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ダイムラーの次世代プロトタイプ燃料電池トラックが再びアルプスに! 量産化に向けてシステムの玉成を図る

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ダイムラーの次世代プロトタイプ燃料電池トラックが再びアルプスに! 量産化に向けてシステムの玉成を図る

 2025年3月に発表されたウィンターテストに続き、ダイムラーは燃料電池トラック開発用の次世代プロトタイプ車両によるサマーテストを再びスイスアルプスで実施した。

 2度の集中試験を通じて燃料電池システムの効率・安定性・信頼性は高まっているといい、2026年末のカスタマートライアル開始と、2030年代初頭の量産化および商用化を目指している。

【画像ギャラリー】サマーテストを実施したダイムラーの次世代FCEVプロトタイプ(5枚)

文/トラックマガジン「フルロード」編集部

写真/Daimler Truck AG

次世代FCEVプロトタイプを集中試験

 ダイムラートラックは9月18日、燃料電池電気自動車(FCEV)の大型トラック「GenH2」の開発用次世代プロトタイプ車両4台によるサマーテストを、スイスアルプスで実施したことを発表した。

 同社は3月に次世代プロトタイプによるウィンターテストを実施したことを発表しており、同じ車両が夏のアルプスに帰ってきた。極低温を要する液体水素を燃料とし、燃料系からバッテリーまで熱管理が重要な同社のFCEVプロトタイプにとって、むしろ夏のアルプスのほうが過酷な環境かもしれない。

 スイスのヴァレー地方を通る道路は、海抜600メートルから2478メートルという標高にあり、アップダウンが激しい。いくつかの峠道は冬期通行止めとなるため夏季限定の道であり、車両開発のための試験環境として優れているという。

 高地でありながら夏の最高気温はセ氏35度を超えることもあり、酸素濃度の薄さ、勾配、冷却と熱管理など複合的な要件に対応する必要がある。試験は、こうした極端な環境下で開発中の車両に関する洞察を得ることを目的としており、将来的に物流現場に投入された際の実用性確保を狙っている。

 車両の挙動とダイナミクスに関して開発チームが特に重点的に試験したのは、実際のピーク負荷時における電動パワートレーンのパフォーマンスと熱管理、燃料電池システムとバッテリー、燃料系のインタラクションだった。さらに、FCEVトラック向けの予測パワートレーン制御(PPC)の開発が進められた。

 FCEVトラックではバッテリーと燃料電池が協調して働く。パワートレーンの予測制御が内燃機関やバッテリーEVより複雑化するいっぽう、適切に作動した場合の効果も大きい。3次元の地形データを活用し、システムは数km先の進路まで勾配を予測している。これにより出力配分を時間軸方向に最適化する仕組みだ。

 具体的には、高負荷が予測される際に適応的に燃料電池の出力を上げ、走行用の高圧バッテリーを事前にチャージする。ピーク負荷時に合計出力が最高効率となるよう制御することで、アルプスの厳しい坂道でも効率的な走行が可能になる。逆に低負荷が予測されるならエネルギー回生を見越して反対の制御となるだろう。

 なお、GenH2次世代プロトタイプは前世代のプロトタイプと同様、液体水素を使用しているが、試験ではエアプロダクツ製の移動式水素ステーション(過冷却水素による「sLH2」規格)を試験拠点に設置した。

2030年代初頭に欧州を中心に大規模商用展開

 数週間に及んだサマーテストで4台のプロトタイプは合計1万km以上を走行し、累計の標高差は14万6000メートルに達した。次世代FCEVトラックは成熟に近づいており、高い性能を証明したという。

 厳しい試験環境にも関わらず、テスト後もシステムは安定して稼働しており、ヨーロッパアルプスのような過酷な条件でも高い信頼性を発揮した。試験で得られたデータはその後の車両開発に反映され、商用化・量産化に向けてシステムの玉成を図っている。

 ダイムラーはFCEVトラックの次のステップとしてセミトレーラけん引車をメルセデス・ベンツのヴェルト工場にて100台規模で小数量産することを目指している。その車両は2026年末ごろにローンチカスタマーに届けられ、実際の運行を通じてトライアルを行なう予定だ。

 そして、カスタマートライアルの結果を反映した量産車を大規模に商用展開するのは2030年代初頭を計画している。こうした段階的な展開は、同社がBEVトラックで採ってきた戦略とも一致する。

 なお、北米市場の不透明さなどから、ダイムラーは水素燃料電池トラックでは欧州に重点を置くことにしている。

文:ベストカーWeb ベストカーWeb
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