コンパスの針がグルグル回る分杭峠
長野県の伊那地方東部を南北に縦断する国道152号は、江戸時代から静岡県浜松市の秋葉神社への参拝路として、また物資輸送路として「秋葉街道」の名で知られていました。この途上にある「分杭峠」(長野県伊那市)は、ここに立つとコンパスの針が回る不思議な現象で知られ、パワースポットとして注目を集めています。
【画像】これが「コンパスがぐるぐる回る」分杭峠です!(地図/写真)
この国道152号自体、日本列島の西側半分を内帯(日本海側)・外帯(太平洋側)に二分する中央構造線の断層谷を利用して開かれた街道でしたが、分杭峠はまさにここから南北に流れる川の境界「谷中分水界(こくちゅうぶんすいかい)」にあります。
分杭峠は日本最大、最長の巨大断層「中央構造線」の真上にあること、そして「谷中分水界」にも位置していることで、全国的に見てもかなり珍しい地形であることがよく知られています。ここからは中央構造線の大地の動きの影響で、直線的に侵食されてできた谷の眺望を見ることができます。その谷沿いにはケルンコル(断層鞍部)、ケルンバット(断層小丘)といった断層活動によってできた独特の地形も見ることができます。
「ゼロ磁場」と呼ばれるようになったのは?
一般的に分杭峠の存在が知られるようになったのは、やはり冒頭で触れたコンパスがグルグル回ってしまう現象によるものでしょう。
中国の有名な気功師がここを訪れ、“非常に強い気が出る場所”として論文で発表。後に2010(平成22)年頃からテレビや雑誌などで大きく取り上げられ、注目を浴びることになりました。
通常、コンパスは地球の磁気(方位)を感知して方向を示すものです。ところが、分杭峠は中央構造線の2つの地層の影響なのか、地磁気を狂わせている状態となっています。
この磁気異常は「ゼロ磁場」とも言われ、磁力がない代わりに「気」のパワーに満ちている、という理由から「パワースポット」として挙げられるようになりました。ちなみに、分杭峠以外で日本にある「ゼロ磁場」で有名なところは、三重県の伊勢神宮の内宮の別宮である瀧原宮(たきはらのみや)などがあります。
マイカーでもアクセスが難しい!
知れば知るほど神秘的な分杭峠ですが、特別な地形にあることと、また国道152号自体「長野エリア屈指の酷道」でもあるため、マイカーでのアクセスのハードルは極めて高いです。
また分杭峠付近には満足な駐車場もありません。そのため、まず南アルプスの玄関口的な施設・戸台パーク(長野県伊那市長谷黒河内)まで行き、有料駐車場にクルマを停めた後、南アルプス林道バスでアクセスするのが現実的な方法です。
中央道・伊那ICから約40分ほどかけて戸台パークへ。そこから南アルプス林道バス「分杭気の里ライン」に乗り、約15分~20分で到着します。
ただし、これは3月下旬から12月上旬に限ってのことです。冬季はシャトルバス自体が運休となり、分杭峠の「気場」自体にも立ち入りできなくなります。
開放期間であっても、通行止めや閉鎖が起こる可能性があります。国道152号をはじめ、この地域の道路はしばしば災害に見舞われているためです。2026年7月現在、国道152号で分杭峠の南、大鹿村から飯田市(遠山郷)の間は、国道および迂回先の林道も通行止めのため、行き来ができなくなっています。
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