新型「RX」は多岐にわたって走りをアップデート
2022年に登場したレクサスのミッドサイズSUV「RX」が、初の商品改良を受けました。
【画像】「えっ…!」これが現行モデル初の商品改良を受けたレクサス新型「RX」です(30枚以上)
1998年に初代モデルが誕生したレクサス「RX」(日本ではトヨタ「ハリアー」として誕生)は、プレミアムクロスオーバーSUVというカテゴリーを開拓。現在では約95の国と地域で累計350万台を発売するレクサスの絶対的エースへと成長しています。
先日、商品改良を受けた最新の「RX」ですが、エクステリアの変更点は「“バージョンL”」に21インチのタイヤ&ホイール(235/50R21/ダークグレーメタリック塗装+切削光輝)をオプション設定した程度で、見た目はほぼ変更なし。
インテリアも、イルミネーションの改良、フル液晶メーターの採用、「“Fスポーツ”」にホワイト内装の設定追加と、細部のアップデートにとどまっています。
この辺りは「見た目は無理に変える必要がない」という考え方であり、かつてのトヨタ車やレクサス車でたびたび見られた“お化粧直し”の改良とはちょっと異なります。
それでいながら、見えない部分……走りのアップデートは多岐に渡っています。
まずは静粛性のさらなる向上。ダッシュインナーサイレンサーの目つけ量をアップさせているほか、インパネへの吸音材追加やリアアのコースティックガラスの採用、さらにリアへの制振材・吸音材の追加などを実施しています。
続いては、「RX500h“Fスポーツ パフォーマンス”」のエンジンサウンドの音質改善。エンジン制御を見直して音質を追求したほか、“アクティブサウンドコントロール(ASC)”を再チューニングし、加速時だけでなく減速時も“いい音”を響かせるようにしています。
もちろん、ドライバビリティの向上も図られています。「RX500h“Fスポーツ パフォーマンス”」は駆動力特性を変更。「RX450h+“バージョンL”」と「RX350h“バージョンL”」はアクセル開度に対する駆動力特性の出し方を変更することで、レスポンスとコントロール性を向上させています。
その上で、シャシーセッティングを最適化。「バネ上の動きが大きい」との指摘を受け、サスペンションや電動パワーステアリング(EPS)を再チューニングしています。
加えて、従来は「RX500h“Fスポーツパフォーマンス”」のみに設定されていたリア操舵機構“ダイナミックリヤステアリング(DRS)”を、「RX450h+“バージョンL”」と「RX350h“バージョンL”」の4WDモデルにも設定。「スポーツ」モード選択時は同相転舵領域を中速域にまで拡大し、コーナリング時の応答性をより向上させています。
こうした改良内容を見ると、要するに全体的なレベルアップが図られた……わけですが、実際に乗るとどんな印象なのでしょう? 今回、すべてのパワートレインを比較試乗できたので、詳しく紹介していきます。
●HEVもPHEVも静粛性がレベルアップ
まず“静粛性向上”ですが、その効果を一番実感できるのはHEV(ハイブリッド)仕様の「RX350h“バージョンL”」です。
定常走行時はエンジンがより遠くで回っている印象で、エンジンは完全に黒子に徹しています。アクセル開度を高める(HEVメーターで3/4くらい)と、従来モデルは音量が途端に大きくなり、濁音多めの音質も含めて「プレミアムっぽくないな」と感じたものですが、新型はよほど急加速をしない限り、気にならないレベルに抑えられています。
PHEV(プラグインハイブリッド)の「RX450h+“バージョンL”」は、「EV」モード時はいわずもがなですが、HEVモードでもエンジンの存在を忘れさせるレベルの静けさです。
そのため、常用域でエンジンが再始動してもバッテリー容量の大きさを活かし、エンジン回転を上げずにスーッと加速する電動車フィーリングが際立ちます。プレミアムカーにふさわしいパワートレインであることを実感できるようになりました。
筆者(山本シンヤ)は、「これなら自宅に充電施設がなくても、PHEVを選択する理由ができたな」と感じたほどです。
さらなる驚きは「CHARGE」モードのとき。従来は、うなるエンジン音が耳触りで、本当の緊急時以外は利用するのを控えたくなりましたが、新型は定常走行であれば許容範囲内かな……というレベルになっています。
「RX500h“Fスポーツパフォーマンス”」は、絶対的な音量よりも音質アップの効果が大です。従来モデルで感じた“濁音”多めの音質の粒が少しまろやかになった印象で、ノイズからサウンドに変わり始めたかな……と感じました。
この辺りは、同じ2.4リッターのターボエンジンを積む純エンジン車「RX350」系も、「RX500h“Fスポーツパフォーマンス”」ほどではないものの同様の印象でした。
ちなみに、ASCをオンにすると、“生音”に加えてV6エンジンを想起させる音がミックスされます。音を足すことに否定的な人もいますが、今回のそれは減速時のサウンドも含めてアリだと思いました。
ただし、それらを設定する際に階層が深すぎて、走行中の気分に合わせて簡単に調整できないのは改善して欲しい項目です。
これはドライブモードにもいえることですが、せっかく調整代がたくさんあるのに、それ自体が隠れていると宝の持ち腐れになってしまいます。コックピットに大画面モニターが備わっているのですから、それをもっと有効活用した方がいいなと感じました。
「RX」本来のバランスのよさが崩れた!?
商品改良を受けた新型「RX」ですが、そのフットワークは正直、悩ましいな、という印象です。
改良ポイントのひとつであるバネ上の動きに関しては、高速道路の連続した大きな凹凸や首都高速のジョイントを乗り越えたときなど、クルマの動きが確かに抑えられています。
しかし、クルマが揺さぶられるような動きが強くなってしまったのと、減衰感が強くて足の動きにしなやかさが薄れてしまったように感じました。
おそらく、路面からの入力をすばやく抑えようとするあまり、吸収スピードが短くなっているのでしょう。その傾向は「“バージョンL”」の方が強く、走り始めてすぐに「タイヤの空気圧が高めなのかな?」と感じて確認したほどです。
逆に、足回りがより引き締められた方向の「“Fスポーツ”」の方が、入力と吸収のバランスがいい上に、スッキリした減衰感も相まって体感的な乗り心地はむしろ上だと感じました。
ハンドリングは全体的に、軽快&キビキビとした味つけ。つまり、同じレクサスの「NX」に寄ったイメージです。
結果、より軽く、より小さいクルマに乗っているかのような“手の内感”が出ているのですが、逆に「RX」のうま味であり個性であった重厚感やゆったり感といった“大人の余裕”を感じさせる走りが薄れてしまったのと、コーナリング中の前後バランスが崩れてしまったように思いました。
なかでも、今回の改良でDRSがプラスされた「RX450h+“バージョンL”」と「RX350h“バージョンL”」の4WDモデルで、それを顕著に感じました。
具体的には、舵を入れるとフロントよりリアが先に曲がろうとする感覚が強めで、結果として「曲がらなそうなのに、曲がる」という、なんとも不思議なフィーリングになっています。
「RX500h“Fスポーツパフォーマンス”」も、従来は他の「RX」とは別格のキレのいい走りが特徴でしたが、新型は丸くなってしまった印象。他グレードに寄せられてしまった感があります。
“DIRECT4”と呼ばれる4輪駆動制御技術を活かしたアンダー知らずのハンドリングも、新型ではグッと踏ん張るリアに対してフロントが逃げ気味(=アンダー多め)で、結果として一体感も薄れたように感じました。
そういう意味で、DRSのつなかい「RX350“Fスポーツ”」が一番素直なハンドリングだと感じました。とはいえ、リアに対してフロントが足りない印象は、他のモデルと同じです。
* * *
新型「RX」は確かに、クルマ全体の商品力がアップしています。しかし走りに関しては、「NX」が度重なる改良でレベルアップしていることを考えると、「えっ、なんで?」と思ったのが筆者の正直な感想です。
少々厳しい評価になってしまいましたが、今回の商品改良は引き上げたい性能をピンポイントで見過ぎてしまったあまり、元々あった「RX」のよさやバランスが少し崩れてしまったように感じます。
2022年の現行「RX」誕生時、チーフエンジニアだった大野貴明氏は「次の時代に向けた『新たな基準』をつくるつもりで開発しました」と語っていました。
「RX」はレクサスの販売を支えるモデルであり、多種多様なニーズに応える必要があることは重々承知していますが「基準がブレてはダメ」だと思います。
ただしレクサスは、「Always on」の精神で常に進化の手を止めないブランド。次の一手に期待したいところです。
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