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アウディR8 V10 プラス ウラカンと異なる独自性を築く 試乗記

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アウディR8 V10 プラス ウラカンと異なる独自性を築く 試乗記

もくじ

どんなクルマ?
ー R8 V10「プラス」 どう違う?
ー テスト車両 内外装も注目ポイント

試乗、マクラーレン570Sスパイダー 「いい意味でクーペと同じ」

どんな感じ?
ー 自然吸気V10と「屋根あき」の魔力
ー 570S/488 GTBの差別化は?

「買い」か?
ー R8 V10プラス 築く独自の立ち位置

スペック
ー アウディR8 V10 プラスのスペック

どんなクルマ?

R8 V10「プラス」 どう違う?

エントリーレベルのR8スパイダーなら£130,000(1931万円)ほどで購入できるのに、このモデルが£25,000(371万円)も上乗せされていることに疑問を持つかもしれない。

スーパーカーの600psクラブ・メンバーの1台となるべく、ミドシップに搭載される5.2ℓV10は、圧縮比を高めて70psと2.1kg-mが加算されている、という事実を聞けば、少しは納得がいくものだろうか。

さらにカーボン・セラミック・ブレーキにスポーツ・シート、カーボンファイバー製のパーツ類がエクステリアにもインテリアにも不足なく奢られ、車重は1695kgと25kgの軽量化を実現することで、ハンドリングも向上。

その結果得られたパフォーマンスは、現在のところマクラーレン720Sと並ぶこととなった。

「プラス」仕様のアピアランスで大きなポイントは、リアデッキのエッジに大きく伸びるスポイラーだ。カーボン製のリアディフューザーと合わせて、最高速度域では100kgものダウンフォースを後輪に発生させる。

テスト車両 内外装も注目ポイント

テスト車両のハンサムなモントレー・グリーンのボディ(£3,400)と、キルティング・コニャック・ブラウンのインテリア(£7,000)は、どちらもテーラーメイド・プログラム「アウディ・エクスクルーシブ」のオプションとなる。

ちなみに追加費用なしで、カーボン製のサイドシルとスポイラーを、ボディと同色に塗装することも可能だ。

 

標準のスパイダーと変わらず、サスペンションは4輪ともにダブルウィッシュボーンで、強力なトルクを全ての車輪へ有効に伝達できるクワトロ(4輪駆動)となる。またリアタイヤには機械式のリミテッドスリップデフが備わっている。

アウディでは一般的となったドライブ・セレクト機能で、スロットルマッピングやステアリング、エグゾーストシステムのほか、オプションとなるアダプティブダンパーやギアボックスだけでなく、ドライブトレインの味付けまで変更が可能。

コンフォート、オート、ダイナミックの3モードの下に、それぞれドライ、ウェット、スノーのモードが備わる。設定の幅は非常に多彩で、ボタンひとつで選択可能なインディビジュアル・モードには、好みのセットアップを保存することが可能だ。

どんな感じ?

自然吸気V10と「屋根あき」の魔力

この華やかなロードスターに関して、周囲の目を気にするタイプのひとは否定するかもしれないが、わたしは、魅力に溢れていると主張したい。 

わずか44kgのファブリック製ルーフを下ろし、オプションのスポーツ・エグゾーストをダイナミック・モードに切り替える。

右足をペダルに乗せれば、シリーズ生産されるエンジンが8700rpmに達する度に放つ、耳をつんざくノイズに、無意識のうちに浸っているはずだ。

右足から力を抜いた瞬間、あたかも当然のようにエンジンからエグゾーストマニフォールドへガソリンが吐き出される。パパッと退廃的に弾けるアフターファイヤーに少し気が引けつつも、思わず笑顔がこぼれてしまう。

R8スパイダーV10プラスの特出した排気音に、絶え間ないエンジンの機械音が重なり、気分が高揚する。余裕がある排気量のおかげで、回転数を問わず、強力なピックアップを楽々と披露する。 

予想通り、アウディの7速デュアルクラッチのSトロニック・トランスミッションは、パドルを弾く度に、たとえ何速か飛ばしても、キビキビと変速する。もう少しギアが噛み合う時のアクションがあっても良いと思うほどだ。

オートマティック・モードももちろん残されており、予期しないような追い越しのタイミングでも、予期していたかのようにシフトダウンしてくれる。エンジン回転の遅れも全く無い。エンジンとギアとの、極上の組み合わせだ。

ターボ加給されるライバルたちと異なり、頑固にも自然吸気にこだわって、オープントップによってその存在が近くなったドライサンプのV10プラスエンジンだけでも、このクルマの購入動機には十分なり得る。

エンスージァストにとっては、大排気量自然吸気エンジンの存在が希少になりつつある今、この存在感は大きいはずだ。

では、ライバルとはどう違うのだろう?

570S/488 GTBの差別化は?

ルーフのフォールディング機構が間に収まるため、リアのバルクヘッドが前方に移動しているのだが、シートの位置には変更はない。

よって、開口部の美しいラインとの引き換えに、車内は若干狭く感じるかもしれない。多くのひとにとって、不快と感じる程のレベルではないが。もちろん、ドライバーは自然なシートポジションを取ることができる。

重すぎないステアリングと極めて高いシャシー剛性、ブレーキの感触などにより、常に自信を持って攻めた走りが可能で、フロントタイヤを不安定な状況に持ち込むのは難しいほど。

ちなみに、オプションのマグネティック・ライドを装備していたとしても、英国の路面ではコンフォート・モードにしておく方が良さそうだ。

305とワイドなリアタイヤをテスト車両は履いていたが、路面がドライでなくても、クワトロ・システムによって、グリップやトラクションを失わせることは簡単ではない。

ただし、実際は車重を考えると、ウェット時には気をつけたほうが良いだろう。

突き詰めていくと、R8スパイダーV10プラスのシャシーは、コミュニケーション豊かなカーボン・タブのシャシーを持つマクラーレン570Sスパイダーや、フェラーリ488スパイダーとは異なるが、虜になるクルマであることに違いはない。

同じことは、アウディのターボエンジンを積んだモデルにも当てはまることなのだが。

「買い」か?

R8 V10プラス 築く独自の立ち位置

一般的には、走行性能よりもオープンという魅力で購入されるケースが多いだろう。

しかし、R8スパイダーV10プラスのエグゾーストノートは、他に例がない素晴らしいもの。また驚くほど速く、日常利用も十分可能で、ひと目を気にするひとでも、他のスーパーカーと比べればだが、比較的匿名性のあるモデルでもある。 

つまり、アウディR8スパイダーV10プラスのポジションは唯一無二だ。もしV10エンジンの魅力に惹きつけられているのなら、£205,000(3046万円)のランボルギーニ・ウラカン・スパイダーという選択肢も無くはないが、このクルマの評価の鍵は、このエンジンとシャシーのバランスだ。

アウディR8スパイダーV10プラスのスペック

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