Fiat Panda
フィアット パンダ
フィアット パンダ誕生から40周年。偉大なる小型車が歩んできた歴史を振り返る
イタル・デザインがコンセプト段階から参画
ルービックキューブが空前のヒットを巻き起こし、『スターウォーズ 帝国の逆襲』公開で劇場がパンク、ジョン・レノンがこの世を去り、日本の自動車生産台数が世界一になった1980年。第二次オイルショックの動揺が世界経済に不穏な影を落とすなか、一台の新型車が登場している。
フィアット・パンダ。イル・マエストロ、ジョルジェット・ジウジアーロが描いた潔いくらいにシンプルな輪郭に、簡素で丈夫で整備性に優れたメカニズムと広大な空間を詰め込んだ3ドアのハッチバックは、「La grande utilitaria(偉大なる小型車)」というキャッチコピーとともに誕生した。
開発段階で与えられたコードネームは「ゼロ」。ジウジアーロ率いるイタル・デザインがコンセプト立案より参画、全長3.38mのボクシーで合理的で広大かつ経済的な3ドアの傑作小型FWD車を生み出した。
ハンモックタイプのシートはウォッシャブル
フロントウインドウを含めて全周に平面ガラスを採用し、ボディはどこもかしこもひたすらフラット。そこに樹脂製バンパーをぐるっと巻きつけ、ちょっとした傷にもへこたれない耐久性を与えている。
室内は大人5人を余裕で飲み込み、パイプの上に布地を張ったハンモックタイプのシートは洗濯も可能。ひとつの箱の中にメーターパネルやエアコン、ライトのスイッチを整然と盛り付けたインストゥルメントパネル、円筒状のパッドにくくりつけた可動式の灰皿など、ユニークなプロダクトデザインも唯一無二のものだった。
4×4のオフロード仕様も誕生
最小限のコストで最大限のユーティリティと洒脱さを実現した初代パンダは、瞬く間にイタリアのベストセラーに。ベーシックカーのアイコンとして、現在もそこかしこを元気に駆け回っている。
心臓部に積んだ903ccの空力2気筒は500(チンクェチェント)用ユニットの改良型で30hpを発生。もうひとつ、45hpを発揮する903ccの4気筒は127の流用だった。
大ヒット作となったパンダには派生モデルも続々誕生している。オーストリアのシュタイア・プフ社と共同開発したオフロード仕様「4×4」。後席の代わりにバッテリーを搭載したEV仕様「Elettra」も存在した。
1986年にはマイナーチェンジを実施。リヤサスをリーフリジッドからトーションビームへ変更し、三角窓も廃止。以降、前期は「シリーズ1(セリエ1)」、後期が「シリーズ2(セリエ2)」と呼び分けられた初代パンダは、じつに2003年までの23年間にわたり生産され続けた。
「はたらくクルマ」としても広く活躍
2003年に登場した2代目パンダは、クラストップの広大なキャビンスペースを誇るトールタイプの5ドアハッチバックへ。このプラットフォームはのちに現行500や3代目ランチア イプシロン、2代目フォード Kaも共用している。54hpの1.1リッターと60hpの1.2リッターをラインナップし、5速MTに加えて後者にはシーケンシャルトランスミッション仕様も設定した。
電動パワステやフロントエアバック、電動フロントウインドウ、集中ドアロックなどの現代的機構や、スカイドームと名付けた大きなサンルーフなども用意。機能面を一気にモダナイズする一方で、シンプルで経済的な機構や軽量な構造、頑丈で堅牢な作りはそのまま受け継ぎ、個人所有はもちろん、警察や郵便局などのビジネスシーンでも幅広く活躍した。
ダカールラリーにも出場した4×4
2005年には初代で好評だった「4×4」が復活。その翌年には100hpの1.4リッターエンジンを押し込んだスポーティな「100HP」も登場している。
タフな4×4仕様は2代目にもラインナップされ、2007年にはダカールラリーにも出場。ミキ・ビアシオンとブルーノ・サビーが乗ったマシンは105hpの1.3リッター“マルチジェット”ディーゼルターボに6速MTを搭載、ビスカスカップリングやデフロックを備えた4輪駆動機構を採用していた。パンダの広大なキャビンはショベルやスペアタイヤ、クルー用飲料や専用機器の数々を悠々飲み込んだという。
パンダという名前がこのクルマに相応しい理由
現行パンダは2011年に誕生。ベーシックカーのひとつのカタチを作り上げたパンダは、守るべきものを知っていた。シルエットを優先しタイトで窮屈なキャビンのクルマが増える中、サイドウインドウをほぼ直角に立てたスタイル、広大なグラスエリア、ことさらに寝かさないAピラーを堅持。高い着座姿勢とあいまって、室内はすこぶる開放的で明るくストレスレスだった。
875ccの2気筒“ツインエア”ターボエンジンを2ペダルMTでパタパタ響かせつつ自然にロールするボディを運んでいくと、長年連れ添った相棒のようにパンダが身体に馴染んでいく感覚に見舞われる。「もっと速く走れ」と背中を押すのではなく、「まあのんびり行こうや」と肩を叩いてくれる。そんなクルマは現代に珍しい。
ところでパンダという車名は「Empanda」という女神に由来するらしい。彼女はローマ神話に登場する神で、遠方からやってきた旅行者へパンや食べ物を与えてもてなしたという。人々を温かく受け入れ慈しんだ女神の名は、たしかにこのクルマに相応しい。40年間で750万台。パンダはそれだけ多くのドライバーの相棒として、自由な移動を助け続けてきたのだから。
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みんなのコメント
ジュジャーロは、こういうデザインが一番向いているのでは?
天才的。こういう車が、今の時代にもあったらいいなあ。
デザインも機能性もとても魅了的なモデルでした。
釣りに行けばシートは前にスライドすると外せて、そのまま座って釣りができました。
リアシートはただのマットを2本の棒で取り付けただけで、取り付ける角度によってシートにもマットにもなり、簡単に取り外す事もできました。
かなり気に入っていたのでフロント&リアスポイラー、オーバーフェンダーサイドステップとフルエアロを装着し、ボディカラーをネイビーからガンメタに変更。
タイヤは145から175に換装してOZアルミもボディカラーに変更。
小さな装甲車のようでした。
900ccエンジンがなのに燃費が9km/Lと悪かったので車屋さんに聞いたら「タイヤを145から175にしたからで、ノーマルなら15km/L」と言われました。
又、マフラーをアバルト製に換装して「クォー」という凄く良い音になったのでいつも窓全開で聞いていました。