ポルシェ718ボクスター GTS(4) 長期テスト サーキット走行で本領発揮
2022/01/24 13:47 AUTOCAR JAPAN 2
2022/01/24 13:47 AUTOCAR JAPAN 2
積算9673km フェラーリSF90と好対照
ロンドンの西、スラウの街に位置するフェラーリの北ヨーロッパ支社へ、718ボクスター GTSで乗り付けた。フェラーリSF90 ストラダーレを借りるため。
【画像】高バランスなミドシップ・ポルシェ 718ボクスターと718ケイマン 全77枚
2台は、オールドスクールなスポーツカーの最後と、新技術を搭載した先駆者という意味で対照的といえる。SF90は、ターボエンジンと3基の駆動用モーターを備えるPHEVで、EVモードでの走行も可能だ。
対するミドシップの後輪駆動、3ペダルMTを備える718ボクスターは、かなり従来的。20年後、どちらがより魅力的に映るのだろうか。
積算1万287km ボクスターでサーキット走行
ポルシェ718ボクスターは、サーキット走行を楽しむタイプではないと思われているようだ。重心は低く重量配分にも優れ、ステアリングの反応は直感的。リアタイヤにLSDを装備し、トラクションを掛けたり、テールスライドが自在でも。
ボクスターでレースを楽しんでいる人も、世界中にいるだろう。それでも、サーキット走行に関する話題はあまり挙がらないように感じる。理由はどこにあるのだろう。
固定ルーフを備える718ケイマンの方が、ボディはより強固で、操縦の正確性も高い。ハードな走行への親和性は高く、どちらかといえばサーキットへ近い位置にいることは確かだ。
とはいえ、718ボクスターの剛性感も、他のカブリオレ・モデルと比べれは遥かに高い。サーキットを楽しめる能力を備えていても、気軽に髪を風になびかせて走るクルマ、というイメージが拭えないからかもしれない。
シャシーのバランスと意思疎通のしやすさ
最も日常に近いサーキット走行会も楽しめるクルマを考えた時、マツダMX-5(ロードスター)が筆頭に来るだろう。だがこのロードスターも、日常的に風を楽しめるクルマではある。ボクスターと違ったイメージが形成されていることは、不思議に思える。
では長期テストの718ボクスターをサーキットで楽しんでいるのかと聞かれれば、先日、アストン マーティンが保有するシルバーストーンのストウ・サーキットを走らせる機会があった。撮影の一貫として。
英国のサーキットとしてはあまり一般的な場所ではないが、高速コーナーと低速コーナー、程々にタイトなヘアピンとS字カーブ、2本のストレートなどが組み合わされている。このレイアウトは、公道用モデルを楽しむのにうってつけ。
718ボクスター GTSを限界領域まで攻め込むことができる。アストン マーティン・ヴァルキリーでは、同じように走らないでください、と忠告を受けたが。
予想通り、718ボクスター GTSは楽しかった。グリップ量やターンイン時の鋭さは、よりハイチューンのボクスター・スパイダーには及ばない。しかしシャシーのバランスと意思疎通のしやすさは、同等に優れている。
コーナーの頂点を、可能な限り高い速度で回るだけでも爽快。限界領域付近でリカバリーできる幅が広く、安全性も充分だ。
高バランスなミドシップ・ロードスター
スタビリティも素晴らしく、速度域を問わず、初期のアンダーステアが掴みやすい。ミドシップ・レイアウトでありながら、感心するほど懐が深い。
ブレーキを引きずりながらのターンインや、テール主導のハンドリングなど、ちょっとしたテクニックにも応えてくれる。挙動は掴み取りやすく、テールスライドも強く意識せずに引き出せる。
ポルシェ718ボクスターは、ドライビング・テクニックを覚えるクルマとして優秀。同時に、ドライバーへの充足度も極めて高い。
ただし、よりショートなギア比と、より硬いブレーキペダルの感触が組み合わされば、一層素晴らしいクルマになるだろう。LSDが付いていなくても、アルピーヌA110の方が楽しいことも事実ではある。
それでも、年に数回サーキット走行で軽く汗をかきたいというドライバーにとって、718ボクスター GTSはベストチョイスの1台だ。普段はオープン・ドライブを謳歌できるのだから。高バランスなミドシップ・ロードスターだと思う。
積算1万702km 洗車が報われるボディカラー
久しぶりに718ボクスターを洗車してもらった。普段は自分で洗車しているのだが。最近は長く乗る機会が多く、汚れていた。走行で汚れたスポーツカーの見た目も、意外と嫌いではないのだけれど。
しかし、オプションカラーのカーマイン・レッド塗装は、きれいな状態ではとても見栄えがする。当初は汚れをさほど気にしていなかったのだが、洗ってもらって良かったと思わせるボディカラーだ。
テストデータ
気に入っているトコロ
ホイール:カッコイイ20インチのスポーツホイールを履いている。シルバーなら、もっと良く見えるだろう。
気に入らないトコロ
シフトノブ:変速自体が気に入らないわけではない。ストロークは充分に短いが、フィーリングが乏しく、ギアを変えたというメカニカルな手応えが薄い。
価格
モデル名:ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)
新車価格:6万6340ポンド(約1028万円)
テスト車の価格:7万5860ポンド(約1175万円)
テストの記録
燃費:9.6km/L
故障:なし
出費:12ポンド(約1800円/エンジンオイル)
〈動画〉旧型オーナー、思わず涙目!? ホンダ スーパーカブ110新旧比較【より乗りやすく上質に】
爆睡出来る!? スズキに「2段ベッド仕様」が存在! 新型アトレー対抗の「エブリイ車中泊車」とは
ガスリー、まさかの予選Q1敗退に落胆「戦略ミスが大きな損失につながった」|F1モナコGP
欧州ではサーキットでも必要なしとの声も……憧れのドラテク「ヒール&トゥ」が公道ではいらない理由とは
最上級のサウンドを狙う…ポルシェ カイエン 前編[インストール・レビュー]
ついにホンダが新型「快適ミニバン」を発表! 「生で見てきた!」 6代目「ステップワゴン」への反響は?
1台限りのヴィニャーレ・ボディ アストンマーティンDB2/4 ベルギー国王の特注車 後編
かわいいようで超体育会系! これでMTがあれば…… スズキ スプラッシュ【記憶に残る珍名車の実像】
1台限りのヴィニャーレ・ボディ アストンマーティンDB2/4 ベルギー国王の特注車 前編
三菱社員がエクリプスクロスPHEVでラリーに初見参! 電欠問題もクラス2位を獲得
【Q&A】エンジンは、本当に「性能の水冷、味わいの空冷」なの? 「油冷」は?【バイクトリビア011】
ニッキー・ヘイデンを忘れない【ビッグスマイルが眩しいアメリカンライダー】
ホンダ「ヴェゼル」の新車も半年待ち!? 中古車がお得なのか調べてみた!
トヨタ アルファードの特別仕様車「SタイプゴールドIII」は標準グレードと何が違うのか?
新型「ステップ ワゴン」発売 価格は299万~384万、工場出荷めどは4~5ヶ月
輸入SUV2年連続No.1! 「Tクロス」のグレードの違いとおすすめオプションなどを細かく解説
三菱「eKクロス EV」発表。補助金込みの購入額は185万円~、東京都では軽ガソリン車並みの価格感に!
大人気のトヨタ「ハリアー」が新車で買えない!? では中古車なら買えるのかチェックしてみた
トヨタの本気が詰まった「GRヤリス」のグレードと装備を読み解く
全身最新化! ダイハツ「アトレー」のグレード選び。注目ポイントを解説!
トヨタ「アルファード」の中古車事情を調べてわかったこと