小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介らが出演する映画『フロントライン』が6月13日公開される。新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船を舞台にした実話ベースのヒューマンドラマの見どころを、ライターのSYOがレビューする。
小栗旬×松坂桃李×池松壮亮×窪塚洋介
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日本映画界の公開カレンダーにおいて6月は例年、そこまで盛り上がる月ではない。ゴールデンウィーク興行が一旦落ち着き、少数精鋭の静かなラインナップになりがちだ。しかし2025年は少々様相が異なる。『国宝』『ルノワール』といったカンヌ国際映画祭の上映作品に『ドールハウス』『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』といった注目作がひしめき合っているのだ。
その中でも異彩を放つのが、6月13日より公開の『フロントライン』。「コード・ブルー ドクターヘリ救急救命」やNetflixシリーズ「THE DAYS」を手掛けた増本淳プロデューサーが企画・脚本・プロデュースを務め、小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介らが顔をそろえた本作は、新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船を舞台にした実話ベースのヒューマンドラマ。当事者への綿密な取材を基に「あのとき、何が起こっていたのか?」を圧倒的なリアリティと熱量で描き切っており、クオリティと重要度の両面で日本映画史に名を刻む1本といえるだろう。
新型コロナウイルスは2019年に中国の武漢市で発生が確認され、2020年には国内に上陸。同年4月には緊急事態宣言が発出された。『フロントライン』はその初期の約1カ月間にフォーカスした物語。当時、日本には未知のウイルスに対応する専門の組織がなく、大規模災害や事故などを担当する災害派遣医療チーム「DMAT」が駆り出される。これだけでも異例だが、乗客は世界56カ国の3,711名。DMAT隊員たちはただでさえ管轄外の仕事を船内という特殊な環境で行い、言語の壁や組織間の軋轢、風評被害に晒されていく。
興味深いのは、彼らを過度に英雄視するのではなく、客観的な距離を保ちながら「最前線(フロントライン)に飛び込んだ者たちが何を体験し、何を感じたか」を追体験させるような構成になっていること。DMAT隊員たちの「コロナにかかるのは怖い」不安や混乱、差別や偏見に遭った際の絶望感、撤退した同業者への激高といった生の感情をストレートに伝えてくる。
そこに、客船のクルー、事態の解決にあたった官僚、時に人心をかき乱してしまうマスコミ、乗客といったそれぞれの視点が重層的に絡み合い、衝突して変容していく。当事者性に重きを置いてどの登場人物も生々しく描写されており、事実以上に“真実”を伝える意味合いが強い。我々観客に対して「他者を知り、歩み寄って理解する」ことを促す作品といえるだろう。
そこに付随するのが、演出面での創意工夫だ。上記のようなゴールを目指す際、単に手持ちカメラを多用したり被写体に接近したりして、上辺だけのドキュメントタッチにすればいいというものではない。
『フロントライン』は冒頭の「船内の病人を船外に移送するさまを長回しで魅せる」カメラワークに始まり、DMAT隊員が船内に入る際や何台ものバスを使った移送作戦におけるダイナミックな画作りや、緊迫感あふれるカット割りが生み出すテンポ、感情の動きを盛り上げる劇伴等々、社会派エンタメとして観客を没入させるテクニックを駆使している。『生きてるだけで、愛。』や『かくしごと』など、人間の痛々しさと映像美がマッチした作品群で知られる関根光才監督のセンスが存分に発揮された形だ。
神奈川県庁からDMATを統括するリーダー・結城に扮した小栗旬ほか、キャラクターの立たせ方や味付け、各キャストの芝居も同様で、劇映画的な仰々しさとリアリティ志向の素っぽさを融合した絶妙なラインを追求。事実に即した真摯な態度・姿勢を基盤としつつも、作品として見やすく共感しやすいサービス精神が行き届いており、小さくまとまっていない。
小栗旬が「僕たちにとっても挑戦的だった」と振り返るように、大衆に敬遠されがちなシリアスな題材に挑みながら、視聴ハードルを下げて広く届けようとする気概が感じられる。
新型コロナウイルスが世界的に流行した当時、再注目を集めたパンデミック映画にはスティーヴン・ソダーバーグ監督の『コンテイジョン』やキム・ソンス監督の『FLU 運命の36時間』、或いは実話ベースのドラマ「チェルノブイリ ―CHERNOBYL―」等々があるが、やはり現実感と見ごたえの両立は命題であり、成しえた作品には評価と共に不朽の体力が備わるもの。日本映画において規格外の一作と成った『フロントライン』にも、同じ運命が待ち受けていることだろう。
『フロントライン』公開日:6月13日(金)
出演者:小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、森七菜、桜井ユキ、美村里江、吹越満、光石研、滝藤賢一、窪塚洋介
企画・脚本・プロデュース:増本淳
監督:関根光才
製作:「フロントライン」製作委員会
制作プロダクション:リオネス
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2025「フロントライン」製作委員
文・SYO
編集・神谷 晃 AKIRA KAMIYA(GQ)
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