今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「トヨタ ブレビス」だ。
トヨタ ブレビス(2001年)
メルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズを視野に置いたトヨタのプレミアムカー構想から生まれたプログレが誕生したのが1998年。それから3年、第2弾として登場したブレビスは、「アクティブエレガンス」のコンセプトを明確に表現することで、一層の商品力アップを図る戦略で勝負をかけてきた。
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具体的には、スタイリッシュなボディ、パワフルなエンジン、トップレベルの静粛性と乗り心地、そしてゴージャスな雰囲気をプラスするという、これ以上ない強力な布陣といえるだろう。
マークIIよりひとまわり小さいサイズながら、ブレビスのスタイルは存在感のあるものだ。ボンネット先端のライオンマークも高級感を訴求する効果的なアイテムとなっている。ドアを開けると、本革やウッドパネルがふんだんに使われたインテリアが目を引く。セルシオに匹敵する造り込みで、トヨタが目指した「小さな高級車」にふさわしいものとなっている。
運転席はもちろん電動アジャストで、上級グレードではイグニッションをONにするとメモリーされた位置に自動的にセットされるという優れもの。しかもシートだけではなく、ステアリングはチルト&テレスコピック調整でき、ペダルも前後調整が可能(世界初)なので、体格に関係なく誰でもベストのドライビングポジションを取ることができる。
走り出して感じるのは、静粛性の高さと乗り心地の良さだ。搭載される直6エンジンは直噴なのだが、直噴独特のノイジーな感じは払拭されている。加速時の排気音をドライバーへのインフォメーションと考えれば、むしろ小気味良くさえ感じられるだろう。
今回は3Lと2.5Lの両方に試乗したが、3Lは大排気量らしくトルクの余裕を感じさせる。停止状態からアクセルペダルを軽く踏み込んだだけでスッと前に出て行く感じがいい。これに対して2.5Lはどちらかといえば高回転指向で、吹け上がりの良さを活かして加速していくという印象だ。
ハンドリングも、3Lは割りとおっとりとした感覚で、コーナーを攻めるような走りではなく高いスタビリティを活かしたクルージングが似合う。25Lは思いのほかスポーティなので、ロールは深いもののコーナーを攻めても不安感なく楽しく、水準以上の操縦安定性を示してくれる。
いずれも乗り心地はソフトだが、フワフワした感じでなはなく、しっとりと落ち着いている。荒れた路面でも衝撃をうまく吸収して、高級車にふさわしい乗り心地はしっかりと演出されている。
高級車であればこそ、走りにも上質感が要求される。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間に感じる加速、音、振動が乗員にどう伝わるかまでを徹底的に煮詰めて、ブレビスは造り込まれたという。走りと、乗り心地と、装備と、質感と、4拍子揃った小さな高級車、ブレビス。サイズにとらわれず高級を目指したトヨタの心意気がヒシヒシと伝わってくるようだった。
■トヨタ ブレビス Ai250 主要諸元
全長×全幅×全高:4550×1720×1460mm
ホイールベース:2780mm
車重:1520kg
エンジン形式:直6・4バルブDOHC・FR
排気量:2491cc
最高出力:147kw(200ps)/6000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/3800rpm
ミッション:4速AT
タイヤ:205/55R16
当時の価格:337万円
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