疎通を図りやすい。荷重移動やバランスの変化を、感じ取りやすいからだ。
速度域が上昇すると、鮮明で機敏な旋回性が顕になる。乗り心地にも、しなやかさが出てくる。ハイパワーなツインモーター版では得難い、同社のスポーツカーへ通じる遺伝子を受け継ぐと、シングルモーター版は感じさせる。
後輪駆動版はプロのダンサーのよう
テストコースを攻めてみたが、胸が打たれた。アクセルペダルを僅かに傾けた状態でコーナーへ飛び込めば、安定したアンダーステア。その後パワーを加えると、狙い通りにオーバーステア。後輪駆動のマカンは、プロのダンサーのようだ。
例えるなら、ヒョンデ・アイオニック5 Nの対極にある運転体験といえる。興奮度は低いかもしれないが、洗練度が高く、クリアなフィーリングを堪能できる。第一印象は物足りないと感じても、時間とともに味わい深さへ気付ける。
このマカンに、機械式LSDと回生ブレーキ用のパドル、数10psのパワーアップを与えれば、走りの魅力度はぐっと高まりそうだ。それには、マカン Tと命名したい。
サスペンションは、マカンでは必ずしもエアスプリングでなくていい。アダプティブダンパーとスチールコイルのペアでも、揺れは不快なほどではないはず。
光る完成度の高さ シンプル・イズ・ベスト
タイヤの影響か、ベースのマカンの静寂性はターボより優れる。110km/hで走行時の車内ノイズは63dBAで、メルセデス・ベンツEQSより僅かにうるさい程度だ。
急速充電は、試したところ165kWから220kWで安定する様子。電費は、普段使いが想定の複合的な条件で7.4km/kWhと優秀。1度の充電で、700km近く走れる計算になる。
ベンチマーク水準ではなくても、完成度の高さが光るマカン・エレクトリック。パワートレインの個性は薄味ながら、走りの頼もしさや一体感は、いかにもポルシェらしい。
好バランスな操縦性や無駄のない姿勢制御、情報量の確かなステアリングなど、訴求力は高い。古くからのブランドファンでも、楽しいと思えるはず。特に後輪駆動版は。シンプル・イズ・ベストは、ここでも通用するようだ。
◯:後輪駆動版は、間違いなく運転の魅力度が高い 高品質で居心地の良い車内空間
△:エンジン版と比較すると、車重の影響が拭えない走り 低速域で硬めの乗り心地
ポルシェ・マカン・エレクトリック(英国仕様)のスペック
英国価格:7万3612万ポンド(約1458万円/試乗車)
全長:4784mm
全幅:1923mm
全高:1622mm
最高速度:220km/h以上
0-100km/h加速:5.7秒
航続距離:535-640km
電費:4.9-5.9km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2220kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:95.0kWh
急速充電能力:270kW(DC)
最高出力:339ps(ローンチコントロール時:360ps)
最大トルク:57.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)
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