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長期テスト スズキ・イグニス(1) 小さなボディに詰まる魅力を評価

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長期テスト スズキ・イグニス(1) 小さなボディに詰まる魅力を評価

もくじ

ー 突飛な超小型クロスオーバー
ー 室内環境や装備は?
ー 気になるイグニスの装備面
ー テスト車について
ー 追加した装備一覧
ー テストの記録

「さらば、ジムニー」 レンジローバーとオフロード対決

突飛な超小型クロスオーバー

スズキはこのところ、名前をつけるのに難儀しているようだ。去年はバレーノの名を使っていたが、次は過去の遺産から「イグニス」の名を引っ張り出し、スーパーミニSUVの名となった。

ネーミング部門が頭を振り絞っている一方、デザイナーはインスピレーションに溢れているようだ。

新型イグニスはフォードフィエスタよりも全長が短いが、スズキのトップ・デザイナーたちはタフでキュート、4×4感あふれるボディを作り出し、このクラスのクルマとは少し違ったルックスに仕上げた。

わたし個人としては長靴を履いたパグ犬をイメージしてしまう。

過去へのオマージュも感じられる。斜め上へと跳ね上がっていくウインドウラインや、Cピラーに斜めに入った3本のベントは1970年台半ばのスズキ・ウィズキッド・クーペ(日本名セルボ)を思い出す。しかし、内部はもう少しハイテクだ。

われわれの長期テスト車はトップグレードのSZ5である。1.2ℓ4気筒エンジンにSHVS(スマートハイブリッド・ビークル・バイ・スズキ)と呼ばれるハイブリッドシステムを搭載している。トヨタプリウスレクサスNX300hのシステムと似ているが、SHVSはキャビンスペースを圧迫するような大きなバッテリーを持たない。

代わりに助手席下に小さなリチウムイオンバッテリーを積んでいる。エンジンスターターと発電機を兼ねており、べルトを介してエンジンとつながっている。

これのみで走るには力不足だが、低い回転数でトルクが不足するガソリンエンジンにとって、プラス5.1kg-mは有用だ。SHVHはエネルギー回生を行うため、エンジンがギアと繋がっていれば、スロットルオフ時にバッテリーが充電される。

ではなぜEVモードを搭載していないのに、このようなシステムを持っているのだろうか? かんたんに考えれば、1.2ℓの小排気量エンジンをもっと大きく感じさせるためだ。

誰もが交差点のスタートで出遅れたくはないが、燃費も気になる。このシステムがあれば低い回転数で燃料消費を抑えることができる。今までのところ、特に意識しなくとも19.1km/ℓは出ている。

嬉しいことに、このエンジンは高回転まで回しても楽しい。 ターボ車が増え、4500rpmから一定のパワーが得られるが5500回転には息絶えてしまうクルマが多い中、回せば回すほどパワーが出てくるというのは素晴らしいことだ。荒々しいエンジンサウンドを好まない人もいるかもしれないが、わたしは好きだ。

イグニスの突飛さはまだまだ続く。

オフロードを完全無視ではない

最近のオフローダー風のクロスオーバー(ルノーキャプチャープジョー2008、ヴォクゾール・クロスランドXなど)と違って、イグニスは4輪駆動である。極めて一般的なトルク・センシンシング・システムで、前輪のスリップを感知すると、リアルタイムでリアにトルクを分配する。スズキはこれを「オールグリップ」と呼んでいる。

同価格帯のダチア・ダスターと異なりイグニスには4輪駆動に固定するモードはないが、ちょっとしたオフロードでは問題ないだろう。われわれが踏み固められた道から遠く離れて冒険に行くことなどあるまい。

オーバーハングは短くアプローチ・デパーチャーアングルを確保しているが、舗装路向けのタイヤと最低地上高の低さのため、ランドローバーディフェンダーの廉価版とはいかない。

当然、多くのAUTOCAR読者のように、かなりのクルマ経験を積んだひとにとってはこれらの技術はとても興味深いだろうが、典型的なイグニスのオーナーはインテリアなど、日々目につく部分に興味を示すだろう。

気になるイグニスの装備面

SZ5グレードでは、豊富な装備が標準で付いてくる。実際われわれが追加でつけたオプションは「ファーベント・レッド・ペイント/ブラックルーフ」の650ポンド(9万7000円)のみだ。これで駐車場でクルマを見つけるのが多少かんたんになったはずだ。

では、オプションを含め1万4899ポンド(222万4000円)のクルマの他の装備も見ていこう。まずはタッチスクリーン・インフォテインメント・システム。ブルートゥース、Apple CarPlay、Android Autoに衛星ナビゲーションシステムまで利用でき、リアビューカメラも装備している。

フロントにもカメラが2基ついており、自動ブレーキシステムのために使われる。LEDヘッドライトはオートレベリング機能付きだ。他にもオートエアコンや電動パワーウインドウ、キーレスエントリーもある。

それでも満足できなければ、大型SUVのような個別にスライド・リクライニングができるリアシートも用意されている。一番後ろまで下げれば後部座席に巨大なレッグルームが現れる。天井も高く、大人でも頭を擦らずに済む。

イグニスは乗っても魅力的なクルマに仕上がっている。絶対的な速さには欠けるが活発で刺激的、エンスーなクルマだ。レブリミットまで回しても燃費は良い。

コーナーでも楽しめる。われわれのイグニスは最上級グレードだが、それでも重量は920kgに収まる。少々車高は高いが、くるくると向きをかえる。グリップも良く、アンダーステアまでにかなり粘る。

スロットオフでコーナーに進入すれば、リアからかすかに曲がっていくのがわかる。全くスポーティには見えないが、良い意味で印象を裏切る楽しいクルマだ。

今のところ全ての点で有望に思えるが、率直な結論を下すのは2月だ。まだまだ時間はある。テストチーム全員に乗ってもらい、感想を聞くのが楽しみだ。

テスト車について

モデル名:スズキ・イグニス
新車価格:1万4249ポンド(213万円)
テスト車の価格:1万4899ポンド(222万円)

追加した装備一覧

■レッド・ペイント/ブラック・ルーフ 650ポンド(9万7000円)


テストの記録

平均燃費:19.3km/ℓ
故障:無し
支出:無し
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