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MIRAIは未来の高級車!? トヨタ新型「ミライ」の進化したその走りと水素社会に向けた課題とは?

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MIRAIは未来の高級車!? トヨタ新型「ミライ」の進化したその走りと水素社会に向けた課題とは?

■カーボンニュートラルの実現にはEVやFCVは必須!?

 2021年6月20日の日本経済新聞一面に掲載されていた「グリーン水素価格1/3」という記事が目に止まった。

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 記事によれば、ENEOSと千代田化工建設は、製造過程で二酸化炭素(CO2)を出さない「グリーン水素」の製造プラントを共同で開発する。そして電気分解に関する独自技術を使って設備投資を抑え、水素価格を1kgあたり330円と、現在の3分の1程度にするのを目指すというものだ。

 現在の水素の流通価格は1kgあたり1100円(消費税別)程度だから、この記事のように1kgが330円になれば、水素の燃料代がいまの約3割で済む。こうなると、まだまだ先だと思っていた水素社会がグッと近づいた感じがする。

 そんな観点で、第2世代になった「MIRAI(ミライ)」を見ていこう。

 ミライは世界初の市販燃料電池車(FCV)として2014年に登場し、ワールドワイドではすでに1万台以上販売した実績を持つ。

 発売当初は水素ステーションが少ないという問題点があった。ただし、水素で走るクルマが少なければ水素充填施設は増やせない、というニワトリと卵の関係は、ミライの販売開始によって徐々に施設が増えてきた。

 菅首相が2050年に日本でカーボンニュートラルを実現すると発表したのは広く知られている。こうなると、走行中にCO2を出さない電気自動車(BEV)やFCVに注目が集まる。充電する電気がCO2フリーで発電され、充填する水素がCO2フリーで製造されていれば、モビリティとしてカーボンニュートラルに大きく近づくからだ。

 そんなタイミングで、2020年12月に第2世代の新型ミライが登場した。

 先代ミライと新型ミライの違いはあまりにも大きい。これは通常のフルモデルチェンジ以上の大改革だった。

 先代ミライは前輪駆動(FWD)だったのに、新型ミライは後輪駆動(RWD)になった。
 
 また先代の4人乗りが新型では5人乗りに。そして標準装着タイヤは17インチタイヤから20インチタイヤに。さらに新型ミライでは新しいTNGAのプラットフォームを採用した。

 つまり先代ミライのことは忘れて、まったく新しく魅力的なクルマをつくろうとしていることが想像できる。

 後輪駆動になったことで、走りのポテンシャルを大幅に上げることが可能になる。前輪駆動だとどうしてもフロントが重くなるが、後輪駆動にすれば前後の重量バランスがうまく取れる。

 新型ミライは前950kg/後1000kgと理想的な前後重量配分だ。これによりアクセルペダルを踏んで加速するとき、タイヤがロスなく路面を蹴ることができ、コーナリングも曲がりやすく安定性もあり、ブレーキングでも4輪がうまく働いてくれるからだ。

■トヨタのハイブリッド車ノウハウが新型ミライに詰まっている

 実際にアクセルを踏み始めて加速するときはペダルに対する遅れがなく、スーッと滑らかに加速していく。

 これは後輪駆動というだけでなく、駆動用のバッテリーを搭載しており、FCスタックで水素から電気を生み出す工程を待つことなく加速できる。これはトヨタが1997年登場の初代「プリウス」から始まった、ハイブリッド車をすでに四半世紀近く作り続けていたノウハウが生きている。

 エクステリアデザインも大幅に変更された。シックスライトウインドウの4ドアクーペスタイルは流行の最先端である。

 TNGAの新しいプラットフォームは剛性が高く、ハンドリング性能や乗り心地などの性能は初代ミライより格段に良くなった。ホイールベースは2780mmから2920mmへと長くなり、これも乗り心地に貢献している。

 基本性能はかなりレベルアップしたのだが、第2世代になってこれからもっと進化して欲しいので、気になったポイントをいくつかピックアップしておこう。

 シートは表面がソフトで身体へのタッチは柔らかいが、ホールド性はあまり良くない。また骨盤が後傾してしまうのも長距離ドライブには向いていないと感じた。

 またハンドリングは、前後の重量バランスの良さからポテンシャルは高そうなのだが、直進状態からコーナリングに入って、少しロールして、アクセルペダルを踏みながらコーナーを立ち上がるという一連の動きに滑らかさが不足しているのが残念だ。これはサスペンションにゴムブッシュを使い過ぎて制御できていない小さな動きが出てしまっているようだ。

 同じようにハンドル応答性もニュートラル付近の手応えが鈍い部分があり、その先まで切り込むと若干の重さとダイレクト感が出てくる。最初の手応え不足は、ゴムブッシュが大き過ぎのような気がする。

* * *

 BEVと比べると、FCVのメリットはレンジ(航続距離)の長さと充填時間の短さだ。

 新型ミライのGグレードでは水素満タンでおよそ850km、Zグレードでは750km走ることができる。これは実際に東京から大阪まで走ることができるそうだ。初代のレンジは650kmだから、これもちゃんと進化している。

 災害時には、ミライから給電もできるということで、いざというときにも役に立つ。もっともっとFCVを普及させなくてはならないと思うが、水素330円/kgの時代が来るまで待つのではなく、国の援助によって10年間くらいは水素をタダにしたらどうだろうか。

 FCVの水素タンクは15年で交換しなくてはならないという大きな課題があるが、実際のタンクはもっと耐久性がありそうだ。この15年縛りはあくまでも法律なので、実際の耐久性と見比べて改定されることを期待しよう。

TOYOTA MIRAI Z Exective Package
トヨタ・ミライ Z エクゼクティブパッケージ

・車両価格(消費税込):805万円
・全長:4975mm
・全幅:1885mm
・全高:1470mm
・ホイールベース:2920mm
・車両重量:1950kg
・FCスタック種類:個体高分子形
・FCスタック最高出力:174ps
・モーター種類:交流同期電動機(永久磁石式同期型モーター)
・モーター最高出力:134kW(182ps)/69400rpm
・モーター最大トルク:300Nm/0-3267rpm
・燃料タンク容量:141L(前方64L、中52L、後方25L)
・バッテリー:リチウムイオン電池
・バッテリー容量:4.0Ah
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・サスペンション形式 前/後:マルチリンク/マルチリンク
・駆動方式:FR

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みんなのコメント

9件
  • 「水素社会に向けた課題とは?」って、クリーンな電力の確保でしょ。

    今の日本の電気はほぼ火力発電(しかも石炭!)だから、温室ガスの大量生産。現状ではEVもFCVも全然クリーンじゃない。

  • まずは水素スタンドの拡充がされないことには難しい。
    現状平日日中がメインのスタンドが大半、これをせめて高速道路のSA併設のスタンドに広げるだけでFCVの導入ハードルはグッと下がると思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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