現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】リカルドがいよいよ復帰。さあ、ハンマータイムだ!

ここから本文です

【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】リカルドがいよいよ復帰。さあ、ハンマータイムだ!

掲載 5
【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】リカルドがいよいよ復帰。さあ、ハンマータイムだ!

 F1での3年目を迎えた角田裕毅がどう成長し、あるいはどこに課題があるのかを、F1ライター、エディ・エディントン氏が忌憚なく指摘していく。今回は、第18戦カタールGPに焦点を当てた。

──────────

【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第16/17戦】成長ぶりが見えた母国GP。今後の目標はレッドブルのシート

「It's Hammer Time!」 もちろんこれは、サー・ルイス・ハミルトンとレースエンジニアの間で使われている有名なフレーズで、「さあ、これからプッシュしていこうぜ!」という意味合いを持つ。今の角田裕毅にかける言葉として、これ以上ふさわしい表現はないと、私は思っている。

 ダニエル・リカルドの代役として突然F1デビューをしたリアム・ローソンが、この5戦、堅実な仕事をし続けたことは、角田の将来にとって良い要素だったとはいえないが、角田自身もしっかり自分がやるべきことをこなした。

 カタールで、アルファタウリのどちらのドライバーが速かったかは、明らかだった。角田はスプリント・シュートアウトで失敗したものの、スプリントでポイント圏内近くまで浮上した。残念ながらカタールでのAT04は、全チーム中、2番目に遅いマシンだったため、日曜決勝で入賞争いをすることはできなかったが、少なくともチームメイトより18秒速くフィニッシュすることはできた。

 だが、肝心なのはこれからだ。今週末のアメリカGPではリカルドが戻ってくる。リカルドと角田裕毅は、2025年のレッドブルのシートをめぐって戦うことになるだろう。角田は今シーズンのうちから優位に立って、アルファタウリのナンバーワンとしての地位を確立していく必要がある。今年それができれば、来季マシンの開発の方向性について意見を強く言える立場になる。リカルドの方がF1での経験は豊富だが、角田の方が今のアルファタウリチームのことはよく知っているため、自分が有利になるよう、チームのいくつかの部門を動かすことも可能なはずだ。

 2024年には、ローレン・メキースがチーム代表に就任する。角田としては、その前に自分の存在感を示しておくことが重要だ。メキースはかつてリカルドと一緒に働いた経験を持ち、ふたりは非常に親しい関係を結んでいる。それでも、技術チームがリカルドより角田の意見に耳を傾けるような状況ができていれば、メキースもそれに従うことだろう。

 ここまでの話は、セルジオ・ペレスが2024年末で契約を終えて、レッドブルから出て行き、そこに空きシートが生まれることを前提にしている。だが、2024年初めからシートに空きが出る可能性もありそうだ。マルコが、今のペレスほど苦しんでいないドライバーをクビにした例は過去にいくらでもある。

 フェルスタッペンがほぼ毎戦ポールポジションを獲得している同じマシンで、ペレスは大差をつけられ、Q3に進出することすら苦労している。ペレスはカタール決勝で10位どまり、チームメイトからは75秒遅れでフィニッシュした。さらに、私にはとても数えきれないほど多くのトラックリミット違反を犯したことも問題だ。これは笑いごとではない。全チームのなかで最も速いマシンに乗っているドライバーがすることではないからだ。つまり、ペレスがすぐさまスランプから抜け出すことができなければ、リカルドと角田のどちらかが、来年からフェルスタッペンのチームメイトになることもあり得ると、私は思っている。

 角田がレッドブルで走るところを見たいと思っている人は多いはずだ。もちろんマックスがリードドライバーであることに変わりはないが、レッドブルのマシンに乗れば、角田には表彰台争いをするチャンスが訪れる。彼がルイス・ハミルトン、シャルル・ルクレール、オスカー・ピアストリとホイール・トゥ・ホイールのバトルをするところを見られるかもしれない。考えただけでわくわくするではないか。

 だからこそ、私は残りの5戦は、角田のキャリアにとって非常に重要になると考えている。リカルドに圧勝すれば、道は開ける。しかし負けた場合には、2024年末で新しいシートを探さなければならなくなるかもしれない。そう考えると、私が「ハンマータイムだ!」と声をかけたくなる気持ちを分かってもらえるはずだ。

────────────────────────

筆者エディ・エディントンについて

 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。

 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。

 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。

 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。

関連タグ

こんな記事も読まれています

【中野信治のF1分析/第23戦】リザルト以上に魅せた角田裕毅とアルファタウリ。さらに進化した2023年のフェルスタッペン
【中野信治のF1分析/第23戦】リザルト以上に魅せた角田裕毅とアルファタウリ。さらに進化した2023年のフェルスタッペン
AUTOSPORT web
【F1第23戦無線レビュー(1)】「ありがとうフランツ。さあ、やってやろう!」トスト代表のラストレースで角田が感謝
【F1第23戦無線レビュー(1)】「ありがとうフランツ。さあ、やってやろう!」トスト代表のラストレースで角田が感謝
AUTOSPORT web
アロンソ、F1アブダビGPでのハミルトンに対する“ブレーキテスト”を否定。減速は「DRSを得るため」の策略と説明
アロンソ、F1アブダビGPでのハミルトンに対する“ブレーキテスト”を否定。減速は「DRSを得るため」の策略と説明
AUTOSPORT web
岩佐歩夢は96周を走り15番手。9時間のセッションで赤旗が3回、総合トップはオコン/F1アブダビテスト
岩佐歩夢は96周を走り15番手。9時間のセッションで赤旗が3回、総合トップはオコン/F1アブダビテスト
AUTOSPORT web
角田がF1デビューマシンでドーナツターン。カート大会で大暴れのリカルドともてぎのファンを盛り上げる
角田がF1デビューマシンでドーナツターン。カート大会で大暴れのリカルドともてぎのファンを盛り上げる
AUTOSPORT web
レッドブルF1のマルコ「フェルスタッペンはまだピークに達していない」タイトルを支えたホンダへの感謝も
レッドブルF1のマルコ「フェルスタッペンはまだピークに達していない」タイトルを支えたホンダへの感謝も
AUTOSPORT web
【F1第23戦無線レビュー(2)】「2台を戦わせることができる」選手権2位奪取を狙うルクレールが頭脳戦を展開
【F1第23戦無線レビュー(2)】「2台を戦わせることができる」選手権2位奪取を狙うルクレールが頭脳戦を展開
AUTOSPORT web
フェラーリF1代表、アブダビGPでのルクレールの戦術を正解と語る。メルセデス陣営はスポーツマンシップを称賛
フェラーリF1代表、アブダビGPでのルクレールの戦術を正解と語る。メルセデス陣営はスポーツマンシップを称賛
AUTOSPORT web
角田裕毅、今季限りでチーム代表退任のフランツ・トストに最大限の感謝「彼がいなければ、僕は今F1にいなかった……これからは完璧なドライバーになれるよう集中する」
角田裕毅、今季限りでチーム代表退任のフランツ・トストに最大限の感謝「彼がいなければ、僕は今F1にいなかった……これからは完璧なドライバーになれるよう集中する」
motorsport.com 日本版
【コラム】世界への挑戦へ。宮田莉朋に聞くヨーロッパ挑戦の舞台裏と送るエール
【コラム】世界への挑戦へ。宮田莉朋に聞くヨーロッパ挑戦の舞台裏と送るエール
AUTOSPORT web
宮田莉朋が加入するFIA F2チーム『ロダン・カーリン』とは。過去には日本人ドライバーが多数在籍
宮田莉朋が加入するFIA F2チーム『ロダン・カーリン』とは。過去には日本人ドライバーが多数在籍
AUTOSPORT web
2023年も未勝利に終わったハミルトン。“8月以降マシン開発をしていない”レッドブルF1の優位性を懸念
2023年も未勝利に終わったハミルトン。“8月以降マシン開発をしていない”レッドブルF1の優位性を懸念
AUTOSPORT web
“本当にF1に相応しいドライバー”かを評価するには、F2よりSFが最適かも?:英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記
“本当にF1に相応しいドライバー”かを評価するには、F2よりSFが最適かも?:英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記
motorsport.com 日本版
F1参戦に向けてドライバーを探すアウディ。現在の本命はアルボンか
F1参戦に向けてドライバーを探すアウディ。現在の本命はアルボンか
AUTOSPORT web
ペレスに代わって急きょ特別講師に。角田裕毅と岩佐歩夢、そしてホンダスクール生とのカートレースが実現
ペレスに代わって急きょ特別講師に。角田裕毅と岩佐歩夢、そしてホンダスクール生とのカートレースが実現
AUTOSPORT web
チャンピオン獲得に必要な『悪さ』と『経験値』。マシアvs佐々木/MotoGPの御意見番に聞くバレンシアGP
チャンピオン獲得に必要な『悪さ』と『経験値』。マシアvs佐々木/MotoGPの御意見番に聞くバレンシアGP
AUTOSPORT web
フェルスタッペン、F1昇格以降サインツを支え続けてきたパーソナルフィジオを引き抜く
フェルスタッペン、F1昇格以降サインツを支え続けてきたパーソナルフィジオを引き抜く
AUTOSPORT web
ウイリアムズF1がサージェントとの2024年契約を発表。来季20人のドライバーラインアップは今季と同一に
ウイリアムズF1がサージェントとの2024年契約を発表。来季20人のドライバーラインアップは今季と同一に
AUTOSPORT web

みんなのコメント

5件
  • エディ•ジョーダン
  • ツノダーが期待されてるなら
    ピアストリじゃなくて角田があのマシンで走ってるだろ
    F1に行くのに下手なヤツいるわけないが
    結果出せない奴はいる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで! 登録してお得なクーポンを獲得しよう
マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村