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世界が緋色に染まる日 フェラーリの祭典、フィナーリ・モンディアーリに潜入 圧倒的な規模感

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世界が緋色に染まる日 フェラーリの祭典、フィナーリ・モンディアーリに潜入 圧倒的な規模感

1年を締めくくる跳ね馬の祭典

フェラーリが毎年開催している「フィナーリ・モンディアーリ(Finali Mondiali)」は、同社の歴史を祝うとともに1年を締めくくる華やかなものだ。昨年11月にムジェロで開催された同祭典は、招待客のみの参加となったが、筆者はそのチケットを手に入れた。

【画像】フィナーリ・モンディアーリ【写真をすべて見る】 全19枚

小さな世界でぬくぬくと暮らしている一部の特権階級の遊び、という決めつけは正確ではない。フェラーリを買い、レースに参加する余裕のある人たちが、自分たちの世界で遊び、満喫しているのだ。フィナーリ・モンディアーリの驚くべき規模を見れば、そのことが実感できる。

トスカーナの静かな丘陵地帯にあるフェラーリ所有のムジェロ・サーキットで開催された今年の祭典を覗いてみると、筆者の常識を大きく越えた次元のモータースポーツであることがわかった。この祭典は、現存する最も有名な自動車メーカーに生命を与え続ける人々のための創造物である。彼ら顧客がいなければ、跳ね馬は何年も前に草に埋もれていたであろう。

フェラーリがムジェロのグリーンバンクとグランドスタンドを現実世界に住む人々に開放しなかったのは、新型コロナウィルスの影響が続いているからにほかならない。フィナーリ・モンディアーリは、いつも大混雑。しかし今回は、フェラーリの社員と富裕層、そしてフェラーリを所有しない人でも参加できるスクーデリア・フェラーリ・クラブのメンバーに限定されている。

それでも、マラネロの最高傑作が一堂に会するムジェロは期待、興奮、畏敬の念に満ちたさわやかな雰囲気に包まれている。緋色の靄の向こうに見える商業的な冷笑を否定するのは簡単だが、なぜかその瞬間に巻き込まれずにいられない。

世界中から駆けつけたフェラーリ・ファミリー

イコナ(Icona)シリーズの最新モデル、170万ポンド(約2億6000万円)のデイトナSP3が、フィレンツェではメディアに、ここムジェロでは購入希望者に公開された。599台の限定生産で、そのほとんどはフェラーリ神話にどっぷり浸かっている人々のコレクションになることだろう。その公開の翌日に、筆者はバスで到着した。

赤い巨大な建造物が、パドックに富裕層向けのテーマパークのような雰囲気を醸し出している。メインスタンドに向かうと、スタート/フィニッシュ地点とムジェロのバックセクションが一望できる。まずは、ワンメイクレースのフェラーリ・チャレンジを鑑賞する。

フェラーリ・チャレンジは、チームに投資でもしていなければ、普段から気にとめることはあまりないだろう。しかし、そのスケールの大きさには目を見張るものがある。欧州、北米、アジア太平洋、英国と地域ごとにシリーズが展開され、ここフィナーリ・モンディアーリでは、そのすべてが一堂に会する。

初日には、デンマークのミシェル・ガッティングが女性として初めて優勝するという、ちょっとした歴史的な出来事もあった。ちなみに、フィンランドのルカ・ヌルミは、トロフェオ・ピレリでフェラーリ最年少の「ワールドチャンピオン」となった。一方、エルンスト・キルヒマイヤーはコッパ・シェル・シリーズで、前日に獲得した欧州の王座に加えてワールドタイトルを手にし、ダブルタイトルを達成した。

レースは活気に満ちているが、ムジェロの昔ながらのグラベルに埋もれたドライバーのために、セーフティカーが何度も導入された。

取り戻しつつあるレースへの熱意

もっと興味深いのは、レース終了後に行われるフェラーリ・ショーの方だ。カルロス・サインツJr.とシャルル・ルクレールが初開催のカタールGPで7位入賞を果たした日には、F1におけるフェラーリの無気力感を無視することはできないだろう。

スクーデリア・フェラーリにとっては奇妙なシーズンだった。取材当時、スクーデリアは残り2戦を前に、コンストラクターズ・ランキングでマクラーレンを抑えて3位に返り咲いたのである。しかし、優勝の気配はなく、メルセデスAMGやレッドブル・ホンダとの差は歴然としており、特にルクレールは彼のポテンシャルをはるかに下回るマシンで無駄な走りを続けている。

F1では祝うべきことは何もないが、フェラーリはGT耐久レースとスポーツカーレースで記念すべき成功を収めることができた。ファクトリーチームのAFコルセは、ル・マン24時間レースと世界耐久選手権でGTE Pro/Amの両クラスを制覇し、ダブルタイトルを達成したのである。

また、GT3マシンで戦うGTワールド・チャレンジ・ヨーロッパでは、アレッサンドロ・ピエール・グイディ、ニクラス・ニールセン、コム・レドガーが優勝し、スパ24時間レースではフェラーリにとって2004年以来の優勝を飾ったほか、レッドブルカラーの488でDTMを戦った若きリアム・ローソンは、最終戦でタイトル争いから脱落したものの、際立ったスターとなった。

2023年にル・マン・ハイパーカーで耐久レースのトップクラスに復帰するマラネロは、モータースポーツへの強い愛着をしっかりと取り戻している。

AFコルセの表彰式 ジェームス・カラドも

英国のレーシング・ドライバー、ジェームス・カラドは2014年からAFコルセでレースをしており、今回のムジェロでは2度目のル・マン優勝とWECタイトル獲得にふさわしい賞賛を浴びていた。

2連戦となったバーレーンでは、ポルシェやFIAとの複雑で不透明なバランス・オブ・パフォーマンス(性能調整)論争、そしてタイトルを決定づけるチームメイトのピア・グイディと911 RSRに乗るミカエル・クリステンセンの接触があった。

こうしたごたごたを経て、AFコルセのタイトルが確定したのは最終戦の数日後だったため、ムジェロはカラドにとってチームとともに祝う最初の機会となった。パドックに特設された巨大ハンガーでの表彰式の翌日、彼に話を聞くと、少しばかり疲れているように見えた。

「グランドスタンドの前でショーをすると、いつも特別な気持ちになります」とカラドは言う。

「世界チャンピオンやル・マンの勝者としてここに来ることは、特別なことなのです。フェラーリに来て7年になりますが、僕にとっては第二の故郷のようなものです。488 GTEエボはいつも速いんですよ。多くのレースで勝利してきたし、フェラーリの一員であるというのは素晴らしいことだと思います」

伝説的なマシンの数々 夢の共演

ショーは、サン・バルナバの地元旗手たちを起用した中世風のページェント(野外劇)で始まり、その後、現代的なF1マシン3台が放たれる。ここがフィナリー・モンディアーリの一番の見どころで、グランプリを3度制したAFコルセのエース、ジャンカルロ・フィジケラやアンドレア・ベルトリーニ、オリビエ・ベレッタが運転する2017年のSF70Hと2009年のF60がムジェロに繰り出されるのだ。

フィジケラの駆るターボハイブリッドのF1マシンは、V8エンジン搭載のF60に追い回され、新型デイトナSP3は、1960年代の330 P4と412P(デザインのモチーフとなった2台)を率いて華麗に走破した。比較は不公平だが、この2台が一緒に走れば、比べられるのも仕方ないことだ。

GTの勝者たちがデモンストレーションラップを終えると、F1、GT、FXX、チャレンジの各マシンがムジェロのストレートに沿って奥まで丁寧に並べられ、写真撮影が行われた。その後、コースは顧客がFXXおよびコルセ・クリエンティ・プログラムで午後の残りの時間を思い思いに過ごす場所となった。

筆者はパドックに戻り、11月下旬の陽が傾く前に、跳ね馬の歓声が響くカタールGPを観戦した。

他の自動車メーカーがこのようなショーを行わないのは、これほどの伝統とバックカタログを持つメーカーが存在しないからである。たしかに、このような日を、甘やかされた一部の特権階級のためのけばけばしいパーティーとか、金儲け主義だと皮肉るのは簡単だ。

しかし、クルマを売ってお金を稼ぐというのは、自動車ビジネスにとってフェアな目標ではないだろうか。フェラーリに乗る人たちは別世界に住んでいるからと言って、彼らを恨むべきなのだろうか?

フェラーリの原点はクルマであり、新旧を問わず、堅苦しい現実世界も彼らの存在によって輝きを増している。今年10月のフィナーリ・モンディアーリはイモラで開催される予定で、一般客も迎えて万事順調である。秋の海外旅行を計画している?それならいい旅先がある。

F1コレクションが保存・展示される巨大格納庫

アワードの翌日、フェラーリの巨大な格納庫が解放され、これまで見たこともないようなF1コレクションの展示が始まった。これだけの台数が一堂に会すると、ただただ圧倒されるばかりだ。その中からお気に入りの1台を選ぶのは、一朝一夕にできることではない。いくつか抜粋して紹介しよう。

【1974年 312 B3】

マウロ・フォルギエリの代表作で、フェラーリを再燃させた傑作。ニキ・ラウダ初のF1ウイナー。クレイ・レガツォーニがマクラーレンのエマーソン・フィッティパルディに僅差でポイント2位となった。

【1979年 312 T4】

Tは横置きギアボックスのこと。フォルギエリのエポックメイキングなシリーズ最終モデルで、ジョディ・シェクターを王座に運んだが、ディジョンでルネ・アルヌーに挑んだジル・ヴィルヌーブは我々のハートを射止めた。

【1982年 126 C2】

ほろ苦い。ヴィルヌーブはレース中に死亡し、ディディエ・ピローニはホッケンハイムで脚を負傷してキャリアを終えたが、パトリック・タンベイが彼らの炎を守り続けた。

【1995年 412 T2】

ジョン・バーナード設計のマシンで、フェラーリ最後のV12エンジン搭載F1カー。こちらはゲルハルト・ベルガーのもの。ジャン・アレジはカナダで行われた唯一のグランプリで優勝し、V12エンジン搭載のF1最後の勝利となった。

【1996年 F310】

バーナードの醜いアヒルの子だが、ミハエル・シューマッハの最初のフェラーリとして重要な意味を持つ。雨のスペインGPでシューマッハがフェラーリ初優勝を飾ったほか、スパ・フランコルシャンやモンツァでも活躍した。

【2001年 F2002 & 2003年 F2003 GA】
シューマッハが3度目と4度目のフェラーリ・タイトルを獲得したローリー・バーンの傑作2台。F2002は17戦中15勝(11勝はシューマッハ、4勝はルーベンス・バリチェロ)という圧倒的な速さを誇った。

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  • コロナをコントロールし 鈴鹿復活で、無冠だが 旧すぎず(アナログ) 新し過ぎ無い(デジタル)
    643の デモランを、観たい
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