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北米新ブランドが純EV発売 ルーシッド・エアへ試乗 合計1111psに最長836km 後編

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北米新ブランドが純EV発売 ルーシッド・エアへ試乗 合計1111psに最長836km 後編

圧倒的な動力性能に心が動かされる

ルーシッド・エアのインテリアは、デザインの雰囲気や質感で、テスラ・モデルSを凌駕する。倍近い価格であることを考えれば、相応ともいえるが。

【画像】1111psの純EV ルーシッド・エア 競合するハイパフォーマンス純EVサルーンと比較 全98枚

フロントガラスは、ドライバー上部まで大きく伸びていて開放的。だが、見慣れたカタチのサンバイザーがガラスの中ほどに付いていて、せっかくの印象を濁らせていた。もう少し、違う処理ができたと思う。

量産初期となる試乗車の内装は、AピラーやBピラー部分のパネルにギャップが見られ、組み立て品質が充分とはいえないようだった。少なくとも、走行中に振動音はしなかったが。モデルSは、未だにカタカタと鳴ることがある。

円形のステアリングホイールを握り、エアを走らせてみる。印象は素晴らしい。息を呑むほどの、圧倒的な動力性能に心が動かされる。

メルセデス・ベンツの技術者はEQSのために、エンジンサウンドに代わる、電動パワートレインと関連付けたサウンドスケープを開発した。反面、ルーシッド社は駆動用モーター本来の音を聞かせることにしたという。

筆者としては、そのノイズが心地良くは思えなかった。60km/hと110km/h付近で、鳴き声のような回転音が響いてくる。同社の技術者は、パワートレインとドライバーとの結びつきを感じさせ、オーナーは気に入るだろうと話していたけれど。

また、常時強めに効く回生ブレーキにも、煩わしさを感じるかもしれない。ワンペダル・ドライブが可能で慣れると便利なのだが、効きの強さを調整できた方が良い。

基本的には好感触なステアリングとサス

乗り心地は悪くないものの、路面が荒れた区間を走らせると、Sクラスにまでは及ばないことがわかる。一方で、BMW M5に迫るようなスポーツサルーンというわけでもない。モデルS プレイドの方が、よりスポーティだといえる。

英国郊外のように緩くカーブが連続する、舗装の傷んだルートを運転してみたが、回頭性も活発とはいいにくい。サスペンションは少し緩めで、最もダンパーをハードな設定にしても、ペースを速めると起伏のバウンドでフロント下部を路面に擦る場面があった。

とはいえ、基本的にステアリングホイールの反応はシャープで正確。サスペンションの減衰力も、普通に走らせている限り好印象ではある。

ルーシッド社によれば、Sクラスとの差を縮めるような、エアサスペンションの開発を進めているという。標準では、スチールコイルが組まれている。

ドライビングモードにはスムーズ、スイフト、スプリントという3種類が用意されている。スムーズ・モードでは、最高出力が804psへ制限されるものの、まったく不足はない。加速力は鋭いままで、ステアリングホイールの操舵感は軽く、最も心地良い。

スプリント・モードを選択すると、1111psが開放される。しかし、ステアリングホイールの操舵感を個別に重く切り替えるような、インディビジュアル・モードは備わらない。

高速道路では、ワダチに車体が振られてしまう様子が目立った。ステアリングホイールの正確性は、もう少し高めたいところだ。

最初の3年は充電料金をルーシッドが負担

テスラといえば、半自律運転を思い浮かべる読者も多いと思う。しかしルーシッド社は、エアにその機能を与えていない様子。今後、Sクラスと同等のレベル3の自律運転システムが搭載されるかどうかも、明らかにはしていない。

車線変更時にボディの斜め後方を投影してくれる、ブラインドスポット・カメラが搭載されていたが、起動までが遅い様子。アップデートする余地はあるだろう。

ユーチューブでは、エアがドリフトしている様子が見られる。運転が楽しいとまではいえないし、サーキットが似合うクルマでもないが、野獣のようなパフォーマンスを秘めていることは間違いない。

充電能力は、300kWまで対応する急速充電器があれば、20分で約480kmぶんの電気を蓄えられるとのこと。さらに購入から最初の3年間は、充電料金をルーシッド社が負担するという。

さて、気になる部分も少なくないルーシッド・エアだが、全体の印象は決して悪くない。修正すべき点があることは事実ながら、納車までの数か月で最終的な改良が与えられる予定だという。

コネクティビティを利用し、無線でソフトウェアのバージョンアップにも対応している。それにより、航続距離や動力性能を一層伸ばすことも可能らしい。

安価なグレードでも航続距離は653km

現状では、エアは6段階のグレード展開が予定されており、最も安価なグレードでも最長653kmの航続距離がうたわれている。今回の試乗車の場合は、21インチのアルミホイールを履いていても、最長で725kmを走れるとのこと。

エア・ドリームエディション・レンジの場合、19インチ・ホイールで836kmに達する。これだけの航続距離があれば、多くのドライバーが不安感なく純EVへ乗り換えることを許すはず。

ルーシッド社は、時間こそ最高の贅沢品だと話す。その点でいえば、給油を短時間で終えられるメルセデス・ベンツSクラスなどの方が、メリットは多いことになる。

しかし多少の犠牲を払うことで、中毒性のある加速力と、見惚れるようなスタイリングを手中に収めることができる。エアの最終的な仕上がりへ、期待したいところだ。

ルーシッド・エア・ドリームエディション・パフォーマンス(北米仕様)のスペック

英国価格:約13万1000ポンド(約2187万円)
全長:4976mm
全幅:1939mm
全高:1410mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:2.5秒
航続距離:725-758km(EPA値)
電費:6.6-7.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2375kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
バッテリー:113kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:1111ps
最大トルク:141.4kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

1件
  • カタログスペックは立派。
    信用がないから、今後は有名メーカーにOEM提供した方が儲かるんじゃなかろうか?
    どーせ中身まで調べて乗る人は好きない。
    全てはブランドイメージ。^_^
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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