株式会社トムスは、自社で企画・開発した競技用EVレーシングカート『TOMʼS EVK22』を7月末にオートパラダイス御殿場サーキットでお披露目。鈴木亜久里、山本左近、井出有治の元F1ドライバー3人に加え、全日本カート選手権の現役ドライバーである朝日ターボによる走行が行なわれた。
この『TOMʼS EVK22』の開発は、トムスの「カーボンニュートラルの時代に向けたモータースポーツの新たな世界観を提案するプロジェクトの第1弾」として行なわれたといい、全日本カート選手権に2022年から新設されたEV部門の競技車両向けに開発された。また、今後も様々な車両を展開していくとしている。
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『TOMʼS EVK22』は最先端のパワーユニットを搭載しており、最高速度は120km/h、0-100m加速は4.0秒。バッテリーも着脱式となっているため、バッテリーを交換しながら長時間の走行も可能となっている。この競技用車両は9月に正式発売されるほか、大人用レンタルカート、子供用ジュニアカート、ふたり乗り用タンデムカートの3種類を、全てEV仕様として年内に発売する予定があるという。
ひと足先にこの競技用EVカートを体験したドライバーたちは、EVカートの持つ可能性を十二分に感じた様子。鈴木、山本、井出の3人はそれぞれ次のようにコメントした。
鈴木亜久里
「EVカートが未来のさきがけだというのを実感しました。レーシングスーツを着てカートに乗るのは10年ぶりくらいだったのですが、乗ってみて完成度の高さに驚きました。エンジンカートと比べて、重量によりフレームやタイヤが負けてしまうのは感じましたが、システムに違和感がなく、アクセルを踏んだ瞬間のパワーはエンジンカートよりも乗りやすかったです。上手い方も初心者の方も楽しめるのではないかと思います。EVはエンジンと違いメンテンナンスフリーということも大きなポイントですし、音がないという特性を活かして大型スーパーでの走行もできるので、モータースポーツが普及していく可能性を感じました」
「この先EVはもっと進化するでしょうし、これからの時代はモータースポーツもこういう時代になるというのを感じ、良い経験ができました」
山本左近
「今年は全日本カート選手権の名誉大会長として若い人たちのレースを応援している立場でもあり、自分自身が本格的なカートコースでカートに乗るのは1年半ぶりで久しぶりでした。今回EVカートに乗せてもらって『ずっと乗っていたい』と思えるほど面白いと感じました。重量による左右のロールやブレーキの仕方の違いだったり、EVカートの限界はどこまであるのかを知りたいという好奇心がくすぐられました。自動車では当たり前になっているEVがカートになるとこういう形になるということを体験でき、改めてEVカートの未来が楽しみです」
「私はモータースポーツがより多くの人に身近なものだということを知ってもらうため、将来的に市街地レースができるように国会議員として活動しており、EVカートの特性は最適だと考えています。小さい頃から自分の夢に向かって走って、育ててもらった恩を返せるように、今の立場でできる私の役割の中で今後もモータースポーツを盛り上げていきたいと思います」
井出有治
「今回、TOM’S製のEVカートをドライブさせて頂きすぐに思ったことはシンプルに、“これでレースをしたら楽しそう!“でした。EVカートと聞くと、どうしても運動性能的にコントロールすることが難しいというイメージでしたが、コースインをしてアクセルを踏み込むとトルクフルで非常にスムーズな加速が印象的でした。コーナーを攻めていくとやはりバッテリーの”重量“を感じるけど、フレーム剛性や重量配分等を最適化することでより高いレベルで走れるようになると思います。スロットル操作に関してもトルク感があるのにコントロール性も悪くないからコーナー出口でアクセルを踏み込んで攻めるのが楽しかったです」
「EVカートであれば様々な場所で広く普及していく可能性もより広がることでしょう。自分は以前から『キッズカート教室』を開催しているのですが、小さな子供たちが初めてカートに乗る時に“音”と“振動”で怖がられてしまい、走ってもらうことができない場合もあるのですが、EVカートであれば安心して乗ってもらえるのが嬉しいですね! これなら多くの方達にモータースポーツに触れてもらえる機会が増えるので、この世界の人間としては嬉しく思います! 新しい時代が始まることを実感する良い機会に立ち会えたことに感謝です。今後のEVカートの普及に大きく期待しています」
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