ホンダは、東京オートサロン2020の会場で、2020年シーズンのモータースポーツ参戦体制を発表。昨シーズンFIA F3に参戦し1勝を挙げた角田裕毅を、FIA F2に昇格させることを明らかにした。角田の所属チームは、昨シーズン松下信治が在籍していたカーリンである。
この角田については、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコがその才能を高く評価しているのは既報の通り。そのマルコは最近になって、角田のことをさらに語った。
■ホンダ、2020年の四輪育成枠を発表。角田裕毅、FIA F2に参戦決定
「我々には、とても素晴らしいドライバーが何人かいる。角田もそのうちのひとりだ。角田裕毅、彼はみんなに愛されている。彼の身長は、158cmなんだ」
マルコはそうインタビューで語った。
真っ先に角田の名を挙げたマルコ。「角田は完璧なレーシングドライバーなのか?」と尋ねると、彼は次のように語った。
「いや。彼の場合は、足が届くようにするために、ペダルを変更しなきゃいけないからね」
マルコはジョークを飛ばし、次のように続けた。
「角田は今季、F2マシンをドライブする。そして1年目からトップ4に入ることを期待している。そうすれば、彼は(スーパーライセンスの獲得に)必要なポイントを手にしているだろう。彼は信じられないほどの”レースパワー”を持っている。F3では、彼は普通ならあえりえないだろうというドライビングを見せた。彼はどんなレースでも、それをやってのけた。それは素晴らしいことだ。そして、オーバーテイクのセンスも優れている。ただ弱点は予選だ。彼はその改善に努めている」
ただ、レッドブルの育成枠には、才能溢れる角田のライバルとなるドライバーが犇いている。その筆頭は、TEAM MUGENからスーパーフォーミュラに参戦するユーリ・ヴィップスだろう。
「我々にはヴィップスもいる。彼はF3のヨーロッパ選手権で4位になったが、少し不運だった。彼はスーパーフォーミュラで戦う。テストでは一度最速だったし、常にトップ4に入っていた。とても有望だ」
そう語るマルコ。しかしヴィップス以外にもドライバーが揃っている。
「デニス・ハウガーも強力だ。彼はF4で13勝もしくは14勝したと思う。彼はニュージーランド出身のリアム・ローソンと共にF3を走る」
「11月にはレッドブルリンクでテストが行われ、最速だったのはイギリスのジョニー・エドガーだった。でもそのテストには、プレマのドライバーそしてUSレーシングのドライバーもいた。エドガーの0.1秒遅れにはジャック・クロフォードもいる。彼もF4をドライブする。それからジャック・ドゥーハンもいる。彼は二輪界の伝説、ミック・ドゥーハンの息子で、今年はF3に(HWAから)参戦する」
レッドブルの育成枠からは多くのドライバーが育ち、今もF1のみならず世界中のレースで活躍している。
「彼らは他(F1以外)の進路でもモータースポーツでのキャリアを積んでいる。今、ジャン-エリック・ベルニュがフォーミュラEで勝ったとしても、F1に必要なこととは全く異なる。多かれ少なかれ、彼らは完全な新人になっているからね。ピレリの特性に慣れるためには、1シーズン必要だ。そういう理由からすれば、それまでの成功はすべて過去のモノだ」
そうマルコは前置きした上で、レッドブル育成の価値について次のように続けた。
「しかし、我々の育成プログラムから巣立っていったドライバーの多くが成功を収めている。彼らは今、良い収入を稼ぎ、趣味を職業に変えた。それは素晴らしいことだ。それについては哲学的な観点からも理解する必要がある」
「当初ジュニアチームは、一種のサポートプログラムというだけだった。誰もが、モータースポーツが高価だということを知っていたからね。そして(ディートリッヒ)マテシッツ(レッドブル創業者)は言ったんだ。『我々はそれをサポートし、そこに辿り着くチャンスがある人たちを手助けするんだ』とね。そしてその後、突然ふたつのF1チームができたんだ。誰かが比較的成功しているから、サポートしようという我々の考え方では十分ではない……それは明らかなことだった」
「そこに乗るドライバーは、少なくともグランプリに勝つ可能性を手にしている必要がある。それが、セレクションが厳しくなった理由だ。それについて批判されているのを理解するのは難しいね。だって我々は、そういうドライバーに対して1シーズンか2シーズン分の資金を提供しているのだ。その資金がなかったら、彼らは今のような状況にはなっていなかっただろう」
「我々のプログラムは信じられないほどの成果を挙げている。これまで、我々の育成ドライバーのうち何人が優勝しただろうか? (セバスチャン)ベッテル、(ダニエル)リカルド、そしてマックス(フェルスタッペン)だ。表彰台に上がった人数は、かなりの数になる。これについて我々は満足し、誇りに思っている。今では同じようなプログラムが、たくさんできている。しかし他のプログラムはどれも、我々の成果には近付くことができていない」
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