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困難に負けないフェルスタッペン/生粋のファイター、アロンソ【独自選出:F1第10戦ベスト5ドライバー】

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困難に負けないフェルスタッペン/生粋のファイター、アロンソ【独自選出:F1第10戦ベスト5ドライバー】

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は第10戦カナダGPの戦いを振り返った。

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■キャリアで最も圧倒的な勝利を挙げたラッセル

ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選1番手/決勝1位

 ジョージ・ラッセルにとって、これまで挙げた4勝の中で最も支配的な勝利だった。レースの先頭でペースを完全に掌握し、ひとつもミスなく走行しつつ、後方のマシンが接近してきた場面では、さらに少しだけプッシュする余力を残していた。

 過去の3勝のうち2回においては、ラッセルはルイス・ハミルトンの予選順位の低さに助けられ、自身がリードを維持し、チームメイトが後方から猛追するという展開だった。また、昨年のオーストリアでは、マックス・フェルスタッペンとランド・ノリスの接触の恩恵を受けた。しかし今回のモントリオールでは、ラッセルは予選Q3の最後にキャリア最高のラップを刻んでポールポジションを獲得し、スタートを完璧に決めて首位を守った。

 レース序盤の5周において、フェルスタッペンから強烈なプレッシャーを受けるなかでも、ラッセルは一切の隙を見せず、やがて小さなリードを築いてその差を最後まで管理した。メルセデスとの新契約を求める彼にとって、完璧な週末だった。


■どんな状況にも屈しないフェルスタッペン

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選2番手/決勝2位

 モントリオールでマックス・フェルスタッペンが成し遂げたことを踏まえるなら、彼を激しく攻撃することはできても、完全に倒すのは難しいということが分かる。あと一度過失を犯せばレース出場停止処分を受けるという極めて厳しい状況のなか、レッドブルが速いマシンに太刀打ちできないと予想されていたサーキットで、さらにラッセルが彼の危うい立場を利用するために激しく攻めると公言した後で、フェルスタッペンは週末を通して非常に印象的で堅実な走りを披露した。

 FP1では珍しくマシンバランスに満足していたが、FP2に向けて施した変更は計画どおりには機能しなかった。そのため週末の最初に使っていたセットアップに戻すこととなった。そうしてレッドブルは予選で十分な競争力を発揮し、Q3のラストランでC5タイヤを投入するという決断のおかげで、フェルスタッペンは予選2番手でフロントロウを確保することができた。

 レース序盤の5周でラッセルを抜こうと激しくプッシュしすぎたことで、フェルスタッペンは早々にタイヤを使い切ってしまったが、チームは迅速に対応し、最初のタイヤ交換の後にアンドレア・キミ・アントネッリを後方に抑え込むために彼を早めにピットインさせた。フェルスタッペンはそのポジションをレース終了まで維持し、2台のメルセデスを分断する形で表彰台に立った。


■速さだけでなく、優れた判断力も備えたアントネッリ

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス):予選4番手/決勝3位

 マイアミGPと同様に、アンドレア・キミ・アントネッリはこれまで一度も走行したことのない難しいサーキットにおいて卓越したパフォーマンスを見せた。アントネッリは、ジル・ビルヌーブ・サーキットで素早く感覚をつかみ、FP2では3番手のタイムを記録した。今回もC6タイヤでは苦戦し、ミディアムコンパウンドタイヤでQ3に進出。その同じタイヤセットは十分に良好な状態で、ラッセルの新品タイヤによるポールタイムから0.5秒差でグリッド2列目を獲得することができた。

 オープニングラップの最初のふたつのコーナーでの見事な動きにより、アントネッリはピアストリから3番手の座を奪取し、そのままレース全体を通してその位置を守り続けた。第1スティントと第2スティントの終盤には、一時、前方を脅かす場面も見せたが、最終スティントでは背後から迫る2台のマクラーレンに対する防御に集中を切り替えた。

 ピアストリは8回にわたってDRSを使って攻撃を仕掛ける機会を得たが、アントネッリは一度もミスを犯すことなくポジションを守り、生まれ持った才能に加え、成熟した判断力も備えていることを示した。


■タイトル争いにおいて貴重なポイントを稼いだピアストリ

オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選3番手/決勝4位

 接戦のタイトル争いにおいて最終的に差を生むのは、勝てないときに獲得したポイントだ。ランド・ノリスがオスカー・ピアストリに追突してリタイアしたのに対し、ピアストリは4位でフィニッシュした。

 予選では、C6タイヤを選択したドライバーの中で最速のタイムを記録したピアストリは、決勝スタート直後、オープニングラップの最初の数コーナーでアントネッリに対して重要なポジションを奪われ、その後何度もDRSを使用する機会があったにもかかわらず、それを取り戻すことはできなかった。

 ピアストリは、今回、週末を通してMCL39のバランスに関して快適とは言い難い状況で、フリープラクティスから予選Q2まではノリスにおよばなかった。土曜日からは以前のフロントサスペンションジオメトリに戻す決断をし、FP3では“ウォール・オブ・チャンピオンズ”に軽く接触、貴重な走行時間を失った。それにもかかわらず、ピアストリは予選Q3で素晴らしい仕事をやり遂げ、決勝では猛追するノリスに対して見事なディフェンスを見せて、最終的にはチームメイトのミスの恩恵を受けて、選手権でのリードを22ポイントに広げた。


■決して諦めない生粋のファイター、アロンソ

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選6番手/決勝7位

 今シーズンの最初の3分の1は非常にフラストレーションの溜まる展開だったが、それでもフェルナンド・アロンソはくじけなかった。2025年の開幕から8戦連続でポイントを獲得できず、マシンもミッドフィールドの上位勢と比べて見劣りする状態だった。アロンソが気力を失い、今年の戦いを諦めて、エイドリアン・ニューウェイ設計のマシンに乗れる来年にすべてをかけるという気持ちになってもおかしくなかった。

 しかしアロンソは、そうしたタイプの人間ではない。彼は生粋のファイターであり、それを再びカナダで証明してみせた。チームメイトがQ1で敗退したのに対し、アロンソは、すべての予選セッションにおいて6番手のタイムを記録し、ノリスとシャルル・ルクレールを上回った。

 アロンソは決勝でも再び輝きを放った。戦略面では最終スティントで不利な状況に置かれたが、それでもアロンソはコース上で角田裕毅とニコ・ヒュルケンベルグをパスし、チームに貴重な6ポイントをもたらした。

[オートスポーツweb 2025年06月19日]

文:AUTOSPORT web
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みんなのコメント

1件
  • まろまろ
    3位の新人高校生選手!
    ヤラかしちゃったマクラーレン、これまた新人枠選手が4位!
    間に入ってミスを誘ったり、ヤラかしちゃったチームの前でチェッカー出来るマシンに乗れてる5年目の選手。
    どのマシンに乗っても10位前後&周回遅れの残念無念。

    2戦で席を失ってしまった選手も、これ程手厚ければノレてるかもって感じだし、かつての新人枠選手も表彰台にアガってるし、調子落とした選手もアゲて来てたし!

    次戦も乗れる様なので兎に角、表彰台を期待してます!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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