フルモデルチェンジしたトヨタの「アルファード」および「ヴェルファイア」を見た今尾直樹が、印象を綴る。
ショーファー・ドリブンの新しいスタンダード
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6月21日に公開された新型アルファードとヴェルファイアで興味深いと思ったのは、じつのところ、発表会の会場には行っておらず、筆者はネットでの中継をウチで見ていただけですけれど、サイモン・ハンフリーズがプレゼンターとして登壇したことだった。
長らくトヨタのデザインのヘッドをつとめ、この4月からチーフ・ブランディング・オフィサーを兼任するイギリス人のハンフリーズは、この発表会でこんなことを語った。
「アルファードはショーファーヴィークルの世界を一変させた。セダンしか認めない古いショーファーカーのイメージを変えたのです」
それができたのは2004年、社長になる前の豊田章男サンがセダンからアルファードに乗り換えたからという。カーガイでトヨタのマスタードライバーでもある章男サンはマスターパッセンジャーでもあった。アルファードは彼の仕事のスタイルに合っていた。広い車内でゆっくり仕事ができ、会議のあいまに寛ぐことができる。必要なら着替えだってできる。まさに完璧な選択だった。
章男サンが白いアルファードでサプライヤーさんを訪問したとき、「出て行け」といわれたこともあったそうな。アルファードから章男サンが降りてきたのを見てビックリされたのも、過去の歴史。いまやアルファードは相撲の力士から政治家、映画スター、ビジネスマンまで、幅広い層に愛用されている。
マスターパッセンジャーの豊田章男が3代にわたって乗り続けることによって、アルファードはショーファードリブンの新しいスタンダードになったのである。
ハンフリーズはそんな内容のことを語った。アルファードが画期的だったのは、単にファミリー向けのミニバンではなくて、ショーファードリブン、運転手付きで乗る高級車という新分野を切り開いたことなのだ。さらにハンフリーズはこう述べている。
「“Omotenashi”。乗るひとの心を豊かにしようという室内設計、どれだけ車内にホスピタリティを盛り込めるかという発想はまさに日本ならではです。自動車版の“ガラケー”になるのでは……と案じていたら、驚いたことに海外のみなさんが関心を寄せていた。ガラパゴスではない。新しいアルファードとヴェルファイアは、ニッポンのオモテナシから生まれたのです」
次はヨーロッパを目指してほしい新型アルファードとヴェルファイアは従来の2倍の国々で販売される。これまでもタイ、マレーシア、中国本土、香港、台湾、インドネシア等で人気があった。4人のおとながラウンジ風のシートに座り、それぞれのゴルフバッグを後ろに縦に積んで、悠々とゴルフ等に行ける。そういうクルマはありそうでない。巡航速度の高いヨーロッパはともかくとして、アジア、中近東、そしてニッポンで、新型アル/ヴェルはおそらくそのドヤ顔でもって路上をわがもの顔で闊歩することになるだろう。
最近のトヨタのハンマーヘッドデザインのミニバン版的解釈のようにも見える新型のデザインからうかがえるのは、ショーファードリブンの新しいセグメントをつくろう、という開発陣の意思であろう。
いみじくも、開発責任者の吉岡憲一氏は、モータージャーナリストの藤島知子さんと語り合う新型アルファードとヴェルファイアの動画のなかで、「もはやミニバンとは呼んでほしくない」と語っている。かのアイアコッカが産んだミニバンは、ニッポン的解釈によって次なるフェイズ、ショーファードリブンカーへ進化したのである。
どうせ進化するのだったら、次はヨーロッパを目指してほしい。というのはせっかちにすぎる願望でした。だって筆者は、新型の実物すらまだ見ていないのだから。それに、開発陣の方々こそ、それを願っているにちがいないのである。TV CMでも表現されているようにタキシードが似合うクルマを彼らはつくりたかったのだから。
文・今尾直樹 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
広島サミットで誰も使わなかった
まさか、横から見ると野ぐそのようなミニバンで溢れるというのだろうか