BMW M観はどこにあるのか?
強力なモーターのアシストも受けつつ達成した最高出力は727ps。そのパワーを4輪に伝えつつ、2.4トンのボディを引っ張る! その印象を踏まえ、筆者は2月に公開した新型BMW M5の試乗記で『BMW Mモデルとしての体裁は保てている』と書いた。
【画像】新型BMW M5に繋がる、BMW Mヒストリーを振り返り! 全129枚
加速性能に対する制動力が十分であったように、動力的な辻褄は合っていた。それでもなお、多くのファンが期待していたようなモデルなのか? という疑問は残る。それはもちろん、各々の『BMW M観』次第なのだが。
では、BMW M観とはどのようなものか?
それを理解するには歴史を遡る必要があるだろう。Mとはもちろんモータースポーツの頭文字である。1972年に『BMWモータースポーツ』として誕生したこの会社は、純粋なモータースポーツ部門だった。
そんな会社が初の市販モデルであるM1を産み落としたのは誕生から7年後のこと。ここで会社の形態に最初の変化が訪れているのだ。
だが多くのファンが想像するBMW Mモデルといえば、3シリーズがベースのM3だろう。1985年に発表されたホモロゲーションモデルは作り手の思惑以上の成果を上げている。
ツーリングカーレースの世界を席巻し、市販車も『カッコイイ箱車』のイメージを究極まで高めたものとして評価されているのだ。世代的に、直列6気筒を搭載するE36型にとどめを刺すという人もいるだろう。ともあれファンが想像するBMW Mの理想形が初期のM3にあるのではないだろうか。
競技から高性能へ、時代に沿った変化
E36型のM3のデビューとほぼ同じタイミングで、BMWモータースポーツは純粋なレース部門に戻り、新たに暖簾分けされた『BMW M』がスポーツモデルの生産を担うことになる。
実際この頃になると、レギュレーションの関係で市販車とレースカーの内容が乖離していった。その顕著な例が、市販車とは全く関係がない各社共通のパイプフレーム構造のシャシーを用いた、2000年以降のドイツツーリングカー選手権(DTM)だろう。
モータースポーツ規則の変化が、市販車と強く結びつけられていたMモデルの時代が終わり、2007年誕生のE92型M3はV8エンジンを搭載。一方のM5も直6からV8、そしてV10へとエンジンを拡大していった。
BMW Mモデルは電子制御システムの導入にも積極的で、その結果としてV10エンジン搭載のM5の車重は1.9トン弱にもなっていた。
サーキットのイメージも徐々に薄れ、BMW Mモデルは箱型ボディのスーパースポーツ車としての色が強まっていく。そして昨年デビューの7代目M5ではついに電動化モデルになっているのだ。
かつてBMW Mのエンジンは気筒毎スロットルを特徴としていたが、直噴が当たり前の現在ではそれもない。現行M5が搭載するS68ユニットもアルファベットSから始まる型番こそ真正Mユニットだが、その最大のトピックが排気系の取り回しというのは、少し寂しいと言わざるを得ない。
BMW Mとアルピナの立ち位置
そんなBMW Mモデルの来し方を振り返ってみれば、原初のM1を唯一の例外として、全てのモデルがBMWの生産車に倣ったハイパフォーマンスモデルであることがわかる。1本筋が通った精神性よりも、流行を取り入れることに重きを置くブランドなのだと解釈できるのだ。
だとすれば、現行M5のキャラクターも整合性が感じられてくる。重いからダメなのではなく、当然のように重くなった車重にどう対処するかのプロセスこそがこのクルアの存在意義なのだ。つまり最もダメなBMW Mの解釈は、筆者のように初期のM3あたりで止まってしまっているパターンだろう。
ここで興味深い存在は、BMW Mと肩を並べる存在のように扱われることが多いアルピナだろう。
BMWのプロダクションモデルをベースとするという点では、独自のボディパネルやエンジンを仕立てることが多いBMW Mモデルより忠実と言える。となれば時代が求める要件を全て取り入れていかなければならないはずだが、アルピナ・ブランドのイメージはそこに落ちていない。
BMW Mは絶えず記録を更新していくスポーツ選手のような存在であるのに対し、アルピナは自らが思い描いた枠に落とし込む職人のようなもの。だからこそフル電動すら許容するであろうMに対し、ブッフローエが考えるアルピナは終わりを迎え、BMWの一部として次の時代を迎えるのだ。
考えを整理すれば、現行のM5が山道で重たいことを突くのは正しくない。将来的に、その違和感に対する物理の法則を越えるような答えがあるに違いないのだから。
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みんなのコメント
パワーを盛って速くしてるだけで、出来る限り軽量にしよう!
って気概が全く感じられない
そんなものあるハズないだろう。結局、重量増もパワー増強や制動力、剛性強化という物理法則で対処するのだから。