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同じ車なのに価格が違う!? 正規ディーラー・サブディーラーの「裏側」、値引き交渉、査定、付き合い…損しない買い方とは?

掲載 更新 8
同じ車なのに価格が違う!? 正規ディーラー・サブディーラーの「裏側」、値引き交渉、査定、付き合い…損しない買い方とは?

販売網で変わる顧客体験

 自動車ディーラーはどこも同じと思われがちだ。しかし、実際にはそうではない。同じ自動車メーカーの看板を掲げていても、経営母体が異なるケースがある。地域によっては「正規ディーラー」のほかに、「サブディーラー」と呼ばれる販売店も存在する。

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 それぞれのディーラーには特徴があり、同じ車種でも販売価格やサービス内容に違いが出ることがある。購入時の選択によって、費用や体験に差が生まれるのだ。

 本稿では、筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)の実体験を交えながら、正規ディーラーとサブディーラーの違いについて解説する。

仕入れルートで変わる保証対応

 読者がよく目にするディーラーの多くは、正規ディーラーである。正規ディーラーは特定メーカーの看板を掲げ、そのメーカーの新車のみを取り扱う。営業エリアは県内に限定されているケースが多く、同一メーカーであっても、県内の正規ディーラーがそれぞれ別の企業によって運営されていることもある。

 一方、サブディーラーにはメーカーの看板を掲げる店舗と、そうでない店舗が混在する。特徴としては、特定のメーカーに限定せず複数メーカーの新車を扱う点が挙げられる。多くは

・○○モータース
・○○自動車

といった屋号で自動車整備業を営んでおり、同時に新車販売も行っている。いわゆる街の整備工場の延長線上にある販売形態といえる。正規ディーラーとサブディーラーの最大の違いは、アフターサービスの対応範囲にある。特に、

「メーカー保証による整備が可能かどうか」

が重要な分かれ目となる。メーカー保証とは、リコール対応なども含む整備サービスのことだ。

 この差は、新車の仕入れルートによって生じている。自動車メーカーは新車を自社工場で製造し、正規ディーラーに直接卸す。一方、サブディーラーは、メーカーからではなく、正規ディーラーの業販部門(業者向け販売)を通じて新車を仕入れている。

 そのため、サブディーラーで購入した車両であっても、保証対応やリコール作業は正規ディーラーを経由する必要がある。購入時の窓口が違うだけで、アフター対応の流れには明確な違いがある。

「正規vsサブ」価格差の真実

 正規ディーラーとサブディーラーの違いについて簡単に説明したが、実際に新車を購入する際、どちらを選ぶべきかは気になるところだろう。筆者の父が、首都圏にあるスズキ系の正規ディーラーとサブディーラーで新車商談を行い、最終的に購入した経緯を紹介する。

 父は最初に自宅近くのサブディーラーで新車の見積もりを取った。車両本体価格から5万円、ディーラーオプション(総額11万円)から5万円の値引き、下取り車(10年落ちの日産キューブ)の査定が9万円だった。この段階で筆者は、サブディーラーがオプションの値引きをかなり頑張っていると感じた。父はそのままこの内容で購入しようとしていたが、筆者は別の提案をした。車で20分ほどの距離にある正規ディーラーにも足を運んでみるべきだと。

 後日、正規ディーラーで商談を行った結果、驚くべき展開が待っていた。車両本体価格の値引き額はサブディーラーと同じく5万円だったが、ディーラーオプションにボディコーティングとフロントウインドウ撥水(9万円相当)を追加し、そこから8.5万円の値引きがあった。さらに、正規ディーラーが提供するメンテナンスパック(5年分、11万円相当)が、下取り車の査定額に13万円上乗せされて相殺される形となった。結果的に、下取り車の査定額は予想以上に高く、サブディーラーが廃車にする予定だったのに対し、正規ディーラーは修理後の再販を前提に査定を行っていた。

 下取り車の査定額には驚きがあったが、正規ディーラーでは利益を1~2万円程度しか乗せられない赤字寸前の価格設定になっているようだ。この差額が最終的な値引きに反映されたのだろう。

リベート制度という影響

 裏話として、正規ディーラーは新車の販売に加え、ディーラーオプションの販売目標をメーカーから課せられることがある。

 この目標に達すれば、メーカーからリベートが支払われ、そのリベートを見越して大きな値引きが行われることがある。父の場合、たまたまその条件に該当していたため、大きな値引きを受けられた。

 一方、サブディーラーは新車販売台数に応じて正規ディーラーからの卸値が引き下げられることがあるが、新車販売での利益はほとんどない。

 このため、今回の結果はサブディーラーの収益構造の影響を受けたものだといえる。

地域差が影響する購入条件

 筆者の父の場合、正規ディーラーで新車購入が安くなった。しかし、地域やサブディーラーの営業形態によっては、逆の結果になることも十分に考えられる。

 特に、正規ディーラーがほとんど存在しない地域では、サブディーラーが有利になることが多い。サブディーラーが中古車販売も手がけている場合、オークションに参加して下取車の価格が高くなる傾向がある。

 さらに、地方では正規ディーラーの業販部門から強力な販売要請を受けて、サブディーラーが安価に販売できることもある。都市部でなく、正規ディーラーが少ない地域では、サブディーラーの方が有利な場合もあるため、購入時には比較が重要だ。

ディーラー選びでカーライフに差

 今回は正規ディーラーとサブディーラーの比較を中心に紹介したが、正規ディーラー同士でも経営母体が異なる場合がある。これにより、

「相見積もり」

を取ることを強くおすすめする。販売力の強いディーラーは、メーカーから新車を安く仕入れているため、同じ仕様の車でも支払い総額に違いが出ることがある。

 筆者がディーラー勤務時代、同じ地域に経営母体が異なる正規ディーラーが3社あった。さらに、県境近くのため、県を跨いだ商談も多く発生していた。同じ車でも、他ディーラーとの商談に負けることがしばしばあった。そのため、ディーラーとの付き合いが少ない場合は、複数のディーラーで見積もりを取り比較するのが効果的だ。

 ただし、既に付き合いのあるディーラーに対して、こうした手法を強く使うと今後の関係に影響が出る可能性もある。数万円高くても、日頃から付き合いのあるディーラーで購入する方が、長い目で見たカーライフにはよい結果を生むかもしれない。

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みんなのコメント

8件
  • ssr********
    スズキ・ダイハツ限定に近い話をさも全てのメーカーでの話の様に盛れるのが凄いとしか…
    サブディーラーに関する認識もミスリードを誘う様な表現で、本当にディーラー営業経験者なのかも疑わしい
  • cb7********
    >ディーラーオプションにボディコーティングと
    >フロントウインドウ撥水(9万円相当)を追加し、
    >そこから8.5万円の値引きがあった。
    そりゃそうだろ、それは原価がほとんどかからず、ディーラーにとって最もおいしいオプションだからね。
    同じオプション内容で比較しないと、値引き額の意味は全くないよ!!!!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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