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2020年オートライト義務化で無灯火減る? 現状はメーカー間で38分も点灯時間差 設定が違う理由とは

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2020年オートライト義務化で無灯火減る? 現状はメーカー間で38分も点灯時間差 設定が違う理由とは

■オートライト機能が義務化、いつから?

 クルマのヘッドライトで、最近では暗くなると自動で点灯する「オートライト機能」が搭載されているクルマを多く見かけるようになりました。便利で安全なオートライト機能ですが、じつは搭載の義務化が決定していることは知っていましたか?

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 2016年10月に道路運送車両の保安基準が改正され「オートライト機能」の搭載義務化が決まりました。適用時期はもう少し先で、新型車については2020年4月以降に発売となるクルマ、継続生産車については2021年10月からとなります。なお、定員11人以上の乗用車(バス)や車両総重量3.5t超のトラックについては新型車が2021年4月、継続生産車が2023年10月となっています。

■オートライト機能とはなに?

「オートライト機能」とは、クルマのセンサーが周囲の明るさを検知して、ヘッドライトを自動で点灯/消灯をしてくれる機能のことで、付け忘れを防ぐとともに「薄暮時」(はくぼどき)の事故を減らすことを目的としています。

 なお「薄暮時」とは早朝や夕方などの薄暗い時間帯のことで、日没や日の出の前後1時間ほどの、人や物が見えづらくなる時間帯のことを示します。身近な現象としては、キャッチボールで白色のボールが見えづらくなってくるタイミングです。

 警察庁の発表によると、平成24年から平成28年の5年間における死亡事故発生状況を分析した結果、

・日没時刻と重なる17時台から19時台に多く発生していること・薄暮時間帯には、自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く発生しており、中でも65歳以上の高齢歩行者が死亡する事故が多くなっていること

 などが明らかとなりました。警察庁は「薄暮時」ヘッドライトの早めの点灯を呼びかけています。

 古い車を見てみると、ヘッドライトまたは車幅灯と、メーターやスイッチ類の照明が連動しているタイプがほとんどでしたので、周りが暗くなるとメーターなどが見づらくなり、ヘッドライトあるいは車幅灯を付けるようにしていたドライバーがほとんどでした。

 最近では、自発光式メーターや液晶ディスプレイを採用する車が増えてきており、昼夜問わず発光しているため、うっかり無灯火状態で走行してしまうケースが増えているといいます。

 しかし、オートライト機能が搭載されている車であれば、ドライバーは手元のスイッチを「AUTO」にしておくだけで、クルマが自動でヘッドライトを点灯してくれるので、忘れてしまう心配もありません。また、トンネルなどの一時的にヘッドライトの点灯が必要とされる場合でも、自動で点灯/消灯をしてくれるため、トンネル内でヘッドライトの付け忘れや、トンネル通過後の消し忘れを防ぐことができます。

■オートライト機能のデメリットはあるの?

 義務化される以前から、オートライト機能を搭載しているクルマは数多く存在します。しかし、ヘッドライトの点灯/消灯のタイミングに細かい規定がなく、各社が独自の設定で運用しているのが実態です。

 オートライト機能の設定のばらつきによっては、小さな橋の下などで点灯してしまい、パッシングや後続車にはブレーキと間違えられたり、直後にすぐ消灯して余計にパッシングやブレーキを踏んだように誤解を広げる動作をしてしまっている事例もあります。そのため、オートライト機能が搭載されていても手動で操作しているドライバーも少なからずいるようです。

 実際、JAFが行なった「オートライト点灯時刻テスト」によると、日没前の約1時間で、ヘッドライトの点灯が最も早かったクルマと最も遅かったクルマの時間差は、38分にもなったようです。車種による設定のばらつきが大きいということがわかります。

 また、車種によってはスイッチにある「OFF/AUTO/車幅灯/ヘッドライト」の並びが異なることで、クルマを複数台所有するドライバーや、レンタカーに乗った際にオートライトがOFFになるというミスが生じる可能性もあります。

 今後、オートライト機能が義務化されることによって、どのように規定され、問題点は改善されていくのでしょうか。

■オートヘッドライトが義務化はなぜ? 何が変わる?

 オートライト機能搭載の義務化の背景と規定について国土交通省に伺いました。

──オートライトの義務化に際して、どのような背景があるのでしょうか。

 基準を決めた2016年当時、夕方の薄暮時に高齢者の歩行者の事故が多かったため、2016年10月7日の国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において制定された、自動車の安全機能についての基準を日本でも取り入れて、義務化する方向に進みました。

──スイッチ周りはどのように規定されますか。欧州車などではOFF位置が無くなっているクルマも見受けます。

 スイッチ等は自動車メーカーに一任しています。オートライト機能は周囲の照度に応じて、自動的に点灯及び消灯する機能を有するものであるとしていて、この自動で点灯する機能を手動で解除することはできないとしています。また、自動的に消灯する機能については、手動による解除が可能な構造とすることもできる。と規定しています。よって、オートライト機能の自動点灯を解除出来ないような作りであれば、スイッチの並び順などは問わない、ということになります。

──対向車が来たとき、ハイビームからロービームに切り替えるドライバーが多くいると思いますが、オートライト機能を搭載した車ではハイビームとロービーム切り替えは、どのように規定されていますか。

 今回のオートライト機能に関しては、ハイビームの規定はしていません。自動車メーカーさんで独自に搭載している機能などに関しては把握できていません。

──エンジンを掛けたまま停車している車にオートライト機能は適用されますか。

 自動車が停止している場合や速度が10km/h以下である場合であって、かつ、その走行距離が100m以内である場合、また、フォグランプが点いている場合にのみ、周囲が1000ルクス未満であっても自動での点灯は義務づけられていません。しかし、停車している車のヘッドライトを付けてはいけない、とは一切規定していません。

■新基準になるオートヘッドライト機能

 義務化にともなって国土交通省が発表した「すれ違い用前照灯の自動点灯及び消灯に関する要件」によると、周囲の照度が1000ルクス未満になると2秒以内に点灯するように、周囲の照度が7000ルクス以上であれば5秒超300秒以内で消灯するように規定されています。

 しかし、1000ルクス以上7000ルクス以下の場合は、点灯または消灯、およびそのタイミングも自動車制作者などの定めるところによる、と記載されています。

 オートライト機能による点灯/消灯のタイミングに関しては最低限の基準は決まったものの、今後も各自動車メーカーによる動作の違いはあるようです。

 義務化が決まったことで2020年にかけて、新しい基準に合わせたオートライト機能を各社投入していくと考えられます。

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