この記事をまとめると
■クルマにとってシートはインテリアの主役的存在で、インターフェースの要でもある
この後席は狭すぎる! 一見ファミリー向けなのに家族で使うには厳しいクルマ6選
■クルマに採用されるシートにはいくつかの形状が存在する
■この記事ではクルマのシートの種類と特徴を解説する
バケットシートはホールド性が高い
クルマのインテリアの主役的存在で、インターフェースの要でもあるシート。そうしたクルマのシートは、形状によっていくつかの種類に分類されるが、そうした違いを整理してみよう。
まずはバケットシートから。バケットシートの「バケット」bucket(英語)とは、いわゆるバケツのこと。要するにバケットシートは、「バケツ形の座席」という意味。
シートの縁を高くして、そこに身体が沈み込むように座り、肩、脇腹、腰、腿を横から挟むようにしてホールド性を高めたもの。
ハイスピードコーナリングで、身体に強い横Gがかかっても、力むことなく姿勢をキープすることができ、運転操作に集中ができ、クルマの挙動が掴みやすく、衝突時の安全性も高いということで、競技用車両用や悪路を走るための軍用車両から導入されていった。
いまでは本格的なスポーツカーからスポーツセダンまで、バケットタイプシートを採用しているクルマが増えているが、ホールド性の高いバケットシートほど、乗降性は悪いので、日常性重視のクルマほど、身体の固定機能は低いものになっている。
なお、バケットシートの定理として、座面の深さや縁の高さなど、具体的な条件は決まっていない。また余談だが、フランスパンの「バゲット」はフランス語で「杖」のことだ。
このバケットシート、大別するとフルバケットシートと、セミバケットシートの2種類がある。
・フルバケットシート
略して「フルバケ」。背もたれと座面が一体成形で、背もたれが固定されているタイプのシート。剛性とホールド性が高く、軽量でもあるので、レーシングカーやスポーツ施行の高いクルマに装着されている。
・セミバケットシート
略して「セミバケ」。背もたれや座面の縁が高く、ホールド性は高い設計になっているが、リクライニング機能もついていて、より汎用性の高いタイプ。スポーツカーでもメーカーが純正装着に選ぶのはこのセミバケットタイプが多い。
・スポーツシート
スポーツ走行に適したシートという意味で、セミバケットシート、とくにメーカー純正のセミバケのことを「スポーツシート」と呼ぶことがあるが、フルバケも含め、広義的にバケットシート全般のことを指す場合もある。
さて、バケットシート、スポーツシート以外のシートもみていこう。
座面がフラットな形状のものはベンチシートと呼ばれる
・ベンチシート
バケットシートとは反対に、座面がフラットなタイプのシート。とくに左右のシートがつながっている形状のシートを指す。
それに対し、一般的な乗用車のフロントシート(運転席と助手席)は、独立しているので、これらはセパレートシートと呼ばれる。
ベンチシートのメリットは、運転席から助手席、助手席から運転席への移動がラクなこと。助手席を荷物置きとして使いやすいこと。
昔の映画では、ベンチシートでドライブ中のカップルが肩を寄せ合って……というシーンもあったが、シートベルトの着用が義務化されている昨今では、ベンチシートでイチャイチャするのはクルマを止めるまでお預けということになる……。
デメリットはホールド性が悪いこと。長時間の運転には適さないかもしれないが、ミニバンなどの2列目シート、3列目シートは、このベンチシートが多い。
・キャプテンシート
最後はキャプテンシート。キャプテンとは船長のこと。
つまり船長が座るようなひじ掛けのついた椅子のイメージで、ミニバンやSUVの2列目シートで、アームレストのついた一人用の独立したシートを「キャプテンシート」という。
ミニバンでは、2列目シートをセパレート型のキャプテンシートと、ベンチシートを選べる車種も少なくない。
キャプテンシートは高級感があり、3列目の乗降性、アクセスの良さなどのメリットがあるが、乗車定員は減ることになる。
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