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【試乗】フォルクスワーゲン ID.Buzzの日本での取り回しは大丈夫? ついに一般公道で実力をチェックする機会を得た!

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【試乗】フォルクスワーゲン ID.Buzzの日本での取り回しは大丈夫? ついに一般公道で実力をチェックする機会を得た!

2025年6月20日、フォルクスワーゲンの新型ミニバン「ID.Buzz」が発表されました。そのプレス発表会終了後、東京・六本木周辺でID.Buzz Pro ロングホイールベースにチョイ乗りする機会を得ました。ここでは、その国内試乗第一報をレポートします。

ID.Buzzというブランドの新たなアイコンを担う存在
2017年にデトロイトモーターショーでコンセプトモデルが発表されたID.Buzz。1950年代に世相に合わせたピープルズカーとして主に北米で大ヒットを記録したタイプ2をオマージュしたコンセプトモデルはこれまでにも幾度か披露されてきましたが、このID.Buzzに限っては、その「本気度」が異なっていたように今振り返ると感じることができます。

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その所以として、2010年代後半から急速に進み始めたモビリティの電動化が挙げられます。このコンセプトモデルで謳われたのは、電動化と自動運転という当時の考えうる自動車の近未来像を示唆したキーワードであり、当時のフォルクスワーゲンとしても特に電動化という側面に関しては、ジャーマンブランドの王者たる宿命ゆえ、ある種生き急ぐように推し進めていた事項でもありました。

と、そこで必要とされたのは、完全電動化されたモビリティを既存のユーザーに選んでもらえるような「アイコンとなるモデル」の存在でした。世相により求められる電動化モデルの設定を、チャーミングでアイコニックな存在が担うことで「デザインや世界観でそのクルマを選んだら、たまたま電動化されたモデルだった」という市場の電動化スイッチを後押しできるからです。

ようやく日本の道を走る時がきた!
件のような時代の要請という煽りもうけながら、2022年についにID.Buzzの市販化が実現します。当然に日本市場への導入もかねてより計画されており、これまで全国各地の自動車イベントにおいても、参考出品として海外仕向けのID.Buzzが展示されたことがありました。

そしてやっとこさ、2025年6月20日に正式導入が発表されました。となると、さすがにデザイン的には新鮮味も欠けてきたかな・・・と思いきや、実車を改めて確認すると、やはりその強烈なインパクトはまったく新鮮に映ります。

しかも、後述する20分程度の公道試乗中には、幾度となく歩行者や対向車の乗員からの視線を浴びました。まるでスーパーカーを乗っているような気分にさえなるほどに。ID.Buzzというモデルはそれほどに、日本の道にはいまだ超・新鮮に映えていました。

そう、筆者はそのID.Buzzの日本発表会の直後、六本木の会場周辺を簡単にドライブする機会を得ることができました。試乗したモデルは、導入される2つのグレードの中でも全長およびホイールベースを250mm延伸させたロングホイールベースモデルにあたる「Pro ロングホイールベース」です。

さすがドイツの作といえる剛性感と、頬がゆるむ楽しい走り
試乗したロングホイールベースモデルの全長は4965mmと、5mに迫る大きな体躯。もっとも、ID.Buzzの全幅は全グレード共通で1985mm(!)と、まさにフルサイズ級のミニバンとなります。とくに大きな全幅は都内のような狭い道路環境における取りまわしで気になるところです。

が、走り始めてから、その意外なほどの運転のしやすさに拍子抜けさせられました。とりわけハンドルを切った時の動きが想像以上にクイックで、キビキビとまではいかないものの、実寸を鑑みると驚くほど動かしやすい印象でした。

一方で少し気になったのは前方の見切り。アップライトに座らせる乗車姿勢なので、視界自体は良好なのですが、フロントボンネットがかなり傾斜していることで、車体の先端を目視することができません。が、日本へ導入されたID.Buzzは全車に「アラウンドビューカメラ Area View」を標準装備しています。そのおかげで、360度の周囲を12.9インチの大型センターディスプレイに表示することができるため、そちらを確認すれば問題ないといった具合でした。

もっとも、タイプ2をオマージュしたデザインということもあり、フロントのオーバーハングは通常のミニバンと比べて短く設定されていたこともあり、前述の不安要素も慣れればすぐに払拭されるだろうと感じました。

とくに、ID.Buzzを一般道路で走らせてみて感じたのは、フォルクスワーゲンらしさ。もっと言えばドイツ車らしい、ガッチリとしたドライブフィールです。ボディの剛性感、ブレーキタッチの節度感など、日本のミニバンとは味付けがまったく異なる雰囲気でした。例えるならば、トヨタアルファードのような柔らかさというよりも、メルセデス・ベンツVクラスのガッチリとした乗車感覚の側に圧倒的な近接さを感じました。

そのガッチリとしたドライブフィールに拍車をかけるように、電気自動車であるID.Buzzの痛快なモータードライブにも驚かされました。280ps/560Nmという強力なアウトプットを有する駆動用モーターは、車体の後輪に設置されます。したがって、後ろから押し出されるような「グイッ」という感覚は、車体の大きさ(車両重量は2720kgもあるのに!)を考慮しても、驚くほどの軽快さです。4つのドライブモードを設定するID.Buzzですが、もっとも緩やかな出力特性にシフトされる「エコ」モードでも十分すぎるほどのパワーフィールであったほどです。

装備面や圧倒的な広さを考えれば、戦略的なプライスともいえる
加えて後席にも10分程度、試乗することができました。ロングホイールベースモデルでは2列目シートがベンチシートになっていますが、それでも2列目シートは大きく前後へスライドすることが可能なため、もっとも後ろへスライドさせれば、身長174cmの筆者が足をピンと伸ばせるほど余裕がありました。その状態でも3列目シートは十分に大人2名が座ることのできるレッグスペースを確保されていました。とりわけ頭上スペースに関しては、全席において不満を感じることのない広大な空間を手にしていました。

さらに、快適装備に触れても、脱着可能な3列目シートや1列目シート裏に備わる折りたたみ式テーブルなどは標準装備されるほか、ロングホイールベースモデルにはパノラマサンルーフやHarman/Kardon製のプレミアムサウンドシステムをアドオンすることもできると、ミニバンとしての実用性に加えてプレミアムクラスとしても説得力のあるオプション装備が選択できるなど、その「マルチ性」には驚かされるところがありました。

そうした「てんこ盛り感」を考慮すれば、通常モデルで888万9000円、ロングホイールベースモデルで997万9000円というプライスタグは、絶対的数値はさておき、十分説得力のある価格設定だともいえます。

さらに特筆すべきことに、ID.Buzzの購入者には「1年間PCAネットワークの急速充電を無料付帯する」という特典が付与されます。PCAとは、フォルクスワーゲングループ3社(フォルクスワーゲン・アウディ・ポルシェ)が協業した充電ネットワーク「プレミアム・チャージング・アライアンス」です。150kWの急速充電器を全国350拠点以上に展開される日本最大級のプレミアム充電サービスで、この急速充電を1年間無料で使用できるというのは、ランニングコストは「実質タダ」といえる驚きのベネフィットが付きます。

「デザインや世界観でID.Buzzを選んだら、たまたま電動化されたモデルだった」という新規顧客に対しても、「しかも充電は1年間無料で、航続距離は524~554kmとロングドライブにも十分対応できる」という説得力のあるセールスポイントまで付与されるID.Buzz。その日本で走らせた実力は十分以上であり、アイコニックな装いもまた、日本の道と人を明るくするフォルクスワーゲンらしいピープルズカーであることが確認できました。

[ アルバム : ID.Buzz Pro ロングホイールベース 国内試乗 はオリジナルサイトでご覧ください ]

文:Webモーターマガジン 川内優作(Motor Magazine編集部)
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