この記事をまとめると
■初代NSXはバブル経済や当時のホンダF1の圧倒的強さから大ヒットした
日本のホンダファン軽視が原因? 「2代目NSX」が初代のような「伝説の名車」になれず短命に終わったワケ
■2代目NSXのスペックは頭抜けていたがホンダらしさに欠けヒットしなかった
■中古相場は高値を維持しておりしばらく時間が経てば再評価されるかもしれない
2代目NSXはなぜパッとしないのか
NSXといえば、ホンダ初の市販量産スーパースポーツカー。初代モデルが登場したのは1990年のことで、当時の新車価格は800万3000円(5速MT)から。アルミ製モノコックボディや、自然吸気ながら自主規制値いっぱいの最高出力280馬力を発生したC30AエンジンなどNSXの「見どころ」はいっぱいあったけれど、なんといっても当時はホンダがF1で最強エンジンの名を欲しいままにしていた時代。モータースポーツイメージも強烈な追い風となって、初代NSXは世界中でオーダーが殺到した。
あまりにもオーダーが集中したため、販売当初は納車まで3年待ちとも4年待ちともいわれたNSXだったが、ほどなくして日本国内ではバブル景気が終焉。そのため年を重ねるごとに販売台数も減少しており、日本国内における新車販売台数のほとんどは、1990~1992年式の初期型に集中している。
それでもNSXは幾度ものマイナーチェンジを経て販売が続けられ、2005年まで販売された。約15年という販売期間は非常に長く思えるけれど、ほぼ折り返しにあたる1997年にはMT車のエンジンが3.2リッターのC32Bへと換装されたほか、2001年には全モデルが固定式ヘッドライトへ変更されるなど、ときにはフルモデルチェンジに匹敵する改良を重ね、そのモデルライフにおいてNSXは常に進化を続けた。
また初代NSXには、標準モデルだけでなく、脱着式タルガトップを備えたタイプT、スポーティモデルのタイプSおよびタイプSゼロ、そして運動性能を徹底的に磨き上げたNSX-Rなど、バリエーションモデルが豊富に存在したことも特徴だった。ただしモデルライフの中期以降、標準モデルを除いてすべて1000万円を超えていた高額車両だけに、いずれも販売台数は極少数に留まっている。
2025年現在、初代NSXの中古車価格は上昇の一途で、当時の新車価格よりも高いのは当たり前。標準モデルの5速MT車で約1200万円から、AT車が約800万円からというのがボトムラインといえそうだ。ただ3.2リッターエンジンを搭載したNA2型の6速MT車になると、3000万円を超える車両も見られるなど相場はグッと跳ね上がり、スポーティグレードのタイプSやNSX-Rに至っては販売車両がほぼ存在せず、あっても店頭表示価格はASK(応談)となっていることが多い。実際のところはNA1型NSX-Rで1億円前後、後期のNA2型NSX-Rであれば1億円台半ばを超える価格で取り引きされているのが実情のようだ。
初代NSXは後継モデルが発表されることなく2005年に販売を終了したが、約10年のインターバルを経て2016年に第二世代のNC1型NSXが発売された。初代と同じくミッドシップ・レイアウトを採用するスーパースポーツだが、環境重視の時代にあわせて、前後に計3つのモーターを組み合わせるハイブリッドで、駆動方式もSH-AWDと呼ばれる全輪駆動、またトランスミッションはDCTのみとされた。2019年モデルにてマイナーチェンジが行われ、2021年には「NSXタイプS」へと進化を遂げたが、2022年秋には生産を終了している。
約15年に渡って販売され、生産終了から約20年を経た現在も「名車」との評価が高く、中古車市場価格も爆騰中の初代NSXに比べると、第2世代NSXはやや地味というか、NSXという車名を受け継いでメーカーの持つ技術がフル投入されたフラッグシップスポーツにふさわしい評価は得られていない……というのが一般的な印象ではないだろうか。
その違いを生んでいる要因について、「初代NSXにあったもの」と「第2世代NSXにはなかったもの」という側面から考えてみる。まず2台のNSXの発表時期には約25年もの隔たりがあるため、メカニズム的な共通項はまったくないといっていい。共通項は、エンジンを車体の中央に搭載するミッドシップ・レイアウトを採用していること、そして2シーターであることくらいだ。
初代NSXを語るうえで欠かせないのは、「ホンダ初の量産スーパースポーツカーを作るんだ」という開発陣の気概だろう。初期段階では4気筒エンジンの搭載を想定していたことは広く知られているが、その時点ではスーパースポーツというよりも、究極の「ハンドリングカー」を目指して車両開発がなされていた。
その後、バブル景気やF1を筆頭とするホンダ=モータースポーツの常勝イメージのあと押しや、メインマーケットに想定していた北米市場からの要望も絡まったことで、エンジンは3リッターV型6気筒へと変更、そしてインテグラやシビックに搭載されていたVTEC機構も搭載されるなど、スーパースポーツへと「格上げ」。結果、ポルシェ911やフェラーリ328と同等以上の運動性能、優れた操縦安定性、および新世代のスポーツカーにふさわしい高い信頼性や快適性をも兼ね備えたモデルとして初代NSXが誕生した。
1990年の発売当時、スポーツカーといえば「運転が難しく、繊細な操作やメンテナンスが要求されるもの」であったため、5速MT車だけでなくパワーステアリングを標準装備した4速AT車も設定された初代NSXには「ストイックさが足りない」や「スポーツカーらしい緊張感に乏しい」という評判もあったけれど、デイリーユースを可能とした多様性はその後のスーパースポーツでは常識となった。この点において、初代NSXはスポーツカーの歴史において革命を起こした存在といえる。
いっぽう2代目NSXのルーツとなる「NSXコンセプト」が登場したのは、2012年のこと。ミシガン州デトロイトにて行われた、北米国際自動車ショーにおいて世界初披露された。ホンダはそれまでにも「HSC」や「HSV-010」といったスーパースポーツを開発しコンセプトモデルを発表していたが、いずれも公式にNSX後継を名乗ったことはなく、それだけにこのモデルには大きな期待が寄せられた。
このNSXコンセプトを世界初公開する場所として、ミシガン州デトロイトが選ばれたことにはもちろん理由があった。2代目NSXはメインマーケットを北米市場と想定していることは初代と同じだが、車両の開発や生産もアメリカ国内で行うことが併せて発表された。
NSXコンセプトが初披露された瞬間は筆者も現地で取材していたが、当時の伊東孝紳社長が2代目NSXの開発や生産をアメリカ国内で行うことを発表した瞬間、現地のテレビや新聞記者からも大きな拍手と歓声が起こったことを覚えている。ホンダのフラッグシップであるNSXの車名を冠したクルマがアメリカに軸足を置いて開発され、生産を行うということは、それほど現地の人々にとっても誇らしいことであるのだと感じた。
敗因はホンダらしくなかったことにあり
そんな2代目NSXは、コンセプトモデルから市販化までは幾度もの紆余曲折を繰り返した。当初は初代と同じくV型6気筒を横置きで搭載するレイアウトを検討していたが、のちにエンジンは縦置き搭載へ変更されツインターボ化。また左右の前輪にひとつずつ、さらにミッドシップマウントされたエンジンにもひとつと、車両全体で計3つのモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを採用。駆動方式は前後左右の駆動力を電子制御により自在に振り分けるSH-AWDで、トランスミッションはデュアルクラッチ式のみとなり、MTは設定されなかった。
ホンダのもてる新世代技術を、すべて詰め込んだ見本市のようなクルマとなった2代目NSXは、世界中の自動車メーカーが環境問題への対応を迫られるなか、新世代スーパースポーツとして目指すべき姿を提示した。いっぽうで誰にでもスーパースポーツの世界を楽しめるという敷居の低さ、デイリーユースからサーキット走行までを可能にする多様性、高い信頼性といった特徴は初代NSXから受け継いだ点といえる。
低速域や近距離ではCO2を発生させるエンジンの力を頼ることなく、モーターだけで走行することも可能な先進性や優れた燃費は、ともすれば社会悪と見られがちなスーパースポーツに新しい価値を示したが、そんな崇高な志や優れたメカニズムを満載した代償として、新型NSXの車両価格は上昇した。北米市場では15万6000ドルから20万5700ドルで、初代NSXと比較して2倍以上。2017年からは日本市場でもデリバリーが開始され、車両価格は2370万円とされた。
その後、2019年5月にマイナーチェンジを実施し、2021年にはNSXタイプSを発表。車名からするとバリエーション追加のように思えるが、代わりに標準モデルがラインアップから姿を消すという事実上のビッグマイナーチェンジで、NSXタイプSは専用形状の前後バンパーをはじめ、エクステリアはほぼ刷新された。エンジン本体やタービン、冷却系など補機類のほとんどに手が加えられたことにより、システム最高出力610馬力(従来は581馬力)、システム最大トルク667Nm(同646Nm)まで出力を向上。しかしNSXタイプSは世界全体で350台の限定生産に留まり、そのうち日本市場への導入は30台のみとされた。
2代目NSXの日本国内における登録台数は、2017年~2020年の4年間で464台。2021年モデルはNSXタイプSの30台のみであり、これ以外に「販売はされたものの登録されていない」というコレクターの所有車両を加えたとしても、500台前後というところ。約15年間にわたって販売された初代NSXと比べると、その違いは明らかだ。
第2世代NSXが短命に終わった最大の理由は、やはり車両価格にあるだろう。前述のように最新技術を詰め込んだ反面、約2400万円からという価格はあまりにも高すぎた。F1で最強の名を欲しいままにしたホンダは、軽自動車やミニバンを開発・販売している大衆車メーカー。いわば「私たちのホンダ」が圧倒したから多くの支持を集めたのであって、富裕層のみを顧客とするような価格設定はホンダらしくないと判断されてしまった。
また初代NSXを伝説的な存在へと押し上げた、NSX-Rのようなストイックモデルが設定されなかったことも、2代目NSXはリアルスポーツよりも快適性を重視したグランドツアラー色の強いモデルであり、ホンダらしさに欠けると評される要因となったように思える。
しかし中古車市場を見てみると、第2世代NSXはその稀少性もあって高い人気を誇っている。2017年の初期モデルであっても2500万円前後からと、ほぼすべての車両が新車価格を超えるプライスボードを掲げている。駆動制御などに変更を受け、走りが大きく進化した2019年モデルは売りに出るケースが少ないが、こちらは4000万円前後が相場という印象。最終進化系であるタイプSについては、そもそも30台しか日本国内には発売されていないため、いまだ中古車市場では姿を見かけることがほぼない。
思えば、初代NSXもその評価が高まったのは、生産終了後しばらくが経過してのことだった。ハイブリッドシステムを搭載した新世代スーパースポーツである2代目NSXは、その先進性が正しく評価されるにはもうしばらくの時間が必要なのかもしれない。
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