先週、南アフリカのキャラミ・サーキットが、F1開催に必要なFIAのグレード1サーキットにアップデートする計画の承認をFIAから受けたというニュースが報じられた。これにより、アフリカ大陸でのF1開催が復活する第一歩が記されたと賞賛された。
承認されたことを受けてキャラミ・サーキットは、グレード1の基準を満たすために必要な工事を、今後3年間かけて行なっていくことになる。この工事にはランオフエリアの改修や新たな縁石の設置などが含まれるが、一部はF1開催が決まった場合にのみ完了する手筈になっているという。またコースレイアウトは、以前開催された際とほとんど変わっていない。
■イモラ・サーキット、2026年F1カレンダー脱落も「決して最終決定ではない」と復帰目指す
しかし詳細を調べていくと、南アフリカでのF1開催の機運はまだ高まっておらず、実際にレースが開催できたとしても、それは数年先のことになりそうだ。そもそも、計画が本当に軌道に乗るかどうかは別にしてだ。
南アフリカの政治家たちは、F1復活の希望を長く表明してきた。そして政府委託の招致委員会という形で、このためのプロセスが整った……しかし、事態はまだまだ困難を極めている。
南アフリカには現在、F1開催を目指す3つの計画がある。そのうちひとつがキャラミで、他のふたつはケープタウンでレースを行なうというものだ。これは政府がどの案を支持するかによって決まることになっており、現時点ではどの計画が正式にF1誘致を表明することになるのか、まだ公表されていない。
スポーツ大臣は、キャラミの民間主導での改修を「南アフリカにおけるF1誘致に向けた大きな一歩になった」と称賛したが、一方で招致委員会の広報担当者は「この発表と開発は、委員会の作業とは全く無関係である」とも語っている。
またケータプタウンの計画のうちのひとつは、政府の支持を取り付ける上での手数料として1000万ランド(56万ドル)を納めなければならないということに疑問を抱き、すでにF1誘致計画から離脱することが決まっている。この政府のやり方に関しては、多くの疑問の声が挙がっているようだ。
F1側もこの招致のプロセスに良い印象を持っていないとされている。しかしより大きな問題は、南アフリカが深刻な経済難に直面し、失業率も32.9%と異常に高い割合になっている中での、資金調達の方法にある。この件については、アフリカでもうひとつF1招致に関心を示している国であるルワンダにも当てはまることになるかもしれない。
アフリカ大陸という意味では、かつてマクラーレンやロータスでチーム代表を務めたエリック・ブーリエが主導するモロッコの港湾地区でのF1誘致計画があるが、まだ極めて初期段階にあるといえよう。
■新たな開催地レースでは、タイが先頭をひた走る?
タイ政府は、2028年から首都バンコクでの市街地レースを開催するため、12億ドル規模の入札を閣議決定した。この決定は、F1のステファノ・ドメニカリCEOが今年初めにタイを訪れ、パトンターン・シナワット首相を協議を行なったことも後押しになっている。
そういう意味でタイはこれまでのところ、新たなF1開催候補地の中で最も信頼性が高く、政府からの支持も取り付けられていると言えるだろう。レッドブル・タイランドも、この計画に意欲的だとされている。
ただシナワット首相は政治的な危機に晒されており、現在の職を追われる可能性もある。そうなった場合でも、F1開催プロジェクトは、党派を超えた幅広い支持を集めており、首相が変わったとしても存続できる可能性がある。
■インドとベトナムから学ぶ
現在のF1の年間開催数は24戦。しかしこれ以上増やすことができないため、開催権をめぐっては、熾烈な戦いが繰り広げられている。
F1側として新たに追加するレースの最大の目標のひとつは、長期的な安定性と持続可能性だ。
「長いこと開催しなければ、我々は新たな場所にいくことができない」
ドメニカリCEOはモナコGPの際にそう語った。
実際、現在F1カレンダーにのっている24戦のうち、16戦は少なくとも2030年まで契約が確定している。2041年までの契約を結んだマイアミを筆頭に、オーストラリア(2037年)、バーレーン(2034年)、シルバーストン(2034年)などF1はかなり長期の契約を結んでいるのだ。
こうした長期契約はF1により堅固なビジネス基盤を提供するだけでなく、プロモーターと政府にとっては投資の償却期間が長くなり、イベントの改善や開催日程をより有効に活用するために長い時間をかけることもできるようになる。
F1が最も避けたいのは、新しい開催地を選んだにもかかわらず、数年間でイベントが崩壊してしまうことだ。インドと韓国のグランプリが短命に終わったケースがまさにその例だ。
インドのブッダ・インターナショナル・サーキットでのイベントは、手続きの遅れや資金調達の問題に悩まされ、わずか3年で終了。一方、韓国GPも、初期段階で財政難に直面。収益性も低く、開催権料を値下げしたにも関わらず、4年でカレンダーから消えた。
こうした苦い教訓は、財政的・政治的なサポートの必要性を浮き彫りにし、FOMが南アフリカや他の有望な国々に対して、適切な手続きと確固たる長期的な保証を求めている理由となっている。
最近では、ベトナムの首都ハノイでの開催が計画されていたベトナムGPが、トラックが既にほぼ完成していたにもかかわらず、COVID-19のパンデミックの影響とイベントを支援していた政治指導者に対する汚職が発覚したことにより開催が頓挫してしまった。サーキットは現在も存在しているが、未使用のまま自然に取り込まれつつある。
■2027年はどうなる?
現在、明確になっているのは、2028年までに新たなレースがカレンダーに追加されることはなく、FOMは決定を急ぐ様子がないということだ。
2026年を最後に、ザントフールトでのオランダGPがカレンダーから消えるため、短期的な空白が生じることになる。他にもバルセロナ、オースティン、バクーが契約終了を迎えるが、オースティンとバクーは契約を更新し、それぞれアメリカGP、アゼルバイジャンGPは継続されると見られている。
そのため、 空いた枠はバルセロナやイモラといった、カレンダー残留が危ぶまれているサーキットが埋める可能性もあるが、トルコが2021年に最後にF1を開催できていないイスタンブール・パークにF1を戻すための交渉を進めていることが分かっている。
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