欧州では気にならなくても日本のワインディングではネガが出る
ボクは長年この企画を続けているが、担当編集によると、シトロエンブランドのクルマを扱うのは初めてだと言う。
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走り出してまず気になったのがエンジンだ。いまどきのエンジン主体のモデルらしく、小排気量の1.2リッターターボにわずかなアシストをするモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドを採用するが、パワー、トルクなどのカタログスペックはともかく、実際に乗っての意見としては低速トルクがやや不足している。欧州のように平均して速度レンジが高ければ気にならないのかもしれないが、日本のタイトなワインディングでの使いやすさを考えるなら、もう少しトルクが必要だ。ましてや今回は空荷でふたり乗車だ。これが4人で荷物も搭載するシーンならば、よりこの点が気になるだろう。
組み合わされる6速DCTは、前述したエンジンのパフォーマンスも加味して、もう少し低速ギヤのレシオを下げたほうがいいと感じる。しかしながら、7速、8速ならともかく、6速がゆえに下げれば各ギヤの差が大きくなり、また巡航燃費を考えると、燃費をとるか使い勝手をとるか、痛し痒しといったところだろう。
一方でエンジンそのものの質感は高い。アイドリングで少し音の大きさが気になったものの、走り出して回転が上がると回転振動は小さく、4気筒に勝るとまではいえないものの3気筒の粗さのようなものは感じなかった。
人間でいえば体幹にあたるボディ剛性は、ダイナミクス性能の点では十分だ。だが、その先にあるコンフォート性のための全体の振動を抑えるための領域までは達していない。クルマ全体の走りの上質さを考えれば、このあたりはもう少し見直してほしいところだ。
上質さという意味では、フロントの落ち着きのなさも気になるところだ。これはエンジンの搭載位置の高さとフロントのダンパーが原因と考えられる。相当な重量物であるエンジンが加減速、またコーナーアプローチ、さらには路面からの入力によって高い位置で動くために、フロントに悪影響を及ぼすのだ。そして重いものが動けば慣性力も相当なものになるため、揺すられたエンジンの動きが収まるまでにも時間がかかる。
もちろんエンジンマウントやダンパーでそれを打ち消す努力はできるものの簡単ではない。ボクの経験上、20~30mm下げられれば相当変わってくるであろう。加えてフロントダンパーのコンプレッション側がハードで、路面からの入力をいなしきれていない点も、質感を追求しきれない要因と言えよう。
リヤのトーションビームはよくできており、横力に対する剛性も十分出ていて、直進性を含めたクルマの安定性に寄与している。
ブレーキについても触れておこう。試乗前にクルマを見て、ローター径が小さめであるためやや心配をしていたが、長いワインディングを走っての耐フェード性、さらには踏力に対する減速度のリニアさやコントロール性などをみても非常によくできていた。
小型SUVといえば国産車にもライバルの多い、激戦のジャンルである。輸入車として考えればC3はけっして高くはない価格であろうが、国産も含めれば安いとは言えない。このモデルを選ぶということは、シトロエンという世界感を買う、そういうクルマであると結論づけたい。
※本記事は雑誌「CARトップ2026年9月号」の記事を再構成して掲載しています
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