■寒いからエンジンも冷える、は間違い? なぜオーバーヒートするのか
クルマのトラブルで比較的知られているもののひとつに、エンジンのオーバーヒートがあります。外気温が高い夏の走行時に多く起きるイメージもありますが、まれに冬にも発生する場合があるといいます。いったいなぜでしょうか。
冬にも発生する可能性があるオーバーヒートですが、最近は水温計がなく警告灯だけが装備されるクルマも増え、ときには現在のクルマの水温を正確に把握できていない場合もあります。
そこで、「冬のオーバーヒート」の原因を検証します。
近代のクルマでオーバーヒートが起きる主要な原因は、故障によるものの割合が多いです。
なかでも、ホースの劣化による冷却水の漏れや、ウォーターポンプの故障などが発生すると、仮に外気温が低かったとしてもエンジンの冷却がうまくいかずエンジンがオーバーヒートしてしまうことがあるといいます。
冬だからといっても、クルマの調子が良くなければオーバーヒートはありうるという訳です。
また、冬特有といわれているオーバーヒートに、意外に雪が原因になることがあります。雪がラジエーターを塞いでしまうことで、ラジエーターの働きが滞ってしまい、冷却が間に合わなくなります。
※ ※ ※
では、実際にオーバーヒートが起きてしまったら、どのように対応すればよいのでしょうか。
クルマのメーターには、「水温計・水温警告灯」がついていますが、近年の国産車の場合、ドライバーがあまり神経質にならないように、あえて適正範囲内なら水温計の針が動かない設定になっています。
つまり水温計が上昇し始めるということは、その時点で赤信号が点灯しているようなものです。そのような状態になったら、安全が確保できる場所(路側帯など)で、水温が下がるまでアイドリング状態を保つことが推奨されています。
そして、いよいよオーバーヒートしてしまった場合は、出来るだけ早く停車して水温が下がるのを待ちます。ボンネットを開ける際は、高温に充分注意してください。
冷却水は、熱により膨張している可能性もありますが、リザーバータンクのHマーク(上限)を超えていたり、吹き出した痕跡がみられる場合は「ラジエーターキャップの故障」か「ガスケットの破損」が考えられます。
逆にCマーク(下限)以下になっている場合は漏れているということです。あくまで緊急の場合に限りますが、冷却水は水道水でも代用できますので、注意しつつ補充することで水温を下げることができます。
ただし、前述の通り高温となっているエンジンは危険なので、やけどを避けるためにエンジンが冷えていないときはラジエーターやリザーバータンクのキャップを外さないようにしてください。
また冷却液が白濁している場合は、エンジンオイルなどが混入している可能性が高く、それも「ガスケットの破損」が考えられるといわれています。エンジンを本格的に傷める前にストップさせ、その後は整備工場で見てもらう方がいいでしょう。
※ ※ ※
オーバーヒートを未然に防ぐ対策法はどのようにするのがいいのでしょうか。
一般のドライバーが事前にチェックできることとしては、アイドリング状態で停車させたクルマの下部から冷却液が漏れていないかどうか、が挙げられます。
たいていの冷却液は、赤や青、緑に染色されていますので、クルマの下の地面に冷却液らしき液体が漏れていたら、冷却系のホースやつなぎ目などから漏れている可能性があります。
ちなみに、オーバーヒートの防止に重要な冷却液の交換の目安は約2年で、費用は5000円程度でおこなえます。冬空の下でオーバーヒートする前に、機会を見てガソリンスタンドなどでもらうだけでも、未然に防ぐことが可能です。
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