圧倒的なパフォーマンス。だがサーキットは目指していない
スープラ2.5GTツインターボRは、スカイラインGT-Rの強力なライバルとして適当なスペックを備えている。
まずエンジンだ。トヨタの新世代ツインカム24Vのストレートシックスは2.5リッターのツインターボで、280㎰/6200rpmの最高出力と、37.0kgm/4800rpmの最大トルクを発揮する。このスペックは、わずかながらR32型GT-Rを上回る。
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だが280㎰パワーに組み合わせるウェイトは1530kgとかなり重い。ボディが大きいということはわかっているが、スパイシーモデルのシンボルである“R”としては重すぎる。
「R」のネーミングにふさわしい走りを与えようと考えたのなら、もっと真剣に軽量化に取り組むべきだろう。そうしなければ、本質的に優れた走りを望むのは不可能だからだ。トヨタは当然気がついているだろうし、クルマをよく知るユーザーなら、このウェイトを見ただけでRの意味するものが、スカイラインGT-Rのそれとは違った意味合いを持っていると感じるに違いない。
スープラのRは、どこもかしこもハイスペックでカバーはしている。だが、真の意味で、サーキットを駆けるサラブレッドとしてRの性能を追いかけてはない。パワフルで魅力的な装備がそろった、いわばストリートファイターのためのクルマといっていい。このあたりには、デビューからの時間の経過、基本設計の古さが見え隠れする。
エンジンをかけてスタートしてみよう。ハイパワーエンジンだが、いわゆるドッカンパワーではない。1500rpmあたりからトルクは実用ゾーンに入り、2000rpmになるとすでに活発さが出てくる。街を流すようなときでも、とくに運転に気を使うことはない。
「さすがにパワーがある」と実感するのは3500rpmを超えてからだ。そして4500rpmに達すると「最高!」というゾーンに入る。ここから上の回転をキープすれば、スープラRは文句なく速い。そう、真っ直ぐな道をフルにターボのブーストを上げて走っていれば、間違いなくゴキゲンなクルマである。
シグナルGPでも、うまくスタートすればめったな相手には負けない。が、うっかり気合いが入りすぎると、ワイドなブリヂストンRE71(225/50R16サイズ)をもってしても、簡単にホイールスピンが始まる。タイヤから煙を吹き出すばかりで、クルマは少しも前に進まない、といった始末になるから要注意だ。もっとも、これも人目をひくには実に効果的なパフォーマンスになるが……。
ツインターボエンジンは、パワー的にはさすがといえる実力を持っている。これで高回転域、とくに6500rpm以上のフィールが改善されれば最高だ。現状では滑らかさも、音質的にも高性能エンジンとしての洗練に少し欠けている。
4輪ダブルウィッシュボーン式の足回りにはビルシュタイン製のダンパーが組み込まれているし、応答性に優れたトルセン式LSDもセットされている。そして、すでに触れたようにタイヤは225/50R16のブリヂストンRE71を履いている。ホイールは7JJだ。ドライバーをしっかりサポートする役目はレカロのシートが受け持っている。
やや固めのセッティングの足は、なかなかエキサイティングな走りを演出する。基本的にはリアをしっかり押さえたスタビリティ方向のセッティングだが、これは正解だ。タックインはよく封じ込めてあるし、旋回ブレーキでの姿勢の乱れにも問題はない。高速でのヨーダンピングにもOKサインが出せる。
しかし、リアがしっかりしているとはいえ、強力なパワー/トルクをフルに後輪に送り込むとさすがにテールはアウトに流れ出す。とくに、2速で攻めるようなタイトターンでは基本的に強めのアンダーステア傾向を示す。だが意図的にテールの流れを誘うのは簡単だ。ある程度腕に覚えのあるドライバーなら、小さく鋭く回り込む走りにトライするだろう。トルセン式LSDの応答はいいし。トラクションレベルも悪くないから、滑りのコントロールはしやすい。タイトターンでテールを滑らせるのは、楽しいトライだと表現できる。
高速コーナーとなると、簡単にOKサインは出せない。高速コーナーでは、迂闊にテールを逃して……というわけにはいかないからだ。そのぶん、前輪の仕事はハードになる。だが、そうすると明らかに前輪は後輪に負けてしまう。このあたりは多くの国産高性能車に共通していることとはいえ、よりレベルアップを望みたい。
スープラのプライスタグはとても魅力的だ。ストリートファイターとしての実力も高い。だがトヨタを代表するスポーツ車であれば、もう少し高い志を封じ込めてもらいたいところである。
※CD誌/1992年1月26日号掲載
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みんなのコメント
もう勘弁してよって感じ(笑)