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「ターン4のことは申し訳ない」ワン・ツーフィニッシュ達成後も悔しさを滲ませたピアストリ【F1第11戦無線レビュー(2)】

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「ターン4のことは申し訳ない」ワン・ツーフィニッシュ達成後も悔しさを滲ませたピアストリ【F1第11戦無線レビュー(2)】

 2025年F1第11戦オーストリアGP。序盤から他チームを引き離して優勝争いを繰り広げたマクラーレンは、ランド・ノリスが逃げ切って優勝、オスカー・ピアストリが2位とワン・ツーフィニッシュを達成した。しかしピアストリは、ノリスとのバトルでタイヤにダメージを負ったことに悔しさを滲ませた。オーストリアGP後半を無線とともに振り返る。

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 11番手スタートのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、1ストップ作戦を敢行。21周目には6番手まで順位を上げ、5番手リアム・ローソン(レーシングブルズ)の1秒以内に迫っていた。しかしペース自体は、伸び悩みつつあった。

クリス・クローニン:ターン4でリフト&コーストをやってくれ。その方がタイヤにもいい。アロンソ:ペースは速くない。DRSを外れたら、本当のペースがわかると思うけど。

 後方ではピエール・ガスリー(アルピーヌ)が、マシンに異常を感じていた。

ガスリー:最終コーナーでクルマ(の挙動)が最悪だ。チェックしてくれるか?カレル・ルース:了解。ただペースは十分にいい。このまま続けてくれ。グッジョブだ。

 マシン挙動は、周回を重ねるにつれ悪化していった。

29周目ガスリー:全然グリップがない! どのコーナーでもスピン寸前だ。

 30周目、フランコ・コラピントを抜きにかかった角田裕毅が(レッドブル)接触してしまう。

角田:フロントウイングにダメージだ。リチャード・ウッド:了解。

コラピント:角田が引っかけてきた。ジョシュ・ペケット:ああ、しっかり見たよ。

 角田は10秒ペナルティを科され、入賞の可能性はほぼ潰えてしまった。

36周目ガスリー:何か壊れてないか、チェックしてくれ。このまま走り続けるのは無理だ。ルース:頑張ってくれ。後ろにはローソンとフェルナンドがいる。ふたりとも1ストップで、そのままハードタイヤで走り切るはずだ。ガスリー:はっきり言って、どうでもいいよ。僕のためにベストを尽くしてくれ。ルース:もちろんだ。

 しかしマシンのペースは戻らず、ガスリーは13位完走が精一杯だった。

 一時は6秒近くまで開いていた首位ランド・ノリス(マクラーレン)とオスカー・ピアストリ(マクラーレン)の差は、徐々に縮まりつつあった。

38周目トム・スタラード(→ピアストリ):周回遅れのクルマはほぼ1分10秒台で走っている。そうしたらチャンスが出てくるぞ。

 周回遅れの処理の巧みさもあって、40周目にはピアストリは3秒差まで迫っていた。

42周目ノリス:ピアストリはどこでも速いの?ウィル・ジョゼフ:いや、ハイスピードだ。周回遅れの影響を見てみよう。

 52周目に首位のノリス、そして次の周にはピアストリも2回目のピットインに向かった。

スタラード(→ピアストリ):(周回遅れの)コラピントと角田が近い。

ペケット(→コラピント):青旗だ。2番手のピアストリが抜きにくる。

 しかし角田を抜くのに夢中だったコラピントは、ピアストリの接近に直前まで気づかなかった。幅寄せされたピアストリは、草地にはみ出して辛くも接触を免れた。

ピアストリ:あいつ……スタラード:ああ、見ていたよ。

 これでノリスとの差はまたも開いてしまった。

ペケット:ターン3のインシデントで、5秒ペナルティが下された。コラピント:見えていなかったんだ。ペケット:ドンマイ。冷静に行こう。

 レース後半、8番手を走るアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)は不安定なマシン挙動に手こずっていた。

55周目ハジャー:ダウンフォースを失っている。ピエール・アムラン:モニターし続けている。ちょっとした空力ダメージがあるようだ。ハジャー:どれくらいひどいの?アムラン:大したことない。冷静に走るんだ。いい位置にいるから。

 縁石に乗った際に、フロアを傷めたのか。ハジャーはズルズルと順位を落とし、最後は12位完走に終わった。

 61周目、ノリスとピアストリの差は2秒以内まで縮まっていた。

ノリス:ペースが必要だ。なんとかしてくれ。ジョゼフ:あと10周の我慢だ。高速コーナーで差が大きい。単に周回遅れの影響だといいんだが。

63周目ジョゼフ:フロントウイングに少しダメージがある。それについては、こちらでできることはない。

 縁石に激しく乗った際に、ダメージを受けたのかもしれない。

 後方ではローソンが6番手を好走。しかしすぐ後ろには同じ1ストップ作戦のアロンソが迫り、さらに17周もフレッシュなタイヤのボルトレートが猛追していた。

67周目ローソン:ボルトレートのペースは?エルネスト・デジデリオ:かなり速い。アロンソをDRS圏内に入れるんだ。今は1秒2離れてる。アロンソをDRSに入れるんだ。ローソン:そうしたら(アロンソに)抜かれてしまうよ。

 ローソンは指示に従わず、アロンソを引き離しにかかった。そのためアロンソはすぐにボルトレートに追いつかれてしまう。しかしそこからのアロンソはさすがの老獪さで順位を死守。7位入賞を果たした。

 そしてノリスは逃げ切りに成功し、貴重な勝利を果たした。

ジョゼフ:グッジョブだ、ランド。ノリス:みんな、よくやってくれた。素晴らしいワン・ツーだね。

スタラード:P2だ。チームにとってはワン・ツーフィニッシュだ。ピアストリ:ターン4のことは申し訳なかった。ペースは素晴らしかったよ。

 フラットスポットを作って2位に甘んじたことが、ピアストリには何より悔しかったようだ。

 そしてボルトレートはF1初入賞を8位で飾った。

ヨルン・ベッカー:素晴らしい走りだったぞ。P8だ。ニコもP9でダブル入賞だ。ボルトレート:(アロンソを)抜けなくて、申し訳なかった。ベッカー:気にするな。きっとディナーを奢ってくれるさ。ボルトレート:だよね。

https://twitter.com/F1/status/1939361974866809273

[オートスポーツweb 2025年07月02日]

文:AUTOSPORT web
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