1963年式フォード「エコノライン」を仕事の相棒に選び、直6を載せ替えていまも荷運びに使う
人と同じクルマは選びたくない。そんな気持ちが、還暦をとうに超えた1台のバンにたどり着かせた。オーナーのスドウさんが仕事の相棒に選んだのは、1963年式のフォード「エコノライン」。60年以上前のアメリカ車を、いまも荷物を運ぶ実働車として日々走らせている。前オーナーから受け継いだ手が随所に残る、味わい深い1台を取材した。
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仕事の相棒に1963年式フォード「エコノライン」を選んだ理由
働くクルマに、あえて60年前のアメリカ車を選んだ。オーナーのスドウさんは、1963年式のフォード「エコノライン」を、仕事で荷物を運ぶ実働車として使っている。
エコノラインは1961年に登場したモデルだ。フォード「ファルコン」のコンポーネントを流用したシャシーに、1BOXタイプのボディを架装している。運転席を前輪の上に置くフォワードコントロール(運転席が前輪の真上に来るキャブオーバー構成)を採るのが特徴だ。搭載するのは直列6気筒エンジン。商用と乗用の両タイプが用意され、ドアの枚数などによって複数のボディパターンが存在した。スドウさんの個体は、Bピラー以降にウィンドウを持たないパネルバンタイプである。
選んだ理由を、スドウさんはこう話す。
「仕事で使えるなっていうのと、ちょっと人と違うのがいいなっていうので選びました。実際、仕事でも使っていますけど、優秀っすよ。全然、普通に走りますし」
エンジンは170から200へ、テールランプも他車種流用へ変更
購入から6~7年が過ぎたいまも、スドウさんのエコノラインは現役だ。カスタムに関しては、前オーナーが手を加えた箇所を除けば、ほとんどいじっていない。ただし、テールランプなどは自身で交換している。
「ポンティアックか何かのテール(ランプ)なんですよ。サイズがぴったりだったんで、ベゼルだけちょっと金属加工屋さんに作ってもらって付けました。ホイールは前の人が替えたヤツですね。あとは、こないだだめになったんでキャブ(ホーリー)を替えたぐらいで。エンジンも、170がエコノラインの本来なんですけど、マスタングの200に載せ替えてあるんですよ。それも前のオーナーですね。だから、元々いろいろオリジナルでない部分があるクルマなんです」
エコノラインに設定された170エンジンは、2.8Lの直6である。170とは、キュービックインチで排気量を表した米国流の呼称だ。登場当初の標準は144エンジンで、170は当初オプション、1965年に標準へと移った。載せ替えられた200エンジンは、Lに換算すると3.3L。シリンダー数は170と同じ直列6気筒である。200は170をボアアップして生まれた排気量拡大版で、マスタングにも搭載された実績を持つ。前オーナーの時代に、このエンジンへ載せ替えられた。あわせて、足まわりにも手が入っている。
「ギリギリまで、生足で下げてる状態ですね。バネというかリーフ、シャックルと色々やって、ナックルごと替えてる感じになってます」
1963年式エコノラインのトラブルとパーツ供給は?
年式が年式だけに、トラブルは気になるところだ。ところが、これまで不調が出たのは前述のキャブと電気系統くらいだという。3速ATのため、もう1段欲しいという思いはある。リアに窓がないカーゴバン仕様のため、後方が見えづらいという弱点もある。それでも、乗っていて楽しいという理由から、これ以上は手を加えるつもりはないそうだ。
ちなみに、カーゴスペースにはベンチシートが備わる。これは、登録が4名乗車になっているためだ。カーゴスペース自体はオリジナルのまま残されている。メンテナンスパーツについても、とくに困ることはないという。リプロ(当時の部品を復刻したパーツ)も含め、部品が市場に豊富に流通しているのは、アメリカ車ならではの強みだろう。お気に入りはスタイリングとサイズ感。仕事で都市部を走っても、扱いに困る場面は少ないという。
還暦を超えたバンを、飾り物ではなく相棒として日々走らせる。前オーナーから受け継いだ手を受け止めつつ、必要な部分だけを直しながら付き合っていく。スドウさんとエコノラインの距離感は、無理をせず、それでいて確かな愛着に支えられている。人と違う1台を選んだ人だからこそ、たどり着いた働くバンならではの関係なのである。
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