■SUVでもマツダが受賞! ついに性能差で欧州車に並ぶ
17年ぶりに復活したトヨタ「スープラ」が、ドイツでもっとも権威のある自動車アワード「ゴールデンステアリング賞」のスポーツカー部門を受賞しました。また、マツダの新型SUV「CX-30」もコンパクトSUV部門を受賞しました。
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欧州車を抑えて日本車が受賞した点においても快挙だといえるのですが、じつはスープラに関しては、トヨタブランドの歴史においても非常に感慨深いものだといいます。いったい、どういうことなのでしょうか。
ゴールデンステアリング賞はドイツの自動車メディア「Auto Bild(アウトビルト)」および「Bild am Sonntag(ビルト日曜版)」が1976年からおこなっているアワードで、授賞式にはドイツの自動車メーカーの社長が勢揃いするなど、世界中の自動車メーカーにとって非常に重要なイベントのひとつといわれています。
選考方法も独自で、読者による投票のほか、自動車評論家やレーシングドライバー、エンジニアテスト施設のスタッフなどで構成される審査員の評価にも基づいて選出されます。その評価は独自のルールがあるようで、厳しいテストや監査をおこない、さらにはカタログ数値の誤差なども含まれるそうです。
それらを踏まえてカテゴリーごとにもっとも優れたモデルを選出するのですが、今回のスープラはスポーツカー部門での受賞で、トヨタブランドとしてのゴールデンステアリング賞の受賞は2回目となります。1回目は1982年に受賞した、スープラとして2代目となるA60系「セリカスープラ」(日本名:セリカXX)でしたので、じつに37年ぶりとなります。
過去を振り返ると、日本車がゴールデンステアリング賞を獲得するケースは少なく、最近では三菱「コルト」(2004年)、レクサス「IS」(2006年)、マツダ「デミオ」(2014年)などが存在します。また、それがスポーツカー部門となるとハードルはもの凄く高いと聞きます。
ちなみにスポーツカー部門の2位はポルシェ「911(992型)」、3位はBMW「M850i xDrive」と名門スポーツカーブランドを抑えてスープラが受賞したことは、トヨタにとっても非常に大きな価値だと思います。
なお、スープラはBMW「Z4」と兄弟車ですが、ドイツのアワードでZ4ではなくスープラが受賞したことにも大きな意味があります。
スープラはBMWとの協業により開発されていますが、口の悪い人のなかには「BMWに開発を丸投げ」、「トヨタは独自でスポーツカーが作れない」などという人もいます。
しかし、開発チームはZ4とは独立しており、共通しているのはハードだけでデザインや走りの味付けはトヨタ独自のものです。
つまり、今回の受賞はトヨタが進める「もっといいクルマづくり」、「トヨタの味つくり」が評価されたといってもいいかもしれません。
スープラの開発責任者を務める多田哲哉氏は、次のようにコメントしています。
「ドイツ・トヨタのメンバーは狂喜乱舞しています。911と最後まで争ったと聞きましたが、ワルター・ロールさん(ドイツの有名なレジェンドドライバー。ポルシェのテストドライバーとしても有名)が強く推してくれたそうです。
トヨタとしては2回目の受賞ですが、1982年に受賞した1回目もスープラ(セリカスープラ)だったので非常に感慨深いですね。この賞は日本ではあまり知られていませんが、我々にとって非常に大きな価値のひとつです」
■マツダはコンパクトSUV部門で受賞! 高評価の理由は?
一方、マツダCX-30はコンパクトSUV部門での受賞です。マツダとしては、1985/1989年の「マツダ323(日本名:ファミリア)」、1992年の「マツダ626(日本名:カペラ)」、2014年の「マツダ2」に続く5回目となります。
現在、世界的にクロスオーバーSUV人気ですが、その中でも最も激戦区と呼ばれるコンパクトSUVジャンルのノミネート車が多く、そのなかでの受賞は、非常に意味があります。
受賞式に参加したマツダの青山裕太常務執行役員は「デザイン、技術、そして人馬一体感に注力するマツダのクルマづくりを評価いただきました」と語っています。
それだけでなく、今回の「ゴールデンステアリング賞」の他の部門においても、マツダは高い評価を受けました。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良さを兼ね備えた夢の扉を開くエンジン「スカイアクティブX」はイノベーション部門のトップ3、マツダが次世代商品第一弾と位置づける「マツダ3」はコンパクトカー部門のトップ3に選出されるなど、欧州でのマツダの評価の高さを証明しています。
少し前まで、「日本車は欧州車に追いつけない、いやむしろ引き離されている」といわれることもありましたが、筆者(山本シンヤ)は最近登場した日本車に乗ると「欧州車とガチで比較できるよね」といったモデルが増えていることを実感しています。
今回の受賞はそれを証明したといえるのではないでしょうか。
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