2月12日、三重県の鈴鹿サーキットで行われたスポーツ走行枠を使って、2023年からFIM世界耐久選手権(EWC)に参戦する渡辺一樹(Team Kawasaki Webike Trickstar)がカワサキNinja ZX-10RRを走らせた。6年ぶりにカワサキのマシンを駆ったが、その印象を聞いた。
SRCカワサキをトリックスターが引き継ぐ形で誕生したTeam Kawasaki Webike Trickstar。ライダーはランディ・ド・プニエ、渡辺一樹、クリストフ・ポンソンを起用し、鶴田竜二代表兼監督が指揮する。
渡辺一樹がカワサキZX-10RRで初走行。Team Kawasaki Webike Trickstarが鈴鹿でシェイクダウン/EWC
12日には渡辺がカワサキNinja ZX-10RRを鈴鹿でシェイクダウン。2022年にトリックスターが走らせた鈴鹿8耐仕様のマシンをベースとしたが、ゼッケンナンバーは『11』で、ブリヂストンタイヤ、ライムグリーンのカウルを使用した。
2016年まで全日本ロードJSB1000で、2017年に鈴鹿8耐でカワサキを走らせていた渡辺は、今季初テストを終えてマシンの印象を以下のように語った。
「(JSB1000というより、TEAM JP,DFR&RS-ITOHから参戦した)2017年の鈴鹿8耐仕様に近いですね。カワサキのいいところが残っています。自分としては懐かしいなと思って、ニヤニヤしながら乗っていました」
渡辺は当時のマシンからモデルチェンジがされていたことも触れつつ、楽しんでラインディングした様子でインタビューに答えた。
「当然セットアップもタイヤも、いろいろ違う部分もありますが、車体が持っている性格として、“これカワサキだよね”みたいなのがあるので、だいぶ薄まっていたんですけど、久々に血が緑色になりそうでしたね(笑)」
「カワサキはブレーキングのスタビリティがすごく高いです。鈴鹿サーキットではブレーキを多用するのはシケインくらいですが、良い部分をなるべく発揮している時間を長くできるように、高いスタビリティをどうやったら他のエリアで活かせるようになるかなと考えていました」
「開幕戦はル・マン(-ブガッティ・サーキット)で、典型的なストップ&ゴーのサーキットなので、非常にいいところは活かしやすいかなと思っています」
今回はEWCで使用するレースパーツがすべて揃った状態でないなかのテストだった。チームはこれからヨーロッパに渡り、バレンシア、ヘレス、ル・マンと3回のテストでマシンを開発していく。
「当然ライダーとかチームにとってもブリヂストンとのパッケージは初めてになります。本格的にセットアップが進んでいくのはヨーロッパに入ってからになりますし、当然ライダーも3人揃った状態で走ることが第一条件だと思っています」と渡辺。
ド・プニエはパドックで会えば挨拶する程度で、ポンソンとは面識はないがSBKで走っていたことは知っている程度というが、「フランス人ふたりなので、『あんまりフランス語でずっと話してないでね。仲間外れになっちゃうから』ってちゃんと最初に伝えようかなと思っていますけど……」と続けた。
「どんな性格のライダーなのかにもよって、譲る気配がなければ自分が引かないといけないし、キャパが広いと(マシンを)どんどん変えていっちゃおうというのもあります」
これからに向けては「まだシェイクダウンで、速いペースで走っているわけではないですけど、このくらいのペースで走っている分には怖さはないし、良い意味でカワサキのイメージが崩れたかなと思います」といい、2023年シーズンの意気込みを語った。
「カワサキに育ててもらったライダーでもあるので、自分としても力が入る部分もあるし、ライダーをアジャストしていくというのが自分的には楽しいです。新しい環境に自分の身を置くといろんな伸びしろが見えてくるので、今一番ワクワクしている時間かなと思います」
「心機一転、新しい環境でのレースになるので、自分にとってもすごく大きなチャレンジになると思います。チームにとっても実質的に新規チームという扱いのなかで、準備段階が一番大変だと思うし、シーズンが始まってからも大変なことは多いと思いますが、ゼロスタートだからこそ、チャンピオンになった時に大きな価値になると思います」
「自分としてもチャンピオンに繋げるために何が必要かというのをしっかりチームに対してフィードバックしながら、自分にしかできないことは必ずあると思うので、それをしっかり力として発揮できるようにシーズンに向けて進んでいきたいなと思っています」
「でも楽しく乗れました。暖かかった」と笑顔で最後にコメントし、新体制に終始ワクワクした様子が伺えた。
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